36.魔術のお披露目会
「で?なんでアタシ達まで呼び出されるのよ?」
「悪いなセリア、俺のせいで巻き込んじまって」
いつかの湖のほとりに、悠真、レオン、セリア、ガルド、キールが集まっていた。その様子をソレイユとルナールが観察している。
「まぁまぁ、セリアさん。魔術を見せたら良いだけですし」
「見た上で判断致します、レオンさん……魔術を使って下さいます?」
問われたレオンがにこやかに応じ、袖の中から何かを取り出す。掌に乗ったソレは何かの種のようだ。その種を球体の水で包み込み遠くに飛ばして地面にめり込ませた。
「我は繁茂に在り我は発火に在り、枝は影を増やし炎は意志を与える、視線は分かれ敵意は迷う、
汝は、誤って追う——散れ、デコイ・パイア」
呪文の詠唱に従い種が急速に成長し人の輪郭を作り、炎が燃え上がる。
「……とまぁこんな感じです。燃やし続けるので消耗はしますが……撹乱に向いてるんですよ」
「今三つの属性を使いましたね?」
「えぇ、ユーマさんのおかげで」
「人聞きの悪い、俺のせいにすんな。お前の才能だろうが」
人型の木が焼き焦げる前に炎が消される。
「じゃあ次はアタシね」
言うや否や、板状の水により跳ね回る、地面のみならず空中にも出し自由自在に飛び回り着地を決めた。
「こんなもんね」
「おぉー、この前より使いこなしてるじゃないか」
「便利で助かるから広めちゃった、まぁ、皆はアタシほどは使えてないけどね」
「自慢すんなよ、腹立つな」
黙って見つめていたソレイユの目線がガルドに移る。
「オレはあんなに派手じゃないぞ」
軽く左手を差し出すと、炎の塊が出現した。まるで太陽のような質量を伴っている。
「へぇ、詠唱無しで出せるんだな」
「あぁ、遠くには飛ばせないが直接叩き込むなら十分だ」
「他のやつにも教えたのか?」
「当然だろう、独り占めしてどうする?」
最後はキールだが、代わりに悠真が懐から金属の筒を取り出した。
「コレ、金属片からキールが作ってくれたんですよ。隙間が空かないように密封してくれて……中身はお菓子なんですけどね」
悠真から筒を受け取ったソレイユが唸る。
「……この年齢で、この精度を?」
「そうですけど……」
見つめられたキールは恥ずかしそうに悠真の影に隠れた。
それぞれの目線が集まる中ソレイユはため息を吐いた。
「三つの属性の同時使用、新たな魔術の開発、無詠唱の魔術の威力向上、年齢に見合わない練度の高さ……」
傍らのルナールが何事か紙に書き込んでいる。
「むしろ、詐欺行為の方が簡単だったかも知れないですね」




