最悪の来客者
そこに現れたのは……十六夜だった。
そう僕のリア充妹だ。彼女は抱えていたダンボールを落とした。時が止まったかのように誰も動かないし、声すらあげない。
十六夜の目は信じられないものでも見るかのように、またそれを確認するかのように何度もまばたきをした。確実に驚いていることは見てとれた。
あっけにとられている全員を置き去りにして、僕は十六夜をリビングに連れ出した。
「これどういうこと? なんで兄貴の部屋にあんなに女の子が……っていうかなんなのあのメンツ……」
「メンツ?」
「そうよ! だってあれ……あたしが最も憧れる朝凪先輩にエリートクラスの鳳凰院生徒会長、極め付けはあたしのクラスの不思議美人晩代さんがいたわ。もう一人のロリッ娘は誰かわからなかったけど」
ミトとまひるは有名人だし、そういえばシズと同じクラスのようなことを前言ってたっけ……どう説明しようか!?
「あんたまさかお金の力で先輩たちを……しかも、あんなにタイプ別で……」
十六夜は蔑んだ目で見てくる。
「ち、違うよ!」
「ほんとに~……なんか兄貴のベッドでやらしい感じだったじゃない」
「いや、あれはたまたまあんな風になっただけだよ!」
ジト~と疑いの目を投げかけてくる十六夜。
「じゃあ、辻褄が合うように説明してみてよ。それの返答次第ではパパとママに言いつけてやるんだから。兄貴はお金の力で女の子を買うようになりましたって」
それは困る……が、さらに困ることがひとつある。それはこいつが誰かに今日のことを言って、噂が学校中に広まってしまうことだ。
そうなると、ミトがカメショー部であることは白日の下に曝される。
リア充共にオタクだと隠しているミトはカメショー部を退部するかもしれない。さらに言ってしまえばカメショー部自体の存続も危うくなる可能性があるということだ。
みんなの為にもそれだけは避けなければならない。こいつに本当のことを話そう。そうするしか今の僕には手立てが思い浮かばない……その上で頼むしかない!
僕はカメショー部のことを十六夜に簡潔に話して、今日彼女たちが来た理由を話した。
「わからないものねえ、あの朝凪先輩が隠れオタクだなんて……兄貴がそんな部活やってるなんてねぇ~」
「でも、本当なんだよ。現に今日いるだろ」
「まあ、そうだけど……」
「わかっただろ! それで今日のことは黙っててくれよ! 学校で誰かに言ったりしないでくれよ!」
「え~どうして?」
「訳はいいから頼むから!」
「え~」
嫌そうな顔をするわが妹。
ダメだやはりこれしかない!
僕は財布から一万円札を抜き取り十六夜に差し出した。いわゆる買収だ! もちろん、『カメショー』で得た印税である。
「これで頼むから!」
「わ~お、太っ腹!! しょーがないわね! そんなに大事なんなら黙っといてあげよっかな!」
お金を受け取りニンマリする十六夜。こいつ将来ろくでもない人間になるだろう。
「絶対だぞ!!!」
「はいは~い」
その軽い返事が不安を煽るのだが……。




