脱出③君の名は
差し出された装置の使い方は分からなかった。だが、ひとまず受け取っておこうと手を触れると急に装置は水銀のように形を失い、手に絡みついてきた。
「え、なに!?やだ...」
焦って必死にそれを引き剥がそうと身を捩るとラットが手で制した。
「落ち着け。それで正しいんだ。」
そうは言われても、勝手に動く金属が腕を這い回る恐怖に勝手に腰が引けていると、次第に体に吸い込まれるように消えた。
すると、前に見たバイザーが勝手に展開された。
菴ソ逕ィ險?隱...設定:日本語...
必要情報インストール中...
システム起動
システム: Valkyrie-X02
個体識別番号:Null
起動シークエンス:エラー
魔導炉:不活性
マナ残量:60%
クラス:未選定
起動キーの認証を推奨
言葉も出なかった。過ぎる膨大な情報のイメージが何を意味しているのか。ただ、一つ見逃せない表示があった。
「バルキリー...いや、ワルキューレ...」
全く心当たりがない。
私が落ち着くのを見計らってラットは声を掛けてきた。
「それと、まだ必要なものが後二つ。」
「次は何?」
「名前だよ。君のね」
「名前...」
意外な答えに一瞬戸惑った
「大事な事だろう?エリニュス。」
「エリニュス...」
「もしかして気に入らないか?」
ラットが動揺する。
「エリニュス」
もう一度口に出してみる。
「いいよ。私はエリニュス。」
そう言ってエリニュスは微笑んだ。




