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<R15>15歳未満の方は移動してください。

尻すり合うも多生の縁

作者: 北 郷

尻フェチがテーマです。

 遅刻ぎりぎりのバスは今日も超満員。もう朝からムカつくくらいに鬱陶しい・・・。


 あ~あ、

 どーしてみんな、毎日毎日こんな綱渡りの朝を過ごして平気なんだろうー。


 もっと早く起きてさ、ゆとりのある朝を過ごそうとか思わないのかな~。そしたら、こんなにバスも混 まなくって、爽快な一日が迎えれるかもしれないってのにさぁ・・・。


 な~んて思ってるこの私も、既に綱渡りの名人になろうとしているのだから、そんなこと言えた義理も人情もお金もない。

 そんなことは重々分かっちゃいる。分かっちゃいるが鬱陶しいモノは鬱陶しい。


 朝から文句師な私、砂倉奈智(すなくらなち)は、この春、新高校生となったばかりの15歳。今や日本一のブランドと言われる日本の宝、プッチンパッチンの女子高生なのだ。シャキン!


 回顧することおよそ一ヶ月前、私は夢と色んな妄想を膨らませ、ズッドーン!とばかりに女子高生の門をくぐったのだけれど、私のくぐった高校と言うのがちょっと夢とは違って、残念な環境に建っていたりして出鼻を挫かれてしまった感ありあり。


 最大の原因は、妄想の要であった学校の立地環境が見渡す限りお洒落とは縁遠さだ。未開の平地に建てられた校舎は、セイタカアワタチ草を主とした荒地に囲まれ、その真ん中に突然とニョキット突っ立ち状態のまるで陰毛の中の・・・みたい。最寄のコンビニでさえも徒歩で10分は掛かるし、それどころか、周囲300メートルには民家すらも存在しない。ホント、信じられない位に文化から隔離された環境を誇っているのだ。せめて丘の上に建っていて欲しかった。


 でも、そんな全く趣の欠片も無い高校であるが、二つの性別が均等に存在している共学校ではあることは大きな救い。

 最低限のレベルはクリアしているのだから、それなりの楽しみが無い訳じゃあ無い。無いはずだ。

 当然、過度な、いや、健全な期待は持ちながら女子高生ブランドを楽しもうと言う気持ちに立ち直るのも人のさが、私は希望を絶やさず通っているのだよ。


 そして、今はカワユシ女子高生を始めた、早一か月が過ぎようとしている登校中、遅刻ぎりぎり。


 遅刻すれすれのバスと言うのは、時間との戦い。赤信号一つも命取り。スリルは申し分ない絶叫マシン、声は出さないが。だが、それに乗っている人間が周囲からどう映るかと言うと、押して知るべし、引いて見るべし、接写するべからず。そんなん、可愛く映るわけが、ネ~のだこれ。

 多分粗雑なオンナだなー、くらいに映っていることだと自分でも思う。きっと、スカートの裾が翻っても爽やかな風は吹きっこないし、花弁も舞い散ることはない。


 もちろん、最初っからそんなつもりは無かったのは”↑”からも分って貰えると思う。

 生まれて15年、やっと女子高生ブランドに辿り着いたのだし、私だって清楚で、可愛く、誰からも愛されて、そんでもってキラキラ煌く女子高生キャラを夢見ていたのだから、まずは朝からと、ちょいとは頑張って早起きをしたりもした。

 だけど、人間急には変われないって思い知った。若さは眠い。朝の5分は夜の30分以上には匹敵する6倍強。一週間ちょっとで早くも挫折し、夢より間違いのない目先の実益を優先。

 毎朝半眠の中、乙女の美貌を保つ為と言う大義名分で自分を納得させ、時間ぎりぎりまでの朝の欲望を満喫してしまっている、この始末。

 よって、今日もこの遅刻ぎりぎりのバスのお世話になっていると言わーけ。

 

 それも、しょうがないと思う。だって、ママだけなんだもん。こんな私のけな気な姿を評価してくれたのは・・・。

 後は、だ~れも褒めてくれない処か、可憐に登校する姿を見てもくれないんだもん。

 本当はカッコイイ男の子に、“新生、奈智ちゃん”の素敵な姿を見て欲しかったのに・・・。

 ホント、ぜ~んぜん張り合いが無くてやってられな~いって感じ。


 でも、女の子として見てくれが悪いだけであれば、所詮私なんてそんなモノ、中学校からの延長上と割り切ることが出来ないでもない。だけど、それ以外にも徒歩通学の中学校時代とは違ったしんどい代償が有ったりする。

