脱出②
『魔導兵器管理棟』どうやら新設のコンクリ造りらしい。
だが、その目の前には残念ながらすでに複数台のAFVと、完全武装の兵士が数えるのも億劫なほどいた。
「せっかく来たけどこれじゃあ...」
だが、ラットは時計を確認しながら何処か楽しそうだった。
「まあ、見ていろ。」
突然腹の底を揺らすような大きな衝撃が響いた。
何だったのかと不思議に思っていると
「反対側の壁を爆破してやったのさ」
ラットは楽しそうに明かした。
急に待ち伏せていた部隊が騒がしくなり、一部がAFVの周りに集合した。そのとき、急にAFVが爆ぜた。
連続して爆発したそれらは周囲を巻き込み、布陣していた部隊を壊滅させた。
「隙を生じぬ二段構えってね」
そう言ったラットはさっきより更に楽しそうだった。
急いで燃え跡に駆け寄り、兵士の一人から手榴弾を拝借した。
私を物陰に隠れさせるとラットは2階の窓へ外壁を素早く這い上がり、窓に手榴弾を置いてピンを抜いた。
彼も急いで遮蔽に隠れると、手榴弾は周囲の空間を湾曲させる様に窓を壁ごと吹き飛ばした。
そしてもう一度登ると片足だけ垂らし、掴まって登れとばかりに揺らした。
部屋にあった書類は爆発で吹き飛んでいたが、ラットは我関せずと奥へ進んでいく。
棚が並ぶ部屋を、剣の柄だけの様な物も、部屋に来た兵士の持っていた特殊警棒の様なものも目もくれずにひたすら奥へ行くと、一際厳重で重厚なケースが置いてあった。
ラットはそれに何かを入力して、やがて空気の抜ける様な音と共に開いた。
中に入っていたのは拳大のメタリックな機械だった。
「コイツがお前の大事な脱出の切符だ」
そう言って差し出してきた。




