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革命少女は戦場に。  作者: 富良野 カナ
第一章「アルバレゲンダ」
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第三話「ストレンジャー退治」

こんどストレンジャーのイメージ画を描いて載せようと思います。

私のイメージ的に結構、可愛いんですよあいつら(笑)

 衝撃だったジークの『卒業』辞退宣言もほどほどに食事を終えた後、ひと休みする暇もなく俺たち『ゼロ』の20人はグレーを基調としたブレザーと女子(20人中6人と大変少ない)はスカート、男子はズボンという制服から同じ色の軍服(男女共にズボン)に着替え、地面を走り回っていた。

 場所は俺たちが暮らすアルバレゲンダの洋館のあるクレムという地域の端の方にある荒れ地だ。

 その場所で多数の『異質者ストレンジャー』の出現が確認され、ちょうど今日が任務の割り当てだった俺たち、『ゼロ』にストレンジャーたちの排除がまかされた。

 20人それぞれの視界には荒廃した土の色と宙に浮かぶ淡い黄やピンク、きみどり色をした丸い可愛らしいくるくるとした目を持つ敵、ストレンジャーが何匹か入っているはずだ。また俺の視界の中で一匹が砕け散った。

「シノッ!横だ」

「おう」

 俺はブレンの声に答えたのかも分からない言葉を発して、右手に持っていた短剣を振る。何かが空気に砕けて消えるようなかすかな手ごたえを感じ、ストレンジャーが命をなくしたことは確認するまでもなかった。

 俺はそのまま左手に持っていた茶色の銃の引き金を引く。軌道がずれて命中しなかったのかストレンジャーは砕けることはなく、動きが鈍くなった。

 二つの手で武器を使うのは『ゼロ』の中では俺だけだが、必ずしもそれが便利というのではない。

 結局、剣と銃のどちらも使うと攻撃スピードは速くなるがヒット率が下がってしまうのだ。しかし、俺はその鈍くなったストレンジャーの薄いピンクの丸い背中に地面を強く蹴って跳躍して立った。そのまま今度は右手の短剣を勢いをつけて下に落とし、ピンク色のストレンジャーの背中につき刺さるようにした。

 ピンク色の体がバラバラと崩れて消えていくのを眺めるようなことをせず俺は近くを通りすがった黄色のストレンジャーの背中にぽんっと飛んで乗り移った。もちろん地面に落ちていこうとする短剣をキャッチするのを忘れない。

「シノさん!」

 遠くでサフェラの焦ったような声がしたと思ったら、俺が立っている上をきみどり色のストレンジャーが通っているのが見えた。突如、俺の頬を鋭利なナイフが掠める。

「くッ」

 感じた微かなしびれるような痛みに声が出る。

 この急に現れる刃物こそストレンジャーの反撃だ。彼らはただの楕円形に近い球形で手も足もないはずなのに急に剣や銃弾などの武器を出現させるのだ。

「シノ君!」

 俺は何もできないまま一筋の鮮血が流れる頬の傷に手を当てているとすぐさまリーナが俺の上のストレンジャーを撃った。

 呆然と見ると残り2、3匹とかなり個体数が減っている。20人の力とアルバレゲンダ、一の経験者だけあって最近は日に日に出現するストレンジャーを全部砕けさせるまでの時間が目に見えて速くなっているようだ。

 俺は乗っていた黄色のストレンジャーから飛び降りながら黄色のそれを使いなれた銃で撃ち抜いた。パンッと軽い音が鳴る。

 バラバラと消えるそれを見たときには『ゼロ』の20人全員が手に持った短剣や両手剣、銃をおろして地面に向けていた。もう、視界には何もなかった。

 俺も20人もみんながはぁぁーと何かを吹き出すかのようにため息をついた。

「よっ!お疲れ!」

 その疲れきった中、明るくブレンがみんなに言う。

「おつかれさまです」

 それに答えたのは数人の年下たちだけだった。しかも間延びした返事だ。それにブレンは何か言いたさげにしていたのだが、何故か謎に団結しみんなで無視をしといた。(ブレンはこういうことが面倒なやつだから)

 サフェラも俺やリーナ、ブレンより一歳年下なのだがブレンの言葉には答えずに俺の頬の傷を眺めている。

「シノさん。傷、大丈夫ですか?」

 そしてサフェラは心配そうな瞳を揺らしながらおもむろに口を開いた。

「あぁ、大丈夫だ問題ない。つばでもつけときゃ直るだろ。それにこんな傷ごときに弱音は吐けないし」

 俺は年下であるサフェラに自分ごときのために心配をかけさせるのは申し訳ないと思ってすぐに笑いながら返す。最後は自分に言い聞かせているみたいに聞こえてしまったかもしれない。

「うわぁーテキトーですね」

 サフェラは呆れ気味に答えた。どうやら過度な心配はされなくてすんだようである。

「そうだ、こいつはテキトーな奴だぜ。前なんか……いてッ、何すんだよシノ」

 ついでに関係ない話を展開させようとしたブレンをどついておく。たいして力をいれてないのに大げさな奴だ。

 しかし、危ないところだった。ブレンなら口を滑らせて俺の黒歴史を話しかねない。

「おまえは口が軽すぎ」

 ブレンがそれ以上話しは続けなかったことに内心ほっとしながらぼそりと言葉を発した。

 それから、周りの奴等(特に、サフェラ)に何だろうと興味深そうに見られていることに気づき俺は急に恥ずかしくなった。特に言われて恥ずかしいことは浮かばないが、ブレンなら……。

「あなたたちは何をしているのかしら?帰りましょう」

「そっそうですね」

「はい」

「帰るか」

「イ、イエーイ」

 数秒の沈黙の後、リーナの冷たい目と声がその視線と俺の謎の不安を散らすことになりみんながそそくさと返事をして荒れ地を去ることとなった。

 最後のイエーイは誰かが微妙なテンションの改善のために言ったのだろうか。完全に逆効果だった。

 こんな感じだが、今日の『ゼロ』の任務も2、3時間で無事に終わったのだ。

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