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人見知り

作者: 千知

 4月。その月は沢山の生徒が入学してくる。皆、希望や不安を持ち緊張した様子でこれから3年間通う中学校に入っていく。


 その中に一人、入学式だというのにある悩みを抱えた少女がいた。彼女の名前は神埼 玲。暗い顔をしてその暗い顔には希望など無く、不安や緊張感が宿っていた。


 彼女の悩みごとというのは『人見知り』。普通の人であればそんなに気にする事でも無いのだが、小学校のときの経験にあるようでいわゆる『トラウマ』というものいなっていた。人見知りで済めばいいのだが彼女はそれだけではなく、天然、物事をストレートに言う、ドジなどの災厄な性格を持ち合わせていた。彼女はこれらの事をすべて自分が人見知りのせいととらえていた。


 そして小学校の時のトラウマの事だがこの性格のため苛めを受け大分ショックを受けたようで、人見知りのせいにするのもその時からだ。


 彼女は自分の学級の階まで上がり自分のクラスには後ろのドアからそっと入りそっと席に座るのであった。座りながら自分の人見知りをどうするか考えること約十分。担任らしき男の先生が入ってきた。


「お早うございます。この1年3組の担任になりました。楠 敬太郎です。よろしくお願いします」


 言葉ずかいは丁寧だが、スーツを着ていても分かる筋肉質と低く大きな声は彼女に怖い印象を与えた。


「今から体育館に移動して入学式を始める。入場の仕方は…」


 楠先生は黒板に図を書き細かく説明してくれた。彼女は自分がミスしないように一生懸命に説明を聞いていた。細かく説明してくれたおかげで理解にいつも困っていたが理解する事が出来た。


「では廊下に出て名簿順に並んでください」


 廊下に出て自分の場所に行こうとしたが自分の場所が分からない。彼女の顔はたちまち真っ青になった。人に聞けばいいが人見知りのトラウマを思い出して誰にも聞け無くなる。そしてついにその場に倒れてしまった。


 目を開けるとそこはベッドの上だった。多分、倒れたので保健室に連れて来られたのであろう。状態は普通に戻ったものの頭の中はクラスに戻ったら皆に何か言われるだろうなどとやはり気持ちは変わらなかった。そんな時カーテンが開いた。入って来たのは担任の楠先生だった。


「玲さん大丈夫ですか?急に倒れたので驚きました」


 先生に迷惑をかけてしまったという事が分かり落ち込む。


「はい…」


 うつむき暗い声で返事をする。

「神埼さん。もしかして貴方は人見知りですか?」


 予想もしていなかった返事が来たので驚いて先生を見る。自分に『人見知りですか?』などと聞く人は初めてだったからだ。


「そのようですね」


「はい…」


 否定しても無理ぽかったので否定はせずに正直に答える。


「そう思ったのですよ。これは昔の話ですが自分も人見知りで玲さんと同じように倒れたことがあったんです」


 思わず口を開けて固まる。怖いい印象だった楠先生が人見知りであるなんて考えられないからだ。


「苛められたこともあり大変でした」


 ここまで自分と同じという事に驚く。


 そして楠先生は言葉を続けた。


「人見知りのせいにしていましたがそれは違いました。自分がネガティブに考えすぎていたせいでした。そのせいでどんどん思いこんでしまっていました。けど高校の時担任の先生に言われました。『苛められるのはお前の思い込みのせいだ。お前も反省しろ』と。それから私の人見知りはだんだん治まってきました。だから玲さんポジティブに考えてください」


 



 15年後。彼女は通販の会社で働いていた。電話を取り人と話す機会が多く中学生の時のことを考えると無理な仕事ではあった。だが彼女にはもう人見知りのトラウマなんか無かった。


 それはあの時の楠先生の言葉が彼女の心の中に残っているからであった。

小学校の時小説を書く授業でうまく行かなかったのでリベンジしてみました。

ヘタなのは変わりませんが頑張りました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 中学生や高校生って大変です。 他の作品の連載続けてください。
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