拝啓、僕へ。
誰かに届くかもしれない。
誰にも届かないかもしれない。
そんな手紙。
今日はあることを決めた日
天気はとてもいい。快晴だ
いつも通り学校に行く
「よっ」
「よっ!」
そんな何気ない会話だけでも幸せを感じることができる
彼の名前は世戸悠香
本人は女の子っぽくて少し嫌みたい
いい名前だと僕は思うけどな…
「今日で学校終わるな」
「そうだな」
悠香がそう言った
今日は終了式だ
今日で一旦学校は終わり
俺たちは今、高校2年生
来年、大人になる
俺みたいなやつが大人になっていいのだろうか
親に捨てられた
育児をするのがめんどくさいって母さんと父さんは言った
じゃあなんで産んだんだよって俺は思った
俺は産まれたいなんて一言も言っていない
勝手に産んだんだ
なのに捨てるって…?
自分勝手にも程がある
前までは怒りの感情が湧いてきていた
それと同時に、産まれてきたのが間違いだったのかもしれないって悲しくもなった
でも、最近は慣れてきたからなんとも思わなくなった
こういうのに慣れるのって良くないのかもな
そんなことを考えていると世戸が話しかけてきた
「あっ、ごめん。聞いてなかった!なんて言ったんだ?」
「だーかーら、今日どっか遊びに行こうぜ!」
「あー、ごめん!今日予定があって…」
「そっかーじゃまた土曜日にでも!じゃあなー!」
そう言って別れた
本当は、一緒に遊びたかった
さいごくらい、遊んだら良かったかな
なぁ、成津。お前もそう思う?
成津は弟だった
「だった」って過去形だからどうなったか分かるかもしれないけど、弟は数年前に死んだ
理由は自殺
成津のクラスメイトが成津の友達を虐めてたらしい
成津は正義感が強いやつだったからその子を助けた
そしたら標的が成津になって…といった感じだ
俺は誰かのために行動できるのはすごいと思った
成津は前も誰かを助けたせいで学校に遅れて怒られていた
理由を話したはずだから許してやったらいいものの、典型的な「おばあさんを助けた」だったから先生も疑ったのだろう
成津は俺の自慢だった
こんなに誰かのために行動できるんだぞって誇らしかった
成津のいい所が成津が死ぬ原因になるなんて思ってもいなかった
成津は頭も良くて、元気でみんなから愛されるようなやつだった
成津が死んでから俺は成津の代わりになろうって思ってた
でも、代わりになることは出来なかった
明るくてちょっとバカでも誰よりもお人好しで優しい
そんな完璧な性格だったから全てを真似することなんてできなかったんだ
一部を真似できても全てを真似することはできない
代わりになれないのならどうやって生きたらいいのか分からなくて…
成津が死んでから俺は俺じゃなくなった
髪型も性格も喋り方も成津を真似した
この世界に俺はいなかった
成津の性格を真似しているおかげか友達も彼女もいた
でも、みんなが見てるのは俺じゃなくて成津で、そのことが俺を苦しめたんだ
だから今日終わらせるんだ
全部終わらせる
部屋には何も残さない
全部燃やす。燃やしてから終わらせる
全部無かったことにする
俺があの家に居た証拠すらも燃やせば無くなる
燃やす前に家にあったアルバムを見た
成律と俺が写ってる写真
どちらも笑顔で……
……あの頃は幸せだったなぁ
燃えていく自分の家を見ながら俺はある所へ向かった
その前に一粒の雫が意味ないけど消火しようとしたやうだった
最期に手紙を書いた
直前に何をしたかを書いた手紙
子供っぽいかもだけど紙飛行機にして飛ばした
この世界が永く続きますように
でもやっぱり恨んでるよ
成律を殺したこの世界を恨んでるよ
呪いをかけてあげる
俺の知り合いだったら特に効くと思うな
俺さ、お前らのこと結構好きだったよ
だから成るべく長く生きてくれよ
たくさん人を救うんだ
そして、たくさんの人に感謝されるんだ
俺はそんなお前らを好きになった
馬鹿みたいに優しいお前らをな
なぁ知ってるか
俺はさ嘘つきなんだぜ
嘘つきで犯罪者
じゃあ、またどっかで会おうな
俺は先に本当の家にいっとく
紙飛行機を思いっきり投げた
最後に聞こえたのは波の音だった
和田理央より。
見て下さり、ありがとうございました!(´▽`)
次の作品まで、気長に待ってくださると幸いです!