 それが今乗っているこの遅刻ぎりぎりのバスの押すな押すなの大合戦。このバス、ちょー人気。そんな半端な混雑とは訳が違うのだなこれ。

 何たってサイズ22.5cmの可愛いあんよの置場を確保することすら難しいんだから。


 この足場あんよば、特に立ち幅が小さいと凄く大変なことになってしまう。駅前を出発して、終点の我が”荒野高校”までの全行程35分余り死のロードが待っている。

 最初の20分はまだいい。それなりの大都会と遜色の無い道路整備が施されているから。だけど、残りの15分がかなり問題だったりする。

 急に、いつ舗装したんだろうね?ってくらいに穴凹だらけの道になっちゃって、しかも自然堤防の上に出来た細い道はうねうねで、左右に振られまくりぃ。


 運転手さんも、遅刻ぎりぎりとしっているから、遅れないようにと急いでくれる。それは有り難いし、もちろん感謝してる。だけど、おかげで道路のうねりにあわせた横揺れと、アクセル、ブレーキに会わせた前後の揺れ、それに不意な道路の穴から生ずる衝撃的な縦揺への対応はこのバス特有なバランス感覚が必要となっちゃう。

 だから、ど~してもそれなりの立ち幅が必要、ってなわけ。


 そろそろ、今日も景色は次第にのどかになって来た。橋を越えて左に曲がると、今日も悪路との戦いが始まる。

 気合いを入れなければ・・・。


 と言うのに、あろうことか今日は不覚にも最初っから安定的に体を支える為の足場あんよばが全然確保出来ていない大ピンチ。それどころか、先ほどの左折で迂闊にも左あんよを浮かせてしまったばっかりに、その隙に私の大切な足場がかなり撤退させられると言う失態を犯してしまったのだ。


 で、今どんな状態であるかと言うと、これから選手宣誓でも始めるかの様に、ほぼ”気を付け”の体制で、右手脇が()るかと思っちゃう位にピンと延ばしているってかんじ。

 低身長の私には、天井スレスレで嘲笑っている銀色の棒に、右手一本でほぼぶら下がっているような状態はかなりキツイ。とても、このまま15分も持ちそうにない、お粗末さ。


 このままでは確実に、学校に着く前に力尽きてしまう。へたコクと、力尽きた私が起因となって、バスの中で将棋倒し何て状況も起こってしまうかもしれない。まさに、地球の危機って感じ。

 なんとしてでも、早々にこの足場陣取り合戦で勝利せねば、甚大な被害が民を襲うことになってしまうことに成りかねない。

 まさに遅刻ぎりぎりのバスの中は戦場なのである!


 さあ、バスが橋の上に差し掛かった。

 いよいよ決戦の時である。既に右手は一杯一杯の状態。後は根性と気力。

 幾ら生徒達を遅刻させない為とは言え、バスも工事現場も、出産も安全が第一。おっつ、出産は安産だった(まだ余裕がある証拠)。


 満員であることもあり、曲がる時はバスもそれなり(残り時間による)速度を落とす。

 それでも自然の法則には逆らえない。曲がるとなれば、それなりの慣性の法則が働く。右手は自然の(法則の)厳しさを知ることとなる。


 だが、右手にはキツイが、逆にここは”陣地を取り返すチャンス”でもあるのだ!機を逸してはならない。


 バスが左折をする。

 右に振られることを予期して一斉に左に傾く高校生。これで、遠心力を足の裏の摩擦力で相殺する作戦だ。流石にこのバスに乗り慣れたつわもの達は、見事な体重移動で最初の難所を切り抜ける。


 ただ、偶に若いくせにボ~ッとして足場を動かしてしまうヤツは必ずいる。この一週間観察して来たのだから間違いない。

 

 頼みます、頼みます、頼みまーす。それが私の周りの人でありますようにー!

 誰か私に足場を譲って、ちょろっとでいいからさ~!

 お願~い・・・。


 なんて心で叫ぶ。瞳をダイヤモンドの様にキラキラと。


 その心の叫びが天に届いたのかどうなのか・・・。


 下半身に尖らせていた神経、その左踵・・・あれっ?圧迫間が感じられなくなった!

