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転生孤児が幼馴染の死亡エンドを回避する方法  作者: 一色孝太郎


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第69話 新たなる刺客

 その夜、俺はけたたましいカラスの鳴き声で目が覚めた。ティティの従えたダーククロウが近くで敵を発見した合図だ。


「ティティ!」

「ええ」


 俺たちは飛び起き、すぐに周囲を警戒する。


「これは……まずいな」


 完全に囲まれている。一体何匹いるんだ?


 数十匹、あるいは百匹単位かもしれない。様々な方向から赤く輝く目が近付いてくる。


「……追手ね」

「え?」

「テレーゼが戻らなかったからだわ。この数を動かすとなると、兄姉の誰かが来ているかもしれないわね」


 脳裏にあの悪魔の顔が思い浮かぶ。


「もしかすると、お父さまは私が逃げることも想定していたのかもしれないわね。上手く騙したと思ったのかけれど……」

「そのとおりですわ。お父さまは貴女の浅はかな企みに気付かないはずがないでしょう? ああ、マッツィアーノの瞳を持ちながら、マッツィアーノから逃げようだなんて、なんて悪い妹なのかしら」

「こいつは!」

「ロザリナお姉さま!」

「ええ。セレスティア、ごきげんよう」


 闇の中から巨大な鹿に乗ったあの悪魔が現れた。その隣には人間の兵士を乗せたスノーディアがずらりと並んでいる。さらに彼らを守るように数十頭のディノウルフが彼らの前で二列に並んでいる。


 しかも、俺たちの周囲は無数の様々なモンスターに取り囲まれている。


 これが……モンスターを操るマッツィアーノの軍隊か。


「エルダーディアまで連れてきたんですね」

「ええ。せっかくのお出かけですもの。本当は貴女のようなできそこないにエルダーディアなど不要ですけれど、たまには散歩させてあげないと可哀想でしょう?」


 そう言ってロザリナは優雅に微笑んだ。


「お散歩でしたら、わざわざこんなところまでご足労いただかなくても結構でしたのに」


 ティティはマッツィアーノ公爵邸で見せていたような硬い表情でそう返した。それに対しロザリナは笑顔を崩さず、平然とした様子で言い返す。


「だってわたくし、そこの、ええと、名前はイヌ、だったかしら? それもわたくしのコレクションに加えたいんですもの」

「彼は私のものです」

「あら? 逃げた愚か者にそんなことを言う権利があると思っているんですの? そ・れ・に」


 そこで言葉を切り、ロザリナは満面の笑みを浮かべた。


「わたくし、貴女の目玉もコレクションに加えたいのですわ。ねえ? 二つもあるんですもの。一つくださらないかしら?」

「こいつ! 言わせておけば!」

「あら? そのイヌ、もしや人間の言葉を理解できるんですの? さすが、お父さまの選んだペットですわ。でもね、セレスティア。それならきちんと人間の言葉を喋るように調教しておいてくださる? そんな風にキャンキャン吠えられてもわたくし、イヌ語はわからないんですの」

「なっ!?」

「レイ、落ち着いて。乗せられちゃダメよ」

「あ、ああ。そうだ。ありがとう」

「ええ」


 そうだ。ただでさえ多勢に無勢なんだ。冷静に、勝ち筋を見つけないと!


「あら? セレスティア、貴女まさかそのイヌと三羽のカラスでわたくしに勝てると思っているんですの?」


 そう言ったロザリナは小馬鹿にしたような笑みを浮かべている。


「ええ、そうです。私は彼を信じていますから」

「あら? あらら? そう……ついにおかしくなったんですのね」


 ロザリナは憐れむような表情でティティを一瞥するが、すぐにニタリと笑うと隣に控えている兵士たちに命令を下した。


「もういいですわ。やりなさい」

「はっ!」


 兵士たちは一斉に矢を番え、俺たちに向けて放った。俺はすぐさまティティの手を引き、死角となるように木の後ろへと隠れる。


 すると今度は取り囲んでいたモンスターたちが一斉に襲い掛かってきた。


 ワイルドボア、スノーディア、ディノウルフに、よく分からないモンスターも混ざっている。とにかく四方八方からものすごい数だ。


 これは……いくらなんでも今までのような戦い方では無理だ。ものの数分で殺されてしまう。


 だが、ティティを守れるのは俺しかいない。ティティの綺麗な目をあいつのコレクションに加えさせるなんて死んでもごめんだ。

 

 ……一体、どうすれば?

次回更新は 2024/02/11 (日) 18:00 を予定しております。

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― 新着の感想 ―
[一言] この窮地を乗りきったら完全に戦争ですね
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