五話 初でーと、遅刻
こちらが何も送らなくともらむから日々ラインはきていた。
そして流される様に二人きりで会う日にちも決まり、1週間後の当日。
「一応……でーと、だよな??つか、まだ6時かよ」
10時に駅に集合となっているが、8時半頃に起きようとしていた俺は、それを大幅に前倒して更に早起きしていた。
「うわーまじかよおおぉぉおおぉ〜」
「本当に生身の女子とデートすんのか俺ッ!!」
布団の上で横向きになり、膝をくの字に曲げながら眉を顰めスマホを弄って自分の気持ちを落ち着かせようとするが全然落ち着く気配も無く、考えれば考える程心臓はバクバクと鼓動を早くさせていき、時間が1分また1分と進むにつれて俺は耐えきれなくなり頭を抱えて発狂した。
仮病を使おうかとまで考えたが、それは流石に失礼かと思い頑張って行く決意をする。
そして予定の時間である8時半に向けてもう一度寝る事にする。
「大丈夫、次目が覚めたらきっともう少し落ち着いてるはずだ!!」
「よし、寝よう!!」
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「ん!!?」
次に目が覚めた時俺は自然と壁に掛けてある時計へと目がいっていた、そしてその時刻を見て飛び起き一瞬で眠気が飛んだ。
なんと時計の針は10:27分を指していた。
「うわ、終わった……」
恐る恐るスマホの画面をタッチして、見ると5件ほどLINEがきていた。
直ぐに開いて見ると、一件はスマホゲームからのお知らせ通知。
そして4件が、らむからであった。
【8:00 紗烙くん、おっはよーう!今起きたから準備するねー!】
【9:20 紗烙くん、まだ寝てるのかな?今日すっごい楽しみ!!】
【10:10 紗烙くん、もうお家出たかな?駅前で待ってるね!分からなかったら電話してね♡】
【10:20 やっぱり……誘ったの、迷惑だった、かな??(泣き絵文字)】
「ま、マズイ!えーと、電話しないと!!」
メッセージ内容に慌ててライン通話を掛ける。
「しゃっ、紗烙くん!?」
「お、オハヨウゴザイマス……」
電話マークを押してから、呼び出し音が鳴り始めて1秒もしないで直ぐに電話へと出るらむ。
そしてもう何を言い訳にしたら良いか分からなくなった俺は今にも消え入りそうな声で挨拶をする。
「おはようっ!良かった〜連絡くれてありがとう!!」
「えっ…………」
電話越しでも分かったが、鼻を啜るような少し涙ぐんだ声色が聞こえびっくりした。
怒るでも無く、本当に嬉し泣きの様な声。
何だか一瞬にして怒られるのが怖いというより、悪い事をしたなという感情が込み上げてきた。
「今から直ぐ行くからっ」