閑話
見事誘い込まれたワルキューレ達。
彼女達の片方はナンバーズの様に見受けられた。アレの実地試験とともに戦果も挙げられるとなれば一石二鳥だ、ただし委員会のジジイどもの説教を除けば。
「人。物。金。一体いくら使えば気が済む?」
「左様。使い方というのは考えてもらわねばなりませんな。」
もちろん、特殊な事情があれど要塞一つを丸々使い潰したのだ。言い分はごもっともと言える。
「ええ、その件については承知しております。ですが、件のプロジェクトは異例にも完成前に何故か感知されまして、起動前に殲滅されるくらいならと最大限の活用法を探したわけでして...」
普通は核兵器や、相当する脅威が有れば嗅ぎ付けて積極的に排除しにくるワルキューレも、兵器として未完で有れば関知しないのが習性と思われていた。
まだピースを嵌め切っていないニュクスは結局、起動を急いだ為に半端な性能になってしまった。
「ワルキューレの殲滅は我々の悲願だ。君にはまだ働いてもらわねばならん。分かったら早く次の仕事に取り掛かれ」
「はっ。人に光あれ」
椅子にどっかり座り込み、深く溜息を吐く。
生存圏の大半を失い、数世紀も撤退戦を続けている人類が再び地球を取り戻すには大きな犠牲を払ってでも奇跡を得なくては成し遂げられない。
「犠牲の上に作られる神か...そんなものがあるとすれば、それは悪魔と呼ぶに違いない」
思わず漏れた言葉に、しかし妙に納得してしまった。
まあ、神だろうと悪魔だろうと使えるものは使わなくてはならないのだ。
気持ちを切り替えて、さっき外した通信機を掴む。
「やあ、僕だ。例の件だが、今度視察に行くときに頼むよ。なーに、委員会の連中は結局動きはしないさ」
胡散臭い笑みは何を騙す為の演技だろうか?




