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27.来訪者は突然に

太陽が頂点まで登り切り今から沈もうかと言う時間帯、扉のノッカーが丁寧に音を立てた。近隣の住民とは違う音色を訝しみつつ、悠真が扉を開けると、全ての色を拒絶するような黒髪が目に入り、次いで深い闇のような漆黒の瞳と目が合った。男とも女とも言えない中性的な美貌の主が澄んだ声を放つ。


 「こちらに、ユーマなる人物はいらっしゃいますか?」


 正された姿勢と同じ様な、凛とした口調だった。問うているようで問うていない、一種高圧的な気配も感じられる。


 「俺ですけど……」

 「なるほど、情報通りですね。自分はソレイユ・ラディアンス様の遣いで参りました、ルナール・ヴェイルと申します。コチラをお受け取り下さい」


 ルナールはチョッキの内側から手紙を取出した。華美な飾り付けは無いが明らかに普段使う紙と違う質感に悠真が戸惑う……


 「な……えぇ?」

 「受け取りを確認しましたので、自分はココで失礼します。翌日の同時間帯に再度伺いますので、よろしくお願いします」


 返事を待たず、ルナールは去っていった。伸ばした背筋と言いキビキビとした足運びと言い、軍隊を思い出させる。取り敢えず手紙の内容をザッと読んでみたが、形式張って堅苦しく悠真には解読が難しかったので、後ろで様子を見ていたレオンに一通り読んでもらうと、眉間に皺を寄せ顔を上げた。


 「コレは……ユーマさん。少し不味いことになったかもしれません……」

 「どういうことだ?」

 「呼び出しです、ラディアンス家からの公式に則った」

 「どういうことだ!?」


 産まれてこの方、警察にすらお世話になったことがない悠真が取り乱す。慣れてきたとは言えもしかしたら異世界のタブーでも犯してしまったのだろうかと考えると先程から心臓の激しくなる動きを止められない。


 「コチラに要件が書いてあります、曰く……"中央政府高官を詐称し、当該地位またはこれに準ずる信用を利用した詐欺行為について"」

 「……全く思い当たる節が無いのだが、冤罪では?」


 悠真は無意識に前髪を弄ると、レオンがジッとその様子を見つめている。


 「その髪色で誤解されたのでしょう。そして噂が広まり……遂に上層部の逆鱗に触れてしまったと……」

 「マジかよ……生まれつきなのに……」

 「身近な人物なら分かっていることですが……話を又聞きした人は細部を理解せず印象だけで覚えますからね」


 自分の髪を恨めしげに引っ張る悠真が、チラリとレオンの様子を伺った。


 「逃げたらどうなる?」

 「今のユーマさんの状況で逃げられるとでも?」

 「だよなぁ……レオンもキールもいるし……もっと地味に生きるべきだった……」

 「遅かれ早かれいずれはこうなっていたと思いますよ、今にして思えば……ですけどね」


 キリキリと痛む胃を抑えつけながら、今後について答えの無い悩みを考え出す悠真だった。

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