乗車前
すべてフィクションです。
木漏れ日が少年の肌に当たる。若干十六七と見えた少年はぼんやりとした瞳でただ前を見つめ、精神を淀み渦巻かせていた。若さゆえの不安、自己の才能への疑念、気がつくと彼の瞳から映し出される景色はゆがんで見えた。しばらくして夜が更け、彼は家に帰る。自室のベットで横になりインターネットの海に逃げ出して自分を変えてくれる漂流物がないかと探し回る一時。そしてある島にたどり着いてしまった、そこには彼が生きてきた世界では決して交わることのない品々が売買されている質屋、いや闇市と言ったところか。彼はこの品々を手にすることにより自分が自分たらしめることができるのではないかと愚かながら恍惚を覚えてしまい弱々しい理知との僅かな葛藤の末、闇市の扉を叩いた。
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こんなにもあっさりと今まで空想の中でしか存在しなかったものが購えてしまうなんて
彼は新しい感情を覚えた。世界のレイヤーが増えたような、そんな気分だった。
いくつか日が流れ、ある晩ポストがパチンと鳴いた。ある一人の少年にそれ以前とそれ以降に楔を打ち込むような音が。胸に大いなる恐怖心と少しの好奇心を抱きながら彼は闇市からの荷物を手に取りテープを切り、扉をあけた。
そこにあるのは何と言おう、銀河鉄道の乗車券。仏の皮脂。科学の結晶。向こう側への案内書。精神の取り扱い説明書。ライ麦の悪魔。無限の五線紙。
とにかくそれはそこにあり、目の前に凛として存在している。
青二才の彼にとってこの瞬間それを使わずしてなんとしよう。と言ったところか
自己を確立するために
彼はその銀河鉄道の乗車券を己の肉体に取り込む。
そこには