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ミストリア王国編5


目の前にはベッツさん達4人とメイド服を着た女性が3人の合計7人が立っていた。

ここは先日購入し、引き渡しが終わったばかりの邸宅のリビングで、皆んなには説明の為に集まって貰っていた。



「まず簡単に説明するけど、ベッツさんは俺の補佐兼商会の支配人をして下さい。メリルさんはベッツさんの補佐兼邸内の管理をして下さい。リリとサラは商会でのメリルさんの補佐を、メイドのフラン、シエール、ケイニーは邸内でのメリルさんの補佐をそれぞれして下さい」



それぞれが畏まりましたと返事を返す。

メイドの3人は新たにサラカーン商会より購入した奴隷で、それぞれが家事や料理などのスキルを持っている。



「給金はそれぞれに伝えてある通りで、後は出来るだけ交代で6日働いたら1日は休みを取って欲しい。2階奥の角部屋2つを寝室と書斎で使うから、それ以外を話し合いでそれぞれ好きに自分の部屋を選んで構わないよ。それとここでは身分は関係ないから出来るだけ食事は全員一緒に摂ること。俺のルールだから今言った事に関しては気にしなくていいし、異論は受け付けないから」



ベッツさん達は多少俺に慣れてきたのかそこまで表情は変わらないが、最近入ったメイドの3人はかなり驚いた表情をしていた。


ちなみに、給金に関してはそれぞれ個別に面談して伝えてある。

本来購入された分の費用もある事から奴隷として雇用契約を結ぶ場合は一般的な賃金の半分程度、休みは月に1日程度が相場らしいが、それはそれ、俺は俺だ。

ベッツさんが月50万ジニー、メリルさんが月30万ジニー、他は全員月15万ジニーで、屋敷内に個室の住居と食費は無料、一般的な相場的に見てすらかなり破格の条件で驚いていたが、その分みんなには頑張って働いて貰うつもりなので問題はないと思っている。



「部屋を選びが終わったらベッツさんとメリルさんは書斎に来て下さい」



そう言って手に入れたばかりの書斎へ向かうと、後ろから困惑したメイド達の声が聞こえてきたが、メリルさんがフォローし始めたから大丈夫だろう。


書斎に入るとソファに座り大きく伸びをすると横になる。

元々家具が備え付けられてらおり、それをそのまま使用しているのだが、なかなかに座り心地の良いソファだった。


5分も経たないうちに書斎の扉がノックされ、声を掛けるとベッツさんとメリルさんが入ってきた。

ソファに座り直し、向かいのソファに2人を座らせる。



「とりあえず2人にこれからの事を伝えようと思ってるんですが、気を遣わずに意見や質問がある時は言って下さい」


「「畏まりました」」


「まず初めに商会で取り扱う商品はこれになります。あ、普段は余り目立たないようにポケットを使っていますけど、かなりの容量を持った収納スキルみたいなものを持っているので人目を気にしなくて良い場合は目の前で使いますけど気にしないで下さい」



そう言って何もない空間から現れた何種類かの小瓶と数枚の用紙をテーブルに並べる。



「了解致しました。それでこちらの小瓶は回復薬でしょうか?」


「そうです。ランクⅡまでの各種回復薬で、この書類にその詳しい製法が書いてあります。製法通りに作れれば高品質の回復薬が作れるので、倉庫の2階を作業場として使い、これらの回復薬を作って販売する予定です」



これは、【リアルワールド】内のあるクエスト報酬で貰ったレアイテムのレシピ本の中から、一気に出すと色々問題も起こりそうなので様子見にランクⅡまでのレシピを書き出さした物だ。



「ヒイラギ様、この製法通りにできれば従来の半分の原価で更に高品質な回復薬を作れてしまいます。こんなに詳細に書かれたレシピはかなり貴重な情報になりますので管理に関しては奴隷以外の従業員を雇う場合には守秘義務用の魔法付与付き雇用契約を結んだ方がよろしいかと思います」



テーブルに置かれた用紙を手に取り、ベッツは真剣な表情を向ける。



「始めはリリとサラに覚えて貰い、慣れたら他の仕事も含め順次従業員を増やして下さい。出来れば不幸にも奴隷になってしまった人達や買収または支援する予定の孤児院などから積極的に雇用して欲しいかな。材料に関しては保存してる物が大量にあるのでしばらくそれを使うけど、冒険者ギルドや商業ギルドに依頼もして今後の販売継続を見越した仕入れルートの確保も考えて下さい」


