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夏祭りを実感

 持てる脚力を駆使して僕は走っていた。なぜなら、カメショーの執筆に追われていて、ギリギリまで執筆していたので待ち合わせ時間をオーバーしそうだからだ。


 そう今夜はカメショー部のミトが提案した花火大会取材なのだ。 


 ミトが指定した待ち合わせ場所は花火大会場の入り口付近ではなく、そこから少し離れたコンビニだった。入り口の方が駅から近いのに! 

 たぶん入り口なんかで待ち合わせしたら他のリア充クラスメートに見つかる確率が飛躍的に上がるからだろうな。


 花火大会とはクリスマス、バレンタインと匹敵するリア充ならぬリア獣カップルが誕生する日だと僕は確信を持っている。

 ちなみに僕の中のリア充の定義は今彼氏彼女がいなくても、その他の部分は充実していて、カップルになる可能性を存分に秘めている者たちもその中に入るのであしからず。


 待ち合わせ時間から5分ほど遅れて、待ち合わせ場所であるコンビニに着くとすでに部員達は集合していた。


「ハアハア……ごめん」


 汗だくの僕。4人にしっかり目を移すとみんな色艶やかな浴衣を着ている。普段より大人っぽくみえる。

 ただ一人ユウを除いては……。


「遅いわよ! 白夜のくせにあたしを待たせるなんて生意気ね!」

「そうですわね。遅刻とは時間を無駄にすること……即ちお金を無駄にすること。フェニックスグループの経営理念は1分1秒無駄にしないことですの。1分1秒で大金を失うことだってあるのですから」


 かたっ苦しい……。


「ごめん」とりあえず謝っておく。

「二人とも、こうして謝っちょるきに許してやろうぜよ」

「そうなのだ! そんなことより魔界の獄炎を目に焼けつけに早く行こうぞ!」

「わかったわよ。花火の打ち上げまでまだ時間があるからその前にお祭りを堪能するわよ!」


 ミトは拳を突き上げた。


「おー!」


 みんなも同意して拳を突き上げた。


 僕らはお祭り定番の金魚すくいを筆頭に射的に輪投げ、ヨーヨー釣りといろんなものに挑んだ。


 すべてにおいてハイスペックのまひるが完璧にこなしていく。しかし、もう一人それに追随する強者がいた。それはユウだ! 彼女もまたすべての催し物でまひるに負けないくらいの成果をあげた。

 基本、英才教育を受けてきた二人にとっては簡単なことなんだろう。


「やりますわね、ユウさん」

「おまんもなかなかの手練れぜよ」

「なんなのこいつら……」


 ミトは二人のその実力にあきれ顔で引いている。 


「ふふふ、わが下僕の活躍でこんなにも魔魚が採れたわ。わが居城の湖でリヴァイアサンに進化させてやろうぞ!」


 たくさんの金魚がもらえたので満面の笑みのシズ。さすがに金魚がリヴァイアサンにはならないと思うが。


 僕はというと、まひるとユウが取った大量の景品を持たされていた。

 言うなれば、荷物持ちだ。


 それでも何故か僕は楽しかった。


 人とこうしてお祭りに来たのはいつぶりだろう。青春とも呼べるこの多感な高校生の時期にリア充みたいにクラスメートや後輩とお祭りに来ているなんて夢のような気がする。


 カメショー部がなければこんな機会はなかったに違いないと感慨深く、彼女たちの騒いでる姿を見て思った。

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