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ミストリア王国編1

管理者の少女の言う通り、1時間ほど南に歩き続け草原を抜けると、整備された道に辿り着き、道沿いをまた南に歩き続けると30分ほどで端が見えない程の大きな城壁が視界に入ってきた。


大きな城門が見えてくると、改めて城壁の立派さに驚いた。

高さは5メートルほどで端は見えず、これほどの規模は【リアルワールド】内でも見た事がなかった。

これがこの国だけなのか分からないが、やはりこの世界は俺の知らない初めての世界だと改めて実感し、少しだけ年甲斐も無くワクワクしてしまった。


かなりの列だったが、1時間ほどで入門の受付まで達すると基準の情報収集の為に城兵のステータスを確認する。



ステータス

名前  ジズ・サミール

年齢  26

性別  男性

種族  人族

職業  剣士Ⅰ・城兵

レベル 12

体力  E・12

筋力  E・16

魔力  F・8

知力  F・7

俊敏  E・11

スキル 王国剣術Ⅰ

備考  


ステータス

名前  ルッツ・アムリエ

年齢  34

性別  男性

種族  人族

職業  剣士Ⅱ・ベテラン城兵

レベル 17

体力  E・15

筋力  D・20

魔力  F・10

知力  F・10

俊敏  F・15

スキル 王国剣Ⅱ

備考  誠実



2人の城兵のステータスを確認し、記憶する。

城兵のステータスがこれぐらいの基準と考えるならば、管理者の少女が言っていたようにこの世界のバランスが崩れてしまうのも理解できた。


取り出したギルド証に城兵が何かマジックアイテムをかざすと、よし、と30秒も掛からずに城門を通る事ができ、王都アイギスに足を踏み入れた。


そこに広がっていたのは、【リアルワールド】よりも遥かに圧倒する整備された街並みと行き交う人々の喧騒だ。

整備された道を魔道具で強化された魔導馬車が行き交い、こちらも魔法で強化されているのだろう、中には5階建て以上にも相当する煉瓦造りの建物も多く、その街並みは壮観だった。


まず宿を確保するか、ギルドで情報収集するか悩んだが、まだ昼間なので先にギルドに向かう事にした。


道すがらギルドの場所を聞いて向かうと、利便性を考えてなのだろう、城門付近から歩いて10分足らずでギルドに着いた。

ただし、一般的な体育館ほどの大きさで3階建てのギルドは想定外で、予想のハードルが低過ぎたのかしばらくその立派さに圧倒されて入り口で見上げてしまった。

気を取り直して中に入ると、銀行の窓口の様に仕切りがされたカウンターがあり、接客する受付スタッフとハンター達でカウンターの7割ほどが埋められていた。


やはりこの世界でもギルドには飲食スペースも併設されているらしく、結構な数のハンターがそこで飲食しているのが見えた。

その飲食スペースの中で強そうな雰囲気を感じたテーブルを見ると、男女2名づつの4名のグループに目を付けてステータスを確認してみる。



ステータス

名前  ロイ・キーン

年齢  34

性別  男性

種族  人族

職業  弓士Ⅳ・ハンターランクA

レベル B・44

体力  A・51

筋力  C・34

魔力  B・47

知力  C・32

俊敏  A・53

スキル 遠眼Ⅲ・暗視Ⅱ

備考  クラン「遠雷」所属・サブリーダー

    パーティ「鷹の目」リーダー


ステータス

名前  ドナタス・フラグ

年齢  26

性別  男性

種族  人族

職業  重戦士Ⅲ・ハンターランクB

レベル 37

体力  A・55

筋力  B・48

魔力  F・7

知力  F・5

俊敏  D・21

スキル 硬化Ⅲ

備考  クラン「遠雷」所属

    パーティ「鷹の目」所属


ステータス

名前  カシミア・スタング

年齢  28

性別  女性

種族  人族

職業  魔法士Ⅲ・ハンターランクB

レベル 38

体力  C・30

筋力  E・14

魔力  A・56

知力  C・38

俊敏  E・16

スキル 火の加護Ⅱ

備考  クラン「遠雷」所属

    パーティ「鷹の目」所属


ステータス

名前  ネーレ・トリミング

年齢  23

性別  女性

種族  人族

職業  斥候士Ⅱ・ハンターランクC

レベル 29

体力  D・22

筋力  E・12

魔力  C・35

備考  C・36

俊敏  B・47

スキル 感知Ⅱ・鑑定Ⅱ

備考  クラン「遠雷」所属

    パーティ「鷹の目」所属




この世界のステータスは【リアルワールド】よりも簡素化されたり変わっていたりするが、多分強者の部類のメンバーだろう、変わってなければハンターのランクはF〜A、S〜SⅢのはすだから彼らは上位のレベル帯なはずだ。


