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#4 あーしの魔力を見せてやる!(1)

煌綺妙杖ベルサレェト。


煌綺妙杖(こうきみょうじょう)ベルサレェト。


覚えてくださいね?笑

 あーしの手にある杖ベルサレェトを見たオーク野郎は明らかに顔を強張こわばらせてたけど、それでもコイツは向かって来た!


「たかが小娘がなんぼのもんじゃいー!!」


「異種族だろーとぶっ飛ばすっ!!」


 オーク野郎は肩を前に出してタックルしてくる。


 直線的な攻撃だけど、あーしは器用にそれを避けれる程ケンカ慣れしちゃいねえっ!


 だから、単純に受け止めるっ!!


守幕(カーテン)!」


 ベルサレェトを突き付けて念を込める。そしたら先端部から半球形状の魔力のバリヤーみてーのが出て、野郎のタックルを見事に抑えた。


「なっ!?」


「ハアァァァッ!!」


 膠着(こうちゃく)状態になったけど、根負けはしねえ。


 ヤローの勢いが完全に削がれたところで、あーしはベルサレェトをその顔に押し当てるっ!


絢爛(ダズリン)!!」


 守りから一転して攻め!


 ドカァァンッ――!!!!


 閃光と爆発を顔面に巻きおこしてやったぜぇーーーっ!!


 眩い光の後また視界が開けてきて、完全に白目を剥いてるオーク野郎の顔が見えて――


「や、やられてしもたんじゃいぃ……!」


 ――ゆっくりと後ろに倒れ込んだ野郎は完全に意識を失った。


「ふぅ」


 短い戦いだったけど、なんかどっと疲れたわ……。だけど、一先ひとまずはやっつける事が出来た。


 よっし、それじゃあ――。


「おいそこの修道士達」


「は、はいっ」


「コイツをどっか安静にできる部屋に連れてってやってくれよ」


 あーしの指示に修道士は「ええっ!?」と驚いたけど、それは別にどーでもいいことだ。


「早くしな」


「で、でもコイツは礼拝の間をメチャクチャに……」


「だぁらあーしがちゃんとオシオキしてやったろーがっ。さっきも言ったよーに、その後の話はコイツが目ぇ覚ましてからだ。逆にそれまでは寺院の外に出すワケにいかねーし、だからって礼拝の間(ここ)に置いたままにもできねーだろ」


「で、でも」


「ただ見てただけのヤツがネチネチ言ってんじゃねー。何人かで協力すりゃこの巨体でも運べんだろ? やれ」


 あーしは相手をイジメて言うこと聞かせるよーな真似は嫌いだ。何故なら全然可愛いやり方じゃねーからだ。


 だからあーしなりにきちんと説明して動いてもらおーと思ったんだけど、なーんかぶっちゃけ修道士の連中、よけーブルっちまってる感じ出してるよーな気はする。


「は、はひぃっ!!」


 めっちゃ背筋立てて大急ぎでオーク野郎を運び出す連中の姿に、思わず溜息が出ちまった。


「ったくよー」


 そんなあーしにフツーの感じで声掛けてきてくれんのは、やっぱりこのじーさんだけみてーだ。


「見事な手並みで御座いましたぞ、リノン様。転移されて早々ご自身の力を使い熟すとは」


「必死だったけどな。それよりもデゼル、お前はアイツらの根性を叩き直してやろーとかそーゆー気持ちとかは無いワケ? アレはちょっと情けないだろー?」


「ふっ。そうですな、民衆に信仰の尊さを説くのは我が努めと思っておりますが……しかし既に信仰そのものは厚い者達に対しそれとは別の心の強さを教えるというのは、私には相当に大それたことでございます」


「ん、それって要するに?」


「私の出る幕では無い、ということで御座います。他者の心を鍛えるという行為に必要なのは、信仰では無くその者自身のカリスマ性でありましょう。私はそれを持ち合わせておりません」


 デゼルはそこでまた含みのある目になった。


「んだよ。はっきり言いなよ」


「では……。リノン様、私は貴女にそのカリスマ性を感じているのですよ。そして恐らくはかのファリーリー様もね」


 ……ちっ。言わせたら言わせたで、なんかえらく大層たいそうなことを押し付けよーとしてきてんじゃんよ。


 あーしは両手を頭の後ろで組んで、気乗りしないって感じをアピって見せる。


「カリスマねぇ。あーし別にニホンで読モやってたとかじゃねーんだけどな」


「読者モデルのことですな。いつだったか女神が興奮した様子で『この子可愛いでしょー』と、私にニホンから持ち帰った雑誌を見せておりました」


 アイツ……。


「ま、まあ、それはいーわ」


「ええ、私も読モと聖女としてのつとめを同列で語る気はありません。――そうですな、ニホン風の言葉で言うのなら、私は『アイドル』という語を用いましょう」


「アイドルぅ!? もっと()えよっ」


「私が言うアイドルとは、かつての語としての偶像アイドルのことですよ。人々が不安を和らげる為に寄り添う、優しき光の象徴。……リノン様、貴女にはそんな、このファリシア寺院のアイドルとなっていただきたい」


 そう静かに語るデゼル。


 言ってることはとんでもないって感じだけど、でとその口調は図太くも、穏やかでさ。


 聞き終わってから、なんか、ニホンでのあのじっちゃんとばっちゃんがあーしの脳裏に浮かんだんだ。


 そう。あのあーしの行為に対して、心アツくして泣くまでしてくれたあの二人のこと。


「……でもさ、言っとくけどあーしは他人様の為に大人しく型にハマるよーな性格じゃあないよ?」


「寧ろ恐悦至極(きょうえつしごく)に御座いますな。天上より更に遠い異世界から遣わされし聖女が、私を含む民草の想定などに収まる道理はありますまい」


 そこまで言ってこのじーさんときたら、孫でもおかしくない位歳の離れたあーしに向けて深々と頭を下げてきやがった。


 ――ちっ。まったくホントによー。


「そーかよ。マジしゃーねーなっ、お前の期待背負ってやんよ。ただし、これから先あーしのやることにお前も死ぬ気で付いて来いよな」


「ふふっ。よろしくお願い申し上げます」


 ホントはお前に引っ張ってもらえる気で居たんだけどな。


 ま、いーや。後ろに居てくれるヤツのありがたみってもんも、きっとあんだろ。


 ――(2)につづく!――

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