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第一章

 次の朝。目が覚めたシアンは切り傷の痛みが昨日よりひどくなっているように感じました。しかし、町医者を頼れるほどのお金が残っていません。シアンは切り傷が痛むのを気にしながら仕方なく次の目的地に行くことにしました。


 次の目的地は町からかなり離れた場所にありました。その場所に着いた時にすでに太陽は高くのぼっていました。そこは教会の跡地で人は誰もいません。シアンは教会の表側にある墓地へ向かいました。

 墓地へ向かう途中にある少し開けた草地でシアンはあるものを見つけました。それは草の上に仰向けになって空を見ている少女でした。少女は明るい肌に白いワンピースを着ていました。

 シアンは決まりきったあいさつをしました。

「こんにちは。こんな所で何してるの?」

 少女は仰向けのまま言いました。

「こんにちは。あなたが来るのを待っていたのよ」

 少女は勢いよく起き上がるとシアンに向かって近づき、そして切り傷を見つけると言いました。

「その傷、治してあげる」

 少女は少年の両手を優しくつかみ、目を閉じてこう呟きました。

「私は愛します。愛します。愛します。あなたと共にいるのですから……」

 風が二人を優しくなでて通りすぎました。そして少女がしずかに手を離すと、不思議なとこに傷はすっかり消えてしまいました。

「えっ! なんで?!」

 シアンはとてもおどろきました。そして少女に向かって言いました。

「もしかして魔法使い? それとも、魔女?」

 少女は答えました。

「どっちでもないわ。しいて言うなら天使かしら? それも違うわね」

 少女はつづけて言いました。

「それに今のは魔法でもなんでもないことよ。簡単に説明するなら……あなたの内側にある力を見ただけなの」

 シアンは傷が治ったことに喜びました。

「治してくれてありがとう! でもさっき僕を待ってたって言ってたよね? なんで僕なの?」

 少女は答えました。

「今日、あなたがここに来るって知っていたの」

「それだけ?」

「他にもあるわ」

 少女は大きく伸びをしてから言いました。

「まずは自己紹介ね。私の名前はアスター。町の人たちからは変人呼ばわりされてるわ。よろしくね」

「僕はシアン。旅をしながら物語を作ってるよ。よろしく」

 こうして二人は出会いました。そうしてこれから二人の小さな物語が始まることになりました。



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