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第3話 辺境都市ラルトとイケおじ

「人助けかんりょー」

ブイッ!

こちらを唖然とした様子で見ている推定冒険者たちにVサインする。いぇーい。

「…お、お前、何者だ!?」

おう、突然の誰何、当然の誰何ともいえるねー。

「私はミナミ、通りすがりの、ケモ耳美少女だよー」

「は?」

自己紹介したら、疑問形で返されちゃったよ。

えー、私、そんなにコミ力高くないからー、ここからどうしよう。

「おい!やめろジャッキー!獣神様に失礼だ!どけ!」

「ベ、ベン、突然何を!」

「いいから引っ込んでろ!」

と、なんか獣人のお兄さんがジャッキー?を押しのけて前へ出てくる。

そして私の前に跪く。なにごとー?

「獣神様…お、俺はベンです、失礼ですが一つお伺いしたいことが…」

「なにー?」

「あなた様の…モデルは?」

モデルー?…ああ、あれね。

「フェンリルだよー」

「フェ、フェンリル…だと?まさか…『世界を喰らう者』…だって!?」

私の返答を聞いた獣人のお兄さんがなんか驚愕している。なぜにー?

「お、おいベン!どういうことだよ?」

「獣人に伝わる神話があるんだ…世界の転換期に強力な力を持った、虹色の瞳を持つ獣人、『獣神族』が現れるって…」

「おいおい…じゃあこの…お嬢ちゃんは…」

「ああ、間違いない、獣神族…しかもモデル『フェンリル』」

「そのフェンリルってのは…?」

「異界の神話に出てくるっていう、世界を喰らいつくすと言われる獣だ…」

「…じゃあこの嬢ちゃんは…やべぇ奴なのか?」

「…いや獣神族は往々にして…」

「あのー?」

「なんだ!?」「な、なんですか!?」

声をかけたくらいでそんなに驚かなくてもいいじゃん。

「この辺に町とかないですかー?」

「…町があったら、なんだ?」

「や、仕事を探さないとー」

「「し、仕事?」」

なぜか驚愕しているジャッキーとベン、や、働かざる者食うべからずでしょー。

「じ、獣神様、ぜひ獣人の故郷の国へ…」

獣人の国かぁー、うーん。

「面倒そーだから、いいやー」

「えぇええええ!?」

それっきりしゃべらなくなる獣人のお兄さん、なぜにー?

「なぁ…嬢ちゃん、よくわからねぇが、お前、危険人物なのか…?」

「別に―?特に目的もないし」

「…まあ、なんか色々とあれだが、子供一人森に放置するわけにはいかねぇな、よし俺たちについてこい」

「どこにー?」

「…こんなあほっぽい子供が、本当に獣神族とやらなのか…?まあいい辺境都市ラルトだ」

「辺境都市?」

「ああ、辺境にあるがなかなかの規模だぜ、ホブゴブリンからの戦利品の整理を終えたら出発するから準備しとけ」

「らじゃー」

「よし…ベン!さっさとあっちの冒険者の集団に合流するぞ!」

「獣神様が獣人の国を拒絶した? …な、なぜ」

「おい!行くぞベン!」

心ここにあらずといった様子のベンをジャッキーが強引に連れていく。あとでー。







その後、戻ってきたジャッキーに連れられ冒険者たちと合流し、辺境都市ラルトを目指す。レッツゴー。








目の前に聳えるそこそこ高い城壁。へーここが辺境都市ラルトかー。

道中、ジャッキーとベン以外は私に話しかけてこず、遠巻きにしていた。なんでだろーね?

「ミナミ、なにか身分を証明するものか、金はあるか」

ジャッキーが言う。

「んー?」

何となしに、ポケットを調べてみると。


―ジャラジャラ


おお、結構入ってるね。

試しに一枚の銀貨を取り出す。

「あったね」

「…通行料に銀貨は必要ねぇよ、銅貨はあるか?三枚ほどだ」

んー?

「あるねー」

「ならいい、それを門番に渡せばラルフに入れる」

「賄賂ー?」

「ちげぇよ税金だ…ちなみに冒険者になると免除されるぞ?」

冒険者かー、やっぱりなると色々お得みたいだ、定番だね。

「ホブゴブリンは突然現れたお前がすべて倒しちまったから…ギルドに説明する必要がある、ラルトに入ったら俺についてこい」

「らじゃー、ジャンキー」

「ジャンキーじゃねぇジャッキーだ!」

「次の!」

「…順番が来た、行くぞミナミ」

「りょーかい、ジャンキー」

「だから!ジャンキーじゃねぇ俺はジャッキーだ!」










ギルド。

酒場が併設されたその施設は私のイメージ通りのものだった。

あの壁に飾ってあるでかい斧、誰が使うのだろー?

「で、ジャッキーさん…この子が、ホブゴブリンを殲滅したと?」

「…ああ、そうだよ」

ジャッキーは受付のお姉さんと何やら話をしている。

「他の方も、おっしゃっていましたので真実なのでしょうけど…しかし」

「…だから真実だって」

なんか押し問答が始まりそう、暇だ―。

ん?

窓のそばの席に、変な人がいる。

紙たばこをくわえていて、明らかに元の世界の現代の戦闘服と思われるものを着た50代後半ほどの白髪交じりのハンサムな長身の男性。わーイケおじだー。

私はその男性の元まで向かう。

「おじさーん」

声を掛けると男性はこちらを見る、観察するような眼だ。

「なんだ、小娘」

「私はミナミだよ」

「そうか…小娘、何か用か?」

「やー、別に―?」

「…そうか」

と、そこで。

「お、おいミナミ!」

後ろからジャンキーの焦ったような声が聞こえてきた。


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