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34.弔いは誰が為に

広場に、死んだ者と死んで無いだけの者が集められた、木属性の魔術が塔のような枠を形作り、その中に丁寧に積み重ねられる。火属性の者達が塔を中心に集まり一斉に呪文を唱えだした。


 (まるで祝詞みたいだ。死者への手向けのような)


 塔の中心で炎が上がるが、隙間無く組み合わされた木々により人の体が焼ける様子は見えない。余計な場所に燃え移りそうな炎は水属性の魔術で消されていく。なんとなく唇がベタつく感じがして、指先で拭う。


 (レオンも、セリアも、ガルドも……それぞれの役割を全うしてるな)

 (役立たずは俺だけか)


 群衆の中で何人か声を挙げて泣いている、その中の一人が目に付く。記憶が正しければ店主の奥さんだ。

 空高く上る煙を見ていると、背後から声をかけられた。


 「大丈夫ですか?ユーマさん」

 「所詮俺はこの世界の住民じゃない、お前らより失うものは無いさ」


 あの炎の中にお菓子屋の店主がいると思うと勝手に涙が込み上げてくるが、意志の力でねじ伏せた。両の拳を握り込み奥歯がギリギリと軋む。


 (俺に、泣く資格は、無い)


 「僕は、今回の戦いで友人を何人か亡くしました……良い人達でしたよ。アナタも知っている顔です」

 「そうか、それは残念だったな」

 「はい、なので帰ったら話を聞いて下さい」

 「勿論だ、俺にできることならなんでもする」


 無意識に内ポケットの飴玉の入った袋を触る、あの日から中身が減ったことは無い。


 「ありがとうございます、ただ話を聞いてもらうだけなのも申し訳ないので、ユーマさんの話も聞かせて下さい」

 「俺は別に……」


 口ごもる悠真の目を真っ直ぐに見つめ、レオンが続けた。


 「聞かせて下さいね?」

 「分かった……」


 その時、群衆の中からざわめきが広がる、ソレイユが炎の上がる塔へと歩み寄っていく。遠くて聞こえないが何やら唱えているようだ。神に祈るかのように手を組みそのまま広げると、光の粒が空気中に漂い、その情景を見てざわめきが大きくなった。


 「おや、貴族が死者を弔うなんて……とても珍しいですよ。コレで死者も多少は報われるでしょう」

 「だと良いけどな」


 (何もできないが、せめて安らかな眠りを願おう)


 光の粒子は煙と一緒に、ユックリと空に舞い上がっていった。

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