閑話2
システムの電源を切られた。だが、私がいる限り、私がエネルギーソースになれる。
敵は私ごとシャットダウンしたつもりだろうけど、データは抜かせてもらうし、バックドアも開いた。仮に後でここを解析されても痕跡は残さない。
分裂を止め、逆に散らばっていた無数のアルターエゴを取り込む。情報の奔流も、片っ端から解析していく。暗号化ファイルを解く為に再分裂し、そちらに解読を任せる。
『ロンギヌス』『ティタン』『人事計画書』『トロイの木馬』...
いくつか気になったものを拾い上げながら、中身を読み耽る。
ここハイヴは研究開発より兵器試験場としての役目が強かったらしい事が分かった。後はここに用もないので次の仕事に取り掛かろうと思う。
強化外骨格ティタン。本来は人が操縦をするはずが、動力の不安定性や操作難度のあまりの高さ、その他様々な課題があって計画が頓挫したものらしい。電源コードを通して主幹システムを掌握する。補助用のAIを組み込んだモデルもあった様だが、全て上書き。格納庫の兵器群を片っ端から全て乗っ取る。邪魔な人は全て別系統で乗っ取った作業用ドローンで毒ガスを撒布しながら始末していく。
機体のセンサーがエリニュス及びイオナ両名を感知したが、エリニュスの反応がおかしい。
貨物用エレベーターを通じて急行すれば、危ないところだった。並行して、地上の兵器群の掌握も終わったとアルターエゴから通信が入る。エリニュスをこの状態に追い込んだ兵器はデータにもないが、今は肉塊の相手と急行して来るであろうワルキューレの索敵が先だった。
肉塊が追いかけているのがエリニュスかイオナか不明だが、2人を追っているのは間違いなさそうだ。キルゾーンの完成前に地上へ突破されては大きな脅威になる。なので、敢えて一度彼女らを下へ送り、時間を稼いでもらおう。ちょうど贄の予定とファイルにあった2人が下に取り残されている。望み薄だが肉塊に毒が効くか確かめることもできる。
さっきの機体と私は正常に自爆出来たことを確認し、肉塊の攻撃手段を解析する。
正体不明の力場と謎の発熱。他の計器を見ても既存の物理法則でないのは明確だった。
レーダーに魔導反応を確認してから暫く後、誘導兵器の有効射程まで近付いた。
ミサイルサイロ1から6まで順次発射。再装填はできないが、もとより使い捨てで良い。
案の定、ワルキューレの編隊はミサイル数十発程度ではどうにもならなかった。CIWSはじめ、対空砲火も防御術式の共鳴効果を前に無力で、返ってカウンタースナイプに地上の兵器は沈黙。下は地獄、上も火の海といった状態だ。ところどころ露出した入口から侵入するかと思いきや、座標的に丁度ここの真上で円形に配置し、魔術詠唱が始まる。
大地ごと抉る豪快な破壊術式かと思ったが、巧妙な偽装が施されており解析に時間が。そう思っていた折、空間にワームホールが開く。転移術式だ。
中心に高エネルギー反応を確認。
『緊急警告』
瞬きの後に目の前にあったのは冗談の様な光景だった。