「畏まりました」


「そう言えば以前のアラベス商会では、輸入雑貨や食料取引、それと鉱山の権利も持っていたんですよね?」


「はい、鉱山の権利は1つだけですが、その通りです」


「ならこれを見て下さい。この2日で調べた結果です」



フリタスから貰った資料に書かれたリストの鉱山を確認し、改めて俺自身で描き直した資料を2人に見せる。



「まさか廃棄された鉱山の権利を購入なさったのですか?」



資料を見ながらベッツが驚きの声を上げるが、ヒイラギに取れば想定内だ。



「すでに廃棄された鉱山だから、6つで権利金は1500万ジニーと格安でしたよ」


「当然です。すでに資源が付き廃棄された鉱山ですから。ただそれを分からずにヒイラギ様が購入するとは思えません。何かあるのでしょうか?」



資料から視線をヒイラギに向け直すベッツに、ヒイラギが笑顔を向ける。



「その資料には追記があるでしょう?少なくともその廃棄された鉱山にはまだ鉱物資源が眠っていますよ」


「鉱山に関しては多少の経験と知識がありますので、にわかには信じられませんが、根拠をお聞きしてもよろしいでしょうか?」


「まず初めに、俺は本業はハンターなので本気で走れば魔導馬車の数倍の速度で移動できます。その上で留守にした2日間でリストの鉱山を直接確認してきたんですが、俺の持つ唯一のスキルはベッツさんやメリルさんが持つスキル【鑑定】より上位スキルなんです。そのスキルを使ってまだ資源が眠っている廃鉱山を見つけ契約してきました。その上で渡した書類の中にそれぞれ採掘できる場所を書き記してあるので順番に廃鉱山の採掘事業を再開始して下さい」


「具体的なご要望は他にございますか?」



流石と言うべきか、ベッツはヒイラギのスキルに関しては突っ込んだりせず事業内容に関してだけ簡潔に質問してくる。



「まずは街にアラベス商会の支店を作り、3箇所同時だと色々面倒事や問題が発生する可能性が高くなるので、近場の鉱山から開始して多少の時間を空けながら増やしていく形で。人員に関してはきちんとした雇用契約を結んで、近場の街に宿舎を購入するか建築して住居費は無料、賃金は相場の2割り増しで募集して下さい。食事は無料にせずに働いてる人達が街にお金を落とすようにしましょう」


「畏まりました。正直ハンターが本業だとはとても思えませんが、これもヒイラギ様だからと思えば不思議と受け入れている自分がいますな」



そう言ってベッツが笑顔を向ける。

平均睡眠時間3時間の超ブラック企業の商社に10年近くも勤めていた実績は【リアルワールド】に費やした時間よりも遥かに多い。

ここは仮想世界ではなく現実世界であって、ヒイラギに力で全てが解決出来るなど自惚れるつもりはない。

力じゃない方法が必要なった時の為の商会である。



「商業ギルドに預けてある準備金もありますが、事業準備に結構掛かるでしょうから当座の資金として5億ジニーを渡しておくので、報告さえ貰えれば2人の裁量で使って構いません」



そう言って事前に頼んで用意して貰っていた布袋に使いやすく分けて入れた白金貨、大金貨、金貨の袋を渡す。



「今日はゆっくり休んで、明日から新生アラベス商会をみんなで頑張りましょう。よろしくお願いしますね」



挨拶をして出て行った2人を見送りながら、とりあえず食事の時間までゆっくり休む事にした。





☆☆☆☆☆☆☆





食事が終わって、書斎に戻ってくるとソファに座りながら目を瞑る。

意識を集中して、神眼の性能を試すように頭に必要な事を思い描く。

それはまず魔力の大きさであり、必要なスキルであり、それらを波に乗せ円を描くように範囲を広げ、探るように伸ばしていく。


それは神眼の能力を確認する意味合いもあったが、もう少し範囲を広げる事は出来そうだったが、20キロほどに伸ばした波に希望の波長を感じ、そこに意識を集中させる。


ステータス

名前  カナメ・ササキ

年齢  28

性別  男性

種族  人族

職業  超級諜報士・覚醒者

レベル 61

体力  S・56

筋力  B・42

魔力  A・55

知力  A・57

俊敏  S・68

スキル 隠密Ⅳ・鑑定Ⅲ

備考  風の加護・元【リアルワールド】プレイヤー

    諜報組織「月光」当主


これだけ大きな都市であれば、それなりの能力を持った情報屋がいるだろうと神眼の能力確認も込みで使ってみた結果、神眼の性能に驚きつつも、まさかの大物を発見した。


下積み時代が長かったヒイラギは、稼ぐ方法や強くなる方法をネットなどでよく調べていた為にそれなりに【リアルワールド】内の情報は記憶しており、カナメ・ササキはかなり有名な元【リアルワールド】プレイヤーだった。

確か日本ランキングで1桁、ワールドランキングでも3桁上位だったはずの男だ。


せっかく近くにいるならこれも縁、早速向かおうとベッツに声を掛けてから家を後にした。

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