クラス:???
ラットは胸元へコアを引き抜くように手を伸ばし
唐突に突き飛ばす。
「詠唱破棄っ、キクロス・カッター!」
背後に倒れる私の真上を透明な刃が駆ける。
直後数発の連続した銃声が響く。
周囲からドサドサと何かが崩れる音と、銃の落ちる音が聞こえる。
「貴様貴様貴様貴様ァ!」
弾の残っていない拳銃の引き金を引き続ける。
そして
胸部から腹部にかけて複数の銃創を受けたラットが膝から崩れている。
エリニュスは顔に降り掛かった血を手で拭う。
(この血はラットの血だ。きっと助からない)
起動キー:適合
視界が赤い
最終起動シークエンス開始...
身体が熱い
クラス選定開始...
殺さなきゃ。こんなやつは殺さなきゃ。目の前のコイツだけは殺さなきゃ。彼は私の恩人だから。
クラス選定:アヴェンジャー?
エリニュスの背中に鉄の翼が生え、頭部を覆う装甲とバイザーが展開され、頭上には光の輪が浮かぶ。
直後、複数発の銃声が響き、エリニュスの身体に同じだけの穴が開く。
「ラットめ...とんでもないものを起動しおって」
さっきまでの興奮は鳴りを潜め、目の前の怪物に冷静に対応するように拳銃を再装填しエリニュスに照準する。
「ようやく本性を表したな化け物め。だが、対魔術防御とミスリル弾があればワルキューレ1匹取るにたらん!」
ただ俯くエリニュスは
「...『私の傷は貴方のもの』」
次の瞬間、エリニュスの身体にあった傷は消え、男が蹲る。
「ぐっ...貴様、何をした..」
男の身体にはエリニュスの身体にあった傷とそっくりの銃創が刻まれていた。
「こんなもの...まるで魔法ではないか...」
エリニュスは手を開閉し力を確かめながら蹲る男の傍らに佇み、静かに言う。
「こんなモノを巡って殺し合うなんて、やっぱりおかしいよ。」
「何がおかしいものか...私には、その力が必要だ...」
男はエリニュスを睨みつける。
倉庫の扉が発破され、変な装備をつけた兵士どころか戦車までが突入する。
その時、目の前に倒れ伏す男は瀕死なのを忘れるほどの大声で叫ぶ
「そいつを逃すなぁ!ここで、殺せぇぇええ!」
「総員、交戦開始!」
(まずい!ラットに当たったらッ...)
私はラットの身体を庇う様に前に出る。
銃弾が身体に命中する度、相手が一人、また一人と倒れていくが、すでに砲口がこちらを照準している。
私のダメージは呪詛返しの要領で相手へ反射できるが、アレは防げない。
何か手立ては...
エクストラクラスの選定を確認
再度仮クラスを選定...