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21.俺が世界を嫌い過ぎてとうとう異世界に追放されました(?)

月の明かりが窓を透かしてボンヤリとベットを照らしている。その上で悠真が寝そべっていた。最近ようやく眠れるようになったが、今夜はどうにも頭が冴えて眠れそうにない。先日の会話が勝手に思考に浮き上がる


 (いつか元の世界に帰るのか……か)


 セリアから言われた言葉がこびり付いて離れない。悠真としては漠然と、いつか帰れるものだと思っていた、しかし改めて考えると帰られる保証はどこにも無い。ある意味楽観が過ぎたのだ……だが。


 (そもそも俺は帰りたいのだろうか?)


 悠真はあの灰色の世界を思い出した。感情を押し殺し他者を優先し社会の歯車として生きていた日々を。やり甲斐も目標も無く、有るのは快楽のための一時の消費のみ。


 (俺を待ってる人間なんて居るのか?)


 今や朧げになった人間関係を思い出そうとする。友人も恋人も無く、有るのは職場を通した仕事上の繋がりのみ。地元を離れて何年も経っているので親の顔すら覚束無い。そもそも、思い出して愉快な顔でも無い。


 (日本に帰って、俺が生きる意味とは?)


 誰からも必要とされず、丁度良いところに有るから使われるだけで、唯一でも無く代替可能で、なんなら誰かの下位互換……有れば少し便利かもしれないが無くても世界はつつが無く回る……ソレが悠真の自己認識だった。


 (だったらココでも良いんじゃないか?)


 ふと、異世界に来て関わってきた人々の顔を思い出す。レオン、セリア、ガルド……少なくとも魔術の改善という点では辛うじて役に立てている手応えを感じていた。


 (……思い上がりかもな)


 自身の右手を目の前に持ってきて見つめる。その手は、腕は、他者に比べて細く貧弱で頼りない。武器を振るえず魔術も使えないタダの骨と肉に見える。


 (どこでも……いつでも……どうしようも無く俺は俺だな……)


 月は出ていた、以前より細くなり欠けた姿の月は……確かに出ていた。


 (俺がこんなだから、世界に愛想を尽かされて追い出されたのかもな……なんて)


 止め処無く続く考えはしかし、悠真を励ましたりはしない。ただただ内向きに闇に沈んで行く。拒否、拒絶、否定、排斥……時には思い出の誰か、時には自分自身の声が"いつものように"脳内に響く。


 (俺が世界を嫌ったのか、俺だから世界に嫌われたのか……)


 答えはない、誰も何も応えない。なにより、悠真自身が外に問いを投げる気がない。無限に続く自問自問……

 空虚な世界には、悠真しか居なかった。


 (この世界でくらい、誰かの踏み台程度になれたら良いな……)

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