半身半疑‐007
僕はテケ郎に案内してもらい…まあテケ郎の移動が遅いから僕が持ち上げて、さながら金属探知機のようにして指示を出してもらった。
「あ、そこ右。」
外まで出ると、僕は抱き上げていたテケ郎を降ろした。
「もう暗いな。この道をまっすぐ下りれば街に出るから。気をつけて帰れよ。」
「テケ郎はどうするんだ?」
「俺はずっとケガレを倒す旅をしてんだ。だからここでお別れだな。またいつか会うかもしれない。その時は驚くなよ。」
「ああ。保証はできないが。」
あんな調子でケガレを倒すとかできているのか甚だ疑問だが、そんな質問はもう僕に関係のない話だった。
かくして僕たちはそれぞれの行くべき場所へ、あるべき形に帰っていった。
「ただいまー。」
「考ったら遅い!もう11時だよ!?電話は繋がんないし、なんか怪我して帰ってきたし。お姉ちゃん心配で…心配で…」
「ごめんよ。おばあちゃんに道案内してたらその帰りに迷子になって。」
テケ郎付近の話はしなかった。
「迷子でそんな怪我するわけないじゃない。」
姉ちゃんは僕の腹の蹴り痕を指差した。
ああ、服には痕がついたのか。
テケ郎の鎧があって痛みとかはないが、鎧を貫通して痕がついていたんだな。
「いやあ、山の中に行き着いて。悪路のあまり転んじゃって。」
一応は誤魔化した。誤魔化せた…はず。いや無理だダメだったわこれ。
「噓つき。」
「山の中に出たのは本当だよ?」
「つまり転んだところは噓だと。」
しくじった。俺はアホか。
「まあ言いたくないならいいわよ。でもね、私にとってたった一人の家族なんだから。」
「はいはい。」
姉ちゃんはむっとした顔をした。
「僕もうお腹が空いて力が出ない~状態だから夕飯食べたいな。」
「わかったわ。用意するから手を洗っていらっしゃい。」
かなり遅めの夕飯を食べて、僕は風呂に入った。
この時僕は腕の異物感に気が付いた。
すりガラスのように曇った鏡では気がつかなかったが、僕の二の腕にテケ郎のような錠が付いていた。
しばらくいじっているが、特に外れる気配はない。
え?錠のついた鎖から腕を抜けばいいだろって?
残念。どうやらぼくの腕と一体化したらしく、一ミリも動きやしない。
押し込んだ時、ついに変化があった。
僕の体の中に埋まっていったのだ。
そこには痣が残っているが、体に大した異常はなかった。




