表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ドコ。

作者: 秋冬

一発。


どこか単純な音が耳に心地よくて、でも同時に僕はその音に嫌悪を覚えることがある。


引き金を弾く。


また、1人倒れる。


狙う時、僕は必ず頭を狙う。

ヘッドショット。

即死なんてあるわけない。


でも、死ぬ確率が高い。


人は痛みを察知してから、その感覚は脳に伝達する速度は400km/h。

弾き出したメタルジャケットが脳細胞を完全破壊する迄、時速300km/h。


だから、痛みを感じることはない。


そう。


イタミヲ カンジナイ。


・・・カモシレナイ。


そう先輩は教えてくれた。


数時間前に先輩は死んだ。


いや、数時間なのだろうか。


なんだか、実感も湧かない。


もう何人殺したのだろうか。


オマエハ ナンニン コロシタ。


そう耳元でずっと囁かれる。





今朝、両親からの手紙が届く。

いつ返事が書けなくなるか分からないから、書ける時に書いとけと先輩は言っていた。

手紙なんて、届けばいいほうなんだ。


いや・・・トドイタラ、シアワセナンダ。


そう先輩は言っていた。


だから書く。

両親に戦争の状況なんて書くことをしない。


書いたら、書いたら、カイタラ・・・


思い出す。


そう。


オモイダス。


冷酷に。


ただ。


淡々と。


機械のように。


心地よくもあり。


胸糞悪い音を聞きながら。


あの悪魔を、死神を弾き出す。


そんな自分を思い出す。


そして、その自分が。


ペンという日用品を持ち。


両親に、今日も糞不味い飯を食いながら頑張ってます。

先輩は、相変わらず間抜けで僕はそんな先輩の後をくっついてコンビやってます。



なんて、書く自分がとてつもなく嫌になって。

視界が真っ暗になるから。





どうして、こんなところにいるのだろう。

朝、起きると、「なんだ、まだ生きていたのか。」そう感じる。


あれから、何年経ったろう。



僕は今、どこにいるのだろう。


故郷なのか。


それとも。


あの地獄なのか。


ふかふかの布団は、前者であると言ってくれる。


でも。


僕は、まだ故郷に帰ってきてない。


まだ。


未だ。


あの場所に。


僕は。


ズット トドマッテル。


あゝ、今日も囁かれる。


オマエハ ナンニン コロシタ。


そう、先輩の声で。

まずは読んで下さり、本当にありがとうございます。

PTSD。

生きて戦争から帰ってきても、正直、この症状について家族に言いたいとは思えないそうです。


それが、どれほどの意味を持つかを考えると、このPTSDはどれだけ恐いものなのか。


想像を絶します。


もし、よろしければ評価・感想・批評等をして下さると幸いです。

よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