46.観測・観察する者、される者
悠真達一行は、ルナールによって居住区から離れたとある建物の一室に案内されていた。基本的に滑らかな石造りだが椅子などの家具類は木材のようだ。壁に並んだ棚の中にはギッチリと本……というか紙の束が敷き詰められていて、天上の一部がボンヤリと光っている。ルナールは一行に着席を促すと誰かを呼ぶために部屋から出ていった。
(なんつーか……会議室っぽいなあ……)
堅苦しい雰囲気が苦手な悠真が緊張して背筋を伸ばして椅子に座っていると、分厚いドアが勢いよくガタン!!と開き、そのまま壁にぶつかり跳ね返る。驚きつつ振り向くと、音を立てた正体が調子良く……というかむしろ調子の外れたような声を出した。
「いやー!!どもどもー!はじめましてー!ぼくは今回ユーマ解析班の主任になったエル・カイアです!コッチは助手のA!!」
「ッス……」
茶髪と青髪の二人組が目に入る、パッと見のシルエットだけでも既にデコボコだ。
茶髪の方は背が低く撫で肩で、目が悪いのだろう瓶底眼鏡をかけていて、ずり落ちる度に人差し指で押し上げている。元気一杯の子どものようだが性別も年齢も見た目からは分からない。対する青髪の方は長い前髪が目元を隠しており表情が見えない、口はへの字に曲がっているが決して不機嫌では無いようだ。肉付きは悪く全体的に細身である、その代わり背が高い。その青髪のへの字口が開いた。
「博士、やっぱり引かれてるッスよ」
「えぇー?なんでー?元気にご挨拶したのにー?」
「時と場合によりけりッスね、初対面でやることじゃ無いッス」
「助手Aは元気が無さすぎるよー?」
「ウチはコレで元気一杯なんで、大丈夫ッス」
二人でガヤガヤとやり取りをしながら悠真の対面の席に付く、後ろから入ってきたルナールは珍しく目元に疲れが出ているようだ。
「……後は引き継ぎますので、自分は失礼します」
「なぁーんでー?折角会ったんだから一緒にお話しようよ!!」
「博士、ストップ。そういうところが迷惑ッス」
「酷くない!?」
「事実を突き付けてるだけッスね」
いつもより多少肩を落としているようなルナールが出ていくのを見送り、悠真が隣のレオンに囁く。
「……なんだかキャラが濃いな?」
「えぇ……なにせ各国が協力して運営している研究施設ですから……ある意味上澄みが集められているのでしょう」
「偏ってるってわけか?」
「恐らく……ですが、研究対象として呼ばれたユーマさんも人の事は言えないのでは?」
まだ騒がしい二人のやり取りを横目に見て悠真は呟いた。
「アレと同類扱いか……」




