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43.いざ旅立ちの時

早朝、ルナールの命の元、悠真を始め集まったメンバーは長距離移動用の馬車へと案内された。ソレイユは先に行っているらしい。


 「想像していた馬車と違いますね……下にあるのは金属の板ですか?それに車輪に塗っているのは……ゴムでしょうか?」


 車体をアチコチ覗き込みながらレオンは感心していた。


 「へー、アタシこんな豪華な馬車乗ったことないわ」


 セリアはセリアでデザインが気になったのだろう、間違って触れて壊さぬよう距離を取りながらグルリと見て回っていた。その横で悠真はと言うと……



 「……コレが馬車だって!?」


 一見、普通の馬車に見える。いや、古い映画や創作でしか見たこと無いが、拙い知識でも認識出来る程度の馬車としての形はしていた……しかし。


 「馬に車と書いて馬車だろ!なんだあの巨大なダンゴムシは!?」


 そう、馬の代わりに繋がれていたのは自身の背丈ほども有るダンゴムシだった、複数ある脚を折り畳んで地面に伏している。


 「あぁ、ユーマさんは初めて見るんですっけ?アレは魔術によって動く機械ですよ」

 「……俺の知ってる機械とは大分違うようだがな」

 「時間です、皆さん搭乗してください」


 懐中時計をチラリと確認したルナールに促されるまま、悠真達は馬車に乗り込んでいった。


 流れる景色を見ながら、悠真は以前乗っていたバイクを思い出していた。


 (細い山道をトロトロ走ってるくらいのスピードだなぁ……)


 しかし乗っていたバイクと違い、サスペンションは粗雑でタイヤも地面からの衝撃は吸収しきれず、座席は硬く腰と首にダメージが蓄積する。


 「なぁ、お前らは腰やら尻やら痛くないのか?乗り心地悪くないか?」


 首を揉みながら悠真は周りを見てみたが、全員しんどそうでは有る、しかし……


 「乗り心地?大分良いわよ……それよりも……別の事で気分が悪いわ……」


 どうやら、悠真とは別件で調子が悪そうだ。セリアは壁によりかかりレオンは前のめりになり両手で頭を抱えガルドさえ腕を組みしかめっ面をしている。キールはキールで悠真の膝の上でグッタリしていた。


 「……どうした?」

 「ルナールさんが説明してたじゃないですか、一応安全のために僕らの魔術を制限すると……一種の精神作用系の魔術ですよ」

 「あー……嫌なことがずっと頭の中をグルグルしてるわ……」

 「仕方が無いとは言え……コレはキツイな……憂鬱で堪らん」


 全員が渋い顔をしている中、悠真だけが平然としているのを見てセリアが疑問を呈した。


 「ユーマ……アンタなんで平気なのよ?」

 「え?いつものことだが?」


 内心、ちょっと調子悪いかなー?低気圧かなー?と思ってた悠真が当然のように答える。


 「むしろもっと酷いときも有ったが?」

 「ウソでしょ……いつからよ?」

 「記憶のある限り昔から」

 「アンタ本当に化物ね……」


 目の端でルナールの様子を捉えると、コチラを伺うような気配を感じる。まるで実験用の動物にでもなったかのような気分だった。

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