47.狂気的なまでの探究心
「ソレでは!今後の方針を発表します!」
唐突にエルが叫んだ、なんというか全体的に落ち着きが無くひっきりなしに立ったり座ったりしている、隣の助手は落ち着いた……というよりむしろ疲労が溜まり切っているかのように椅子にだらしなく座っている。その肩をエルが叩いた。
「助手が!!」
「あーハイハイ、いつものことッスね」
指名された助手が立ち上がると博士から受け取った紙束を手に取りめくり始めた。
「えー、ユーマ氏は博士による解析対象ッスね、色々と実験されるんで覚悟して欲しいッス。その他魔術使える組は取り敢えず疑似戦闘での確認ッス、どの程度どれくらいの魔術がどのように使えるのか……詰まる所は平均値との乖離率を見るッス」
前髪に隠れているせいで読みきれない目線を上げ、紙束を机にトントンと叩き端を揃える。
「んで、質問は?」
全員が流れに任せようかという瞬間、悠真が軽く右手を挙げた。
「スマン、キールは子どもなんだが……その疑似戦闘に危険性は無いか?」
「無いとは言い切れ無いッスねー、痣くらいはできるんじゃないッスか?因みに拒否権も無いッス」
軽い口調とは裏腹に内容は重い。
「他、無さそうなのでウチが案内するッス、ユーマ氏はココで博士の相手しといて下さい」
「ヨロシク~」
「あ、あぁ……よろしく頼む」
レオンらがゾロゾロと出ていく中、一人取り残され多少の寂しさを感じた悠真の横に、エルが気安く近寄ってくる。椅子の上に座りまたもや紙束を取り出す、どこに収納されているのか分からない、まるで魔法のようだ……魔法かも知れないが。
「そんでー、君が噂のユーマか。魔物に襲われたことにより錯乱及び心神喪失状態で発見、その後記憶喪失と判明……かな?」
グググ……と顔が近づく、その圧に仰け反りながら悠真は答えた。
「そうだ……」
しかし、答え終わるより早く両の頬をガシッと掴まれ瞳を覗き込まれた。
「ぼくはね……歪んだ情報が嫌いなんだよ……正確な答えも予測もできないからね……どうする?自分で全部言う?それとも僕に剥がされる?」
厚底のメガネのせいでコチラから表情は読めない、しかし口元がニヘラと歪んでいる。その様に悠真は偏執的な執着と有る種の狂気を感じた。
「分かった分かった!信じてもらえないかも知れないが言う!全部言うから!!」
「信じるかどうかは僕が決めるよ……」
一旦席に戻ったエルが、肩肘を付きニヤニヤと笑っている。既に悠真には抵抗する気力が削れきっていた。