 左背後のヤツか。

 フフフ、抜かったな、バカものめー。


 吊り革に掴って余裕をコイてるからだ。遠心力如きに負けおって、一歩前へと踏み出したに決まってる、愚かな。私のように危機感があればそんなヘマはしない(と言うより、踏み出したくても踏み出すことも出来ない)。


 すかさず私はその左後方で誰それが空けたスペースにすかさず摺り足で左足を滑り込ませる。

 少しでも脚を開ければと、謙虚に素早く滑り込む私のあんよ


 んっ?意外と大きな陣地の確保が出来そうではないか・・・。恐らく15cm位は陣地を広げたと思う。しかし、まだ左後ろの誰それの踵と再び会い交え無い。

 な~んだ、そんなに前にスペースがあったのなら、とっとと私の為に足場を譲ればいいじゃない。少しは後ろの私にも気を遣え!と言いたい、プンプクプン。

 なんて文句はあるが、そんなことより身の安全だ。


 ともあれ、

 しめた!これで、残りの15分少々の悪路も安泰!

 私の張り詰めた脇も攣らずに済みそうだ。どうせならと、もう少しだけ。更にあと5cm安定性確保の為にと摺り足で陣地を広げにかかったりする。背中に当たる背後の感覚からよると人と人の間。誰にも属さない開放地帯のはずだ。


 反撃に合わない内にと、すかさず伸ばす毛のない私のあんよ

 スルッ・・・。


 あれっ、お尻がぶつかった?

 何故にぶつかる?

 私としたことが、背後の気配を見誤ったか・・・。

 一体、さっきの左折でどんな陣地の奪い合いが背後で起こったのだ?


 私が背中で感じていた背後の人的配置が想像とは違っていたってことになる。

 どうしよっか?

 何にしても私の可愛らしいお尻には、引き締まった感触が当たっている。


 と思ったら、ウオッツ!

 さらに、ドン!っと、

 ジャストタイミングで、バスの縦揺れに合わせた体の揺れ。


 人の腿の間に挟まった感のオーラが私のあんよ伝播する。


 キャッ(声にはしない)、挟まっちゃったー!


 間違いない、可憐な私の腿に当たるこの感触は見事に蟹バサミ状態。


 はっ!!

 私の大脳コンピューターが高速回転で作動を始める。


 例え私の経験値からのデータは少ないとは言え、何を隠そう私は母親譲りの大の”尻フェチ”。当たった感触と触れている位置関係から、男女の区別と絡み具合は手に取るように判ってしまう。

 

 一瞬の想像。

 そして生まれる心の動揺。ドキドキ。


 間違いなく私は、とある男子生徒の股座またぐらに足を突っ込んでしまったのだ。

 突然押し寄せる至福の時。いやいや、何でも無い。


 ここで一つのストーリーが頭を過ぎる。


 一人の少女が、芽生え始めた性へのモヤモヤとその好奇心から常時の自分を忘れてしまい、大胆にも見知らぬ男の脚の間に、ぷっちんぷりぷりに、ハリハリのスベスベな足を自ら滑り込ませてしまった・・・。


 そんなことを思われたらどうしよう・・・。


 しかし、ここで足を抜いてしまって10分の悪路に耐えられる自信が無い。

 それより、この引き締まったお尻の感触から退却するのは、も、も、もったいない。か、かもしれない(小さい心の声)


 お、女の子としては、除けるべきなんだけど。

 お尻フェチの私には、も、も、も、もったいない(小さい心の声)。


 どうしよう、半分だけ抜こうか・・・。

 いや、ダメ。半分抜くと、未練があるみたい。

 時々当たるカスカス感を味わってるなんて勘違いされたら屈辱だ。

 でも、こんだけ混雑してるんだから、そんなこと思われないかもしれない。だったら得する(小さい心の声)。


 3センチ抜いてみた。


 いや、何やってるの乙女の私。私の目指す女子高生ブランドは、それじゃぁない!


 と、思ったらまたバスが揺れて、4センチ攻めてしまった。しまった、逆に攻めてしまった。若き男の熱気が肌に感じる。この熱気、両サイドからではない。挟まれているにも関わらず熱気は上方から感じる。


 何んだ、この熱気は?


