表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/77

ミトのお願い

 僕らの密談をするいつもの所、そう体育館裏に僕は重い足取りで向かっていた。


「白夜、この後、いつものとこに来て」


 不死鳥祭での部室片付けも終わりに近づいた頃、ミトにこう告げられたからだ。


 おそらく、昨日約束したお願いについてだろう。どんなお願いをされるかわからないが、今までの経験上、ろくでもないお願い率90%というとこだろう。


 はあ〜いつもならとっくに帰ってる所だが、不死鳥火炎にも参加しないといけない(まひると踊る約束がある)。

よく考えてみれば、まひると踊るということは、注目の的になることは必須条件だ。なんで安請け合いしたんだろう。こちらも考えるとよけいに気が重くなる。


 校舎を出ると、空が茜色に染まっていて、もうじき日が暮れることを示唆していた。行き交う生徒は不死鳥火炎フェニファイに胸を躍らせてるのか、どこか慌ただしい。


 体育館裏に着くと、制服姿のミトが待ち受けていた。


「お疲れ様」


 ミトは労うように優しく言った。


「ミトもお疲れ様」

「今日は、まじ驚きの連続だったわね。まさかスピカ先生が来るなんて。今度のオフ会で自慢でもしようかな」

「そうだね。ミトがしたらきっとみんな驚くよ」

「あんたも一緒にしたらいいじゃない」

「いや、だって僕らの関係は秘密だろ」

「あっ」とミトは少し罰の悪そうな顔をして、

「べ、別にもういいわよ。オフ会であたし達の関係くらい言ったって」


 彼女のまさかの発言に僕は聞き返す。


「えっ、今なんて?」

「だからあたし達の関係くらいバレたって構わないっていうこと」

「ど、どうしたの? その心境の変化は」

「それ聞いちゃう? あんたも一介の小説家なら心理状況の分析くらい出来るでしょ」


 普通の相手なら出来るけど、ミトを知っているからこそ、出来ないのだが。


「それより、お願いきいてよね!」


 やっぱり、それはありますよね。


「わかってるよ、約束したし。で、お願いって何?」

「えっ、え〜と……それは……」


 うん? なんだ、困ったこの感じは。よほど言いにくいお願いなのか。


 ミトは珍しくモジモジする。日は暮れ出しているが、まだ茜色が残る体育館裏で彼女の頬は赤めいている。


 そして、彼女は戸惑っている様子で口を開いた。


「あ、あたしとフェニファイ踊ってくれない?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