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4.ここはきっと異世界

道案内を続けながら少女が話しかける。


 「そういえば、名前を伝えてませんでしたね。ワタシの名前はセリア・リヴァルって言います」

 「あぁ、俺は倉本悠真だ」

 「クラモトユーマ……さん、不思議な響きの名前ですね」


 やりとりを続けながらスタスタと歩いていく。一方悠真の方は足が追いつかない、まるで競歩のようなスピードだ。


 「スマン!!もう少しユックリ歩いてくれないか……」

 「あ、ごめんなさい。履物を履いてなかったんですもんね、失礼しました」


 例え靴を履いていたとしても、悠真には差を縮めることはできなかっただろう。根本的な体力差が有るようだ。しばし歩いていると1軒の家の前でセリアの足が止まる、二階建ての石造りで簡素な木の板にはレオン・フィルブランと刻み込まれている。


 (どこまでも徹底してナーロッパだな……)


 なんだか肩の力が抜けた悠真を横目に、セリアが金属製のノッカーで扉を叩く。


 「レオンー、いるー?」


 少しして足音が聞こえ、家の主が現れた。ややうねった髪は活き活きとした木々のような緑色で、対象的に灰色に近いローブを纏っている。身長はやや高く目線が自然と上を向く、そして何より……


 (爽やか好青年でイケメンだ……っていうかそもそも、見かけるやつほぼ全員目鼻立ちが整ってるな)


 悠真がボヤッと見ていると、二人は親しげに会話をしている。そして目線がコチラを向き、レオンが話しかけてきた。


 「はじめましてユーマさん、よろしければ中でお話を伺っても?」

 「あ、あぁ。俺も色々と混乱していて……話を聞いてもらえるのは助かるよ」


 家に上がろうとする悠真にレオンが布を手渡す。


 「どうぞ、足を拭いてください」

 「ありがとう……」


 受け取った布地の感触は、タオルとは程遠いゴワゴワとした質感だった。室内に入り机を囲み三人が腰掛ける。悠真から見て正面がレオン、右隣にセリアという感じだ。それぞれの前にはレオンが入れた水の入った木製のコップが置かれている。


 「さて、ユーマさん。それではお話していただけますか?」

 「そうだな、えーと……」


 そして悠真は経緯を語りだした、寝て起きたら突然森の中だったこと、スライムのような変な物体とすれ違ったこと、やっとこの街を見つけ井戸に辿り着いたこと。


 「……というわけだ」

 「にわかには信じがたいですね」

 「だろうな、俺もわけがわからない、とりあえず警察に連絡をしたいから電話を借りても良いかな?早く家に帰りたいんだ。キチッとお返しはするので……」


 そこまで行って、何やら考え込んでいたレオンの目線がコチラに移る。


 「ケイサツやデンワとはなんですか?」

 「知らないのか?日本じゃ常識のはず……」

 「ニホンというのも分かりませんが……」

 「冗談はやめてくれよ、国の名前だろ?日本じゃないならココはどこなんだ?」


 一瞬息をのみ、深く吐き出しながらレオンは続けた。


 「……リグナスです。ユーマさんこそご存知ない?」

 「全然存じ上げないな……」


 三者三様、微妙な沈黙が場を支配した。

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