 そんなこと考えている場合ではない。どっちにしても入れたり抜いたり迷ってたら、返って故意だと思われるかも。ここは平然と足場の争いを、性格悪そ~うに演じるか、おしとやかに完全に脚を抜き、この先の行程を必死に耐えるかの二つに一つ。


 こんな時、若い頭は瞬発力が違う。瞬時に損得勘定をはじき出す。一瞬の快楽より、残りの2年11ヶ月が大事に決まっている。


 一気に抜くことを決意!

 この筋肉質のお尻の感覚、惜しいが・・・(小さな心の声)。

 

 文字にしてしまうと、結構な時間のようだが、私の高速回転の大脳からしてみればマイクロセックでしかない、たわいも無い瞬間技(だったと思う)。

 しかし、そんな瞬間的な時間に屈辱が起こってしまった。 

 

 に、逃げられた!


 ちょっと待ってよ、何で私より先に逃げるのよ。逃げるのは女の子の私でしょ。

 それじゃ、完全に私から近づいたみたじゃない。いや、実際そうだけど。これは不可抗力なんだから。


 幾ら私がお尻フェチだからって言っても、自分から好んでお尻をくっ付けたり何かしないわよ。美味しいとは思ったのは事実だけど、今日は生理前でもないのだよ。


 もしかして、そんな女と思われただろうか?いや、きっとそう思われた!

 ・・・屈辱。

 

 と、そこでバスが左折。

 ダメだ完全に動揺して、油断していた。逃げたダレソレに寄りかかってしまった。


 拙い・・・と思ったが、あれっ受け止められた。背中で支えられている。


 って、あれ?

 ちょっと待って、こんな状況って何処かで聞いたことがあるような・・・。



 ~~~ もやもやと記憶の引き出しを開ける ~~~~


 その時、田舎から引っ越して来たばかりの三田麻奈美、当事16歳は、初めての都会の朝の壮絶さに戸惑っていた・・・。


 麻奈美の通学電車は、丁度ラッシュのピーク時だった。

 どう見ても乗れそうもない電車に押し込まれる人々に怯える麻奈美。


 一体、電車の中に押し込まれた人間は、どのような状態になているのだろう?

 そう思うと最初の電車は余りの恐ろしさに、竦んだ足を電車入り口へと近づけることさえ出来なかったのだ。


 どうしよう、乗りそこなった・・・。


 しかし、そこは流石に都会。電車は直ぐに来る。だが、次の電車にも乗れなかった。

 これで2本の電車を乗り過ごしてしまった。時間に余裕はない。次の電車に乗らなければ転校初日から遅刻と言う、人格を疑われる結果が待っている。


 次は「各駅停車(略して各停)」と言う電車だ。麻奈美は入り口の前に、目を瞑り引けた腰で取り合えず立つだけ立った。


 さあ、押して頂戴。後は野となれ山となれ!出来れば小高い丘くらいにお願いします・・・口はへの字。

 ところが、後ろから押されていざ電車の中に突入してみると、混んではいるのだが押されて何某(なにがし)ってな程ではない。田舎育ちの麻奈美は、“急行電車”と“各停電車”に対する、人々の価値観、人気度を知らなかったのだ。


 拍子抜けした麻奈美であったが、それでも田舎のバスとは大違いでそれなりには混んではいる。手摺までは確保出来る状態ではない。と言うより、田舎育ちの彼女は人の間に割って入る度胸が無かったのだ。 よって、人生発の両手離しと乗車と言う高等技術を強いられることとなる。


 もちろん、彼女が前後左右の揺れに対応出来るはずがない。初心者の彼女には、揺れに合わせて体重移動でさせると言う高等技術並びに、瞬時に膝で吸収するなどは思いもつかなかったのだ。


 麻奈美は一人だけ、あっちにフラフラ、こっちフラフラと酒酔いおやじと瓜二つの状態。

 恥ずかしくて赤面する麻奈美。だが、意外と世の中にはソコソコの事象であれば、結構救世主は存在したりする。

 麻奈美が大きく後ろにヨロケタ時に、それを微動だにせず受け止めてくれるたくましい背中があったのだ。背中はよろける彼女をしっかと受け止めたまま、その場を除けようとしなかった。


 いつもの麻奈美だったら、過剰に謝って自分からその背中から自分の体を離すところなのだが、何故かその時に限って「頼ってしまおう」そう思ったのだった。

 ただ、彼女は徐にたくましい背中に自らの体重を預けると、周囲からあからさまに“寄り掛かってる”とバレてしまい、痴女的な目つき見られるかもしれないと思った。そこで、周囲の死角になるお尻に自分の体重を預けたのだった。と言うことは、当然の如くお尻に触れるのはお尻となるわけである(が、決して故意にそうしたのではないと言う談話は聞いている)。


 てなことで、電車の揺れにお尻同士を仲良く擦り擦りさせながらも彼女は無事下車駅に辿りついたのだったのだ。


 思い切って振り向いたそのお尻の持ち主は、以外にもさほど大きくない制服姿の男子高生だった。

 しかし、麻奈美には大きく逞しく見えたのだった。


 それから、学校は残念ながら違ったけど何の示し合わせもなく、二人は毎日同じ電車の同じ車両に乗合わすことに・・・。

 偶々、二人はお尻フェチ同志だったこともあり、二人はお尻合いになったのであった。


 それが数年後、見事ゴールインで奈智と言う世にもカワユイ女の子が生まれることに繋がる。


 つづく(現在に)


