お弁当のお勉強
なろうラジオ大賞6の参加作品です。
初めて彼氏ができた私は、かなり浮かれていた。
そんな私に母が言った。
「最近浮かれてるけど、もしかして彼氏できた?もし、その人と結婚したいなら男は胃袋だよ。料理少しはやらないと〜あと家事ができないとね〜」
私はずっと実家暮らしで家事をほとんどやらずに生きてきてしまった。
確かに結婚したら、家事はできた方がいい。
できるに越したことはない。
結婚というワードに、ずっと好きな人といられるのか…とにやにやしてしまう。
まだ付き合って1ヶ月なのに。
いろいろ考えて、
「明日から自分でお弁当作る!」と母に宣言した。
「どうせ作るなら、ついでに父の分もお願い〜」と言われ、明日から2人分のお弁当を作ることになった。
☆☆☆
次の日の朝。
おにぎり4つ、甘い卵焼き、タコさんウィンナーを作るのに1時間もかかってしまった。
今まで料理をしてこなかった代償は大きいな…
しかも、お弁当の隙間が埋まらない。
仕方なく、昨日の残り物のきんぴらごぼうと冷凍食品の唐揚げを詰め込む。
一気にお弁当が茶色になった。
なにこれ、全然可愛くない。普通すぎる。
これは…お弁当のお勉強が必要だなと思った。
☆☆☆
休みの日、彼の家で鍋をした。
その時はほとんど彼が準備してくれていたので助かった。
彼の方が料理が美味い(上手い)と思う。
彼が鍋の後片付けをしている時、私は彼の家のカレンダーの早番に【手作りお弁当の日♡】と書き残した。
彼は気が付くだろうか?
彼に「お弁当のおかず何が好き?」と聞いたら、
「しょっぱい卵焼きと唐揚げ、あと弁当のおかずじゃないんだけど、サンドイッチも食べたくなるんだよな」と言っていた。
帰りは少し遠回りだけどスーパーに行きたいから、散歩しながら帰ろう。
明日からは父の好きな甘い卵焼きではなく、彼の好きなしょっぱい卵焼きを作る練習しようと決めたのだった。