ハンターギルドは、ダンジョン攻略や魔物狩りを中心に行うハンター、大小依頼をこなすハンター、国や貴族や商会に雇われて傭兵をするハンターなど様々なハンターが所属している。


とりあえず見たいものは見たし、それ以上のハンターもいないようなので、今日は初日という事もありゆっくり休もうと、そのままテンプレのように絡まれる事も無くお勧めの宿泊施設だけを受付に聞いてギルドを後にした。


ミストリア王国の王都アイギスはミストリアの中で最大規模の都市であり、その人口は300万人とも言われている。

だが、受付の女性に宿泊施設を聞いた時にここが王都アイギスではなく、三大公爵の1人サラサ・アイギーストが治める都市ルクスである事が分かった。

そして王都アイギスはルクスから更に南に魔導馬車で1日掛かる距離にある事も親切に教えてくれた。

都市ルクスは領内に鉱山やダンジョンがあり物流などが盛んで王都アイギスには及ばないものの、人口は100万を超える大都市らしい。

ここが王都と言われても俺からすれば信じてしまう規模で、これほどの人口を抱える大都市のあの見事な広域に渡る城壁は人作業に併せて魔法による施工が可能だからであり、その城門の数は10にも及ぶ。更に言えば今目の前にある7階建てのホテルもまた同じ理由であり、この辺りの発展や文明基準は管理者が現実の地球と異世界物語の西洋的な世界観を併せて再現された【リアルワールド】と間違えてしまうのも理解できてしまう程に類似していた。


見事な煉瓦造りの外観に重厚な扉、ドアマンが正装で立っており、近付くと「いらっしゃいませ」と扉を開ける。

中に入ると絨毯が敷かれたロビーが広がっており、テーブルを挟んでソファに座る身なりの良い何組かの宿泊客が談笑していた。

その姿を横目にカウンターになっているフロントに真っ直ぐ歩き、スタッフの女性に声を掛ける。



「宿泊したいんだが」



現状の俺は強そうには見えない170センチと少しの細身の体に初期装備レベルの格好、更に多少見た目は若く見えるとは言え30代のおっさんだ。もしかすると断られるかも知れないと思ったが、さすが高級ホテルのスタッフと言うべきか「ようこそ当ホテルへ」と言いながら笑顔で迎えてくれた。



「現在お一人様ですと、1泊3万ジニー、朝食と夕食は各プラス1000ジニーになりますがいかが致しますか?」



この世界の通貨価値は、下記になる。


1億ジニー=大白金貨=1億円

1000万ジニー=白金貨=1000万円

100万ジニー=大金貨=100万円

10万ジニー=金貨 =10万円

1万ジニー=銀貨 =1万円

1000ジニー=銅貨 =1000円

100ジニー=鉄貨 =100円


【リアルワールド】時は、それぞれアクセス地域の通貨ベース表記だったがその資産がそのままこの世界に反映されている為に、俺のアイテムボックス内の持ち金はこの世界の表記に調整され110億ジニー、大白金貨換算で110枚ほどあり、日本円換算で110億円ほどになっていた。

売っていない希少なアイテムや素材なども入れれば更に増えるが、物欲が余り無かった俺は実生活用に必要な分だけをリアルマネー取引にしていた以外は使っていなかった為に、報酬から売却益まで9割以上は持ち金として貯まっていた結果だろう。

ただし、これほどの額は無かったはずなので、きっと為替レートのような感じで通貨価値の調整で増えたのだろう。



「とりあえず5日ほど朝食付きで宿泊したいんだが」


「ありがとうございます。それでは13万3千ジニーになりますが、お支払いは現金に致しますか?それともカードに致しますか?」


「現金で払います」



まだアイテムボックス内のお金をギルド証に移していない為と突然出すのもどうと思い、フードコートのポケットから取り出したように金額分の金貨や銀貨を出して支払った。


案内された部屋は20帖ほどの広さがあり、ダブルベッド、ソファ、テーブル、机が置かれた清潔感のある室内に、このクラスのホテルにした理由の専用浴室とトイレが完備されていた。


風呂に入り、今日はホテルで夕食を済ませて部屋でゆっくりしながら今後の事を考える。


この世界は地球でもなければ【リアルワールド】のゲームの世界でもなく、死ねば終わり、人の命の価値も地球より遥かに低いリアルな現実世界だ。

管理者との約束もあるが、引きこもり気味だった俺だって人並みに可愛い子と付き合いたいし、いずれ結婚だってしたい。いやかなりしたい…。

【リアルワールド】内で出来なかった色々やりたかった事もやってみたい。



色々考え始めてすでに数時間、ベッドの上で瞼が閉じかけている。

薄れゆく意識の中で今後の方針だけ思い浮かべ、そのまま眠りについた。


この世界ではやりたい事をやれるだけやってみよう、と。

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