不死鳥輪舞曲(フェニックスロンド)withまひる
僕とまひるは不死鳥の形に彩られたかがり火をフォークダンスの要領でゆったりと進む。
やはりまひる相手だとスタート位置からど派手に司会の放送部員に紹介された。凄まじい注目ぶりだった。
仮面を着けて正解だったのは言うまでもないだろう。
にしても、スタート時、放送部員は不可解な事を叫んでいた。
『さあ、大どんでん返しが起こるのでしょうか!』
あの時の僕にはなんの事やらさっぱりだったが、その意味がすぐにわかることになる。
半分程、燃え盛る炎を横目に進んだ所で音楽がポップなものに変わる。
今まで黙っていたまひるは僕と向かい合わせになる。
「部長さん、わたくしの手を取り、腰に手を回して下さいな」
「えっ、でも」
「さあ恥ずかしがらずに」
彼女は僕の手を取る。左手はまひるの柔らかな右手を握る形になった。そして、右手は自然と彼女の腰に手を回す形になる。
彼女の髪の心地良い香りが鼻に忍び込んでくる。
緊張で身体は硬くなり、心臓の鼓動が速まり、自分の心臓の音がやけに大きく聞こえる。
僕の顔色は真っ赤になっているに違いない。
「さあ、踊りますわよ」
僕は「でも、僕、踊った事なんて」とよく漫画やドラマでありがちなセリフを吐いてしまった。
彼女は柔らかな笑みを浮かべ、
「誰でもできますわ。わたくしの動きに合わせていただくだけで大丈夫ですの」
そう言った彼女の顔が赤く見えたのはかがり火のせいだろうか。
僕は彼女のステップに合わす。それほど難しい動きではないので、僕でもついていけるが身体と心の緊張はなかなかほぐれない。
そりゃそうだよ、女の子とこんな密着するなんて人生初だし、無縁だと思っていたからシミュレートした事なんかなかったんだから。
不死鳥の尾の所まで来た時に突然まひるは口を開いた。その表情は穏やかだが、目は真剣そのものだ。
「わたくし、部長さんの事をお慕い申してありますの」
一瞬、何を言われたか頭で処理出来なかった。すぐに返す言葉が思い浮かばず、少し沈黙してしまった。
「あの部長さん?」
「あっ、えーとそのお慕いっていうのは僕の事がその……す、す、す、すす、好きっていうこと?」
「はい」
「その……友達とかっていう意味じゃなくて?」
「はい、無論、殿方としてお慕い申してありますの」
経験した事のない今の現実に全身の毛が粟立つ。
「この踊りの誘いをお受けして下さったという事は……その……わたくしの事を部長さんも好意を持っている、と解釈していいですの?」
「うん?」
僕はまひるの解釈が今一つ理解していない。
「ですから、つまりわたくしの事を恋愛対象として好きだということですわよね?」
待て待て、なんでそうなるんだ? ただ一緒に踊る事を承諾しただけだろう。
僕は今までの事を頭でフル回転させて吟味する。
そこで、一つの結論に至る。
まさか……。
「どうしたのですの? そんな深刻そうなお顔をなさって」




