短編集が完成した
ミトとまひるが大活躍していた体育祭もつつがなく終わり、(僕はというと綱引きとか無難な競技、いわば人に迷惑かけないものだけ参加した。そういえばユウも目立っていたな。祭りでのあの身のこなしからみて運動神経はかなりものだ。
文化祭前日の部室にて。
「みなさん、できましたわよ!」
ダンボール箱をを黒子とともに部室に運んできたまひるが言った。
「アヒルのくせにたまにはいい仕事するじゃない!」
ミトは嬉しそうに言った。
「わが闇の禁術書が明日ついに解禁されるのだ!」
「船中八策にも勝るとも劣らぬ書物の完成じゃき!」
シズとユウがそれぞれの独特な言い回しで喜びを表現する。
そう、仮面小説部初の短編集をまひるが製本して持ってきたのだ。しかも二千部……。
「こんなにどうやって配るの? ちょっと作りすぎじゃないかな?」
僕らの学校は中等部から高等部の普通科とエリートクラスを全部含めると二千人を超えるマンモス校ではあるが全員が読むとも限らないというかそんなにこのカメショー部に訪れる人なんていないと思うんだけど……。
「あら、これでも少なすぎですわ。広報の方も抜かりなくしておきましたので、生徒だけではなく、外部からの来訪者も多くの方がいらっしゃいるはずですの。明日からみなさんしっかり配りますわよ!」
なるほどそういうことか。財閥と生徒会長の力で外部にも圧力をかけていたのか。
僕らがした宣伝といえば掲示板に告知したくらいだけだからな。
僕らの短編集の名前はカメショー! というシンプルでなんのヒネリもない誌名だ。
サブタイトルは仮面を外して解き放て! だ。中二病の匂いがするタイトル。
ちなみに全部ミトが名付けたのだが、誰も反対しなかったのであっさり決まった。内容はもちろん、カメショー部五人の短編小説が掲載されており、掲載順はくじ引きで決めた。
あと、評価されるにあたって誰がどれを書いたかわからないようにペンネームを自分の作品につけている。
なぜならまひるは人気者なのでネームバリューで不正がないためにしている。ミトもネームバリューは相当なものだが、そもそも彼女自体、仮面小説部に所属していることは秘密にしているのでネームバリューの効力はない。
ペンネームにしたことでネームバリューでこの人に入れとこう(主にまひる)っていうのは防げて、純粋に作品のみを評価するシステムになっているのだ。
読んだ人の評価の仕方だが、良かった順に順位をつけてもらい、それを点数にする方式だ。最後のページに順位をつける枠を設けてある。
点数は
一位……10点
二位……5点
三位……3点
四位……1点
五位……0点
といった感じだ。
文化祭は二日間あるので可能な限り、配らないといけない。
「あのさ、あたしも配らないとダメかな?」
みんな本の中身を確認しているなか小声でミトが僕の耳元で囁いた。リア充共に正体がバレるのが嫌なんだな。
「いつもみたいに仮面被って配るのはどうかな?」
「あれだけじゃ不安なのよねぇ……」
「じゃあさ、思い切ってコスプレとかは?」
可愛い女の子がコスプレとかしたら人気も出て本を配りやすくなると思うし……ちょっぴりみんなコスプレ姿見てみたい気もするし……。
「…………」
僕を見て押し黙るミト。
やばい!? 邪な気持ちが勘付かれたか!?
「白夜のくせに名案ね。よし! それでいくわ」