 ~~~ ぱちっ!(目蓋の音) ~~~

 

 そう、パパとママって、お尻合いからお知り合いになんったんだった。

 と言うことは、その遺伝子を引き継いでいる私も、きっと同じ運命ってことなのかもしれない。

 もしかして、後ろの誰それが私の未来の旦那さんってこと?ウフ。

 なんて、やだ~わたし。


 よく考えてみれば屈辱だけど誠実そうだし、何よりあの筋肉質の締まったお尻はわたし好み。さっき感じた熱気は、きっと二人の未来の熱さを予知したものだったのかも、なんて。


 ん、うんん、きっと、きっとそうだ。

 後は、顔だ、顔が良ければ全て良し!


 頼みます。かっこいい男の子でありますように・・・。


 なんて考えていたら、やだ、どうしよう。

 ヤバ、心臓がドキドキ、バクバクして、息苦しい。


 もう直ぐ、バスは終点。

 こんな満員バスじゃ、脚をバタバタさせて心を落ち着かせることも出来やしない。

 気が付いたら、私は後ろの彼にお知りを押し付けた状態となっている。


 まず・・・まあ、いっか。これから、どうせ・・・なんだし。


 そして、到着。バスが止まるが私も止またっまま。先に降りるべきか、後に降りるべきか判断が付かない。迷っていると、先に降りて行く彼。その後、二人置いて続く私。


 後姿、特にお尻の締りと、上がり具合にはケチの付けようが無い。

 こんな人が不細工である訳が無い。そんな気がする。


 お願いこっちを向いてうんたらパワーを送り込む私。

 こっちを向いて、お願い。お願い。


 足が止まる、彼。


 よしっ!! 

 微笑め、微笑むのよ私。彼が振り返ったら、取りあえず・・・素敵に笑って。

 

 あっつ、彼が振り向いた。


 引き攣って笑う私。


 そこに冷たい視線ビームが突き刺さる。


 ずっど~ん!!!

 うわ~あっ、あ~あああ。


 そして、チラ見で行ってしまう。・・・屈辱。


 私のお尻と触れたことがそんなに嫌だったとでも?

 男の子って、嬉しいのと違うの?


 それとも、私のお尻の感触が悪かったとか、振り向いて私の容姿にがっかりしたとか?


 うそ、うそ、うそうそうそ・・・。

 体に力が入らない。


 あのバスには乗れない。もう乗れない。


 明日は、早起きしなきゃならない。

 気合入れなきゃ、そんなことの1回くらいで、めげちゃダメ。


 明日からきらめく女子高生になればいいんだよ、奈智。

 そうだ、気合だ気合。

 人目を気にせず、「えい、えい、えい」と両手の拳を握り、地面に向かって3回振り下ろす。


 きっと、ヤツはカマだったんだ。そうに違いない、そう思うことにしよっ・・・。


 <おしり、でなくて、おわり>



女子高生の皆様怒らないで下さい。フェチション、いや、フィクションですので。

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― 新着の感想 ―
[一言] むむむっ、女の子の尻フェチっているんだなあ…(腰骨フェチなら知り合いにいるけど) 毎朝マイカーで悠々出勤しているので、ちょっとだけ羨ましかったです (*´д`*)
[一言] 読みましたー!! て、てっきり痴漢ネタかと(汗) そっちも読みたいなあ~(笑) 足場と書いて「あんよば」と読ますとはさすがでございまっす! しばらくハマりそうですね、あんよば。 お尻が…
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