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生徒会長現る

 梅雨明け宣言がお天気ニュースでされた頃、僕たち仮面小説部はいつもどおり執筆やラノベの読書に勤しんでいた。


「白夜、どうよこれ」


 ミトも、まだまだ稚拙ではあるが少しずつ文章になってきた。


 僕の指導の賜物だ! と言いたい。


「良くなってきたと思うよ」


 もともと学園ラブコメ(かなり幼稚な文章)を書いていたのを僕の指導の下、ラノベ仕様のしっかりとした文章にしていく。


「この調子でいけば、あんた達なんかすぐに追い抜いてやるんだから!」

「フフッ」


 シズが鼻で笑った。


「なによ、そのバカにしたような笑い」

「汝だけがレベルアップしていると思っているとはめでたい頭をしておるな」と碧眼モードシズ。


 シズは初めからそこそこ良い作品を書いていた。それが最近では僕のアドバイスを素直に聞き入れ、かなりレベルが上がっている。


 ミトは悔しそうな顔をして、


「あたしのほうが成長率高いんだから。ねっ! 白夜」


 僕は困った顔をして、


「まあ、二人とも伸びていることは間違いないんだからケンカはしないでよ」

「わが右腕、これはケンカではなく、そこの面妖な仮面をしているオナゴに現在の力の差を教えてやっているのだ」

「ぐぬぬ」


 ミトが全身に力を込めて震えている。まずい、噴火する前に止めなければ。


 そのときだった。バン!! 勢いよく扉が開け放たれた。


「ここでございますわね! 最後の部活動は」


 扉から現れた銀髪美少女が言った。


 高身長、スラリと伸びた足、ロングの輝かしい銀髪、制服の上からでも十分にわかる豊満な胸、くびれた腰、実際モデルなんてテレビやネット、雑誌でしか見たことないが間近で見たらこんなのをいうのだろう。

 顔は北欧あたりが混じってそうなハーフかクォーターみたい(テレビ以外で実物は見たことないけど)で日本人離れした整った顔立ちをしている。


 はて、この顔どっかで見たことあるような……。


「はい、お嬢様」と黒子の衣装を纏った女性(声からして若い女性)が銀髪美少女の隣で忍者が主に報告するときのようにひざまずいて言った。


「なによ、あんた達。ノックもしないで」


 ミトが軽くケンカ越しになる。


「あら、わたくしをご存知ないのかしら。だから、一般の生徒さんは困りますわね」


 銀髪美少女がうんざりした表情で長い髪をかきあげた。


「……鳳凰院まひる」


 シズがぼそっと呟いた。


 ん? 鳳凰院? あっ、どっかで見たことあるな、と思ったらこの学園の生徒会長だ。今年度の始業式の日に一度だけ見たことある。


「貴方達のような低俗な民に名乗るのももったいないですけれども、わたくしはこの学園を取り仕切る生徒会長、いいえそれだけではなくってよ。わがフェニックスグループのいずれ頂に立つ至高の存在、鳳凰院まひる(ほうおういん まひる)と申しますわ」


 手を横に払って決めポーズ。


「……だからどうしたのよ。あたしたちになんか用なの?」


 さすが、ミトさん。勢いのある自己紹介をスルーして、相手が生徒会長だろうと超エリートだろうと物怖じしない態度は戦慄すら憶える。

 それと正反対にシズは青ざめた表情をして俯いている。珍しいな、シズがこういう相手に対して碧眼モードで対抗しないなんて。


「貴女、いったい誰に向かってそのような口をきいているのかわかっているのですか?」

「生徒会長にだけど、なにか間違ってる?」


 はい、ミトさん間違ってません。


「そのような意味では……立場という意味で言ったのですの」

「ってか白夜、この生徒会長とあんた顔見知りじゃないの? この機械、購入するとき交渉したんでしょ」


 ミトは僕が買った冷風機を指差した。


「今日も交渉しなさいよ」


 なにしに来たか明確じゃないのになにを交渉するんだよ……というよりまずい。ここでヘタなことを口走りでもしたら金の力で築いた僕のウソがばれてしまう。


 ここは慎重にいかなければ……考えろ、考えるんだ白夜! ここをどう切り抜けるのか。


「……あ、あのときはどうも」

「!? あのとき? って貴方初めてお会いしますけど……」


 生徒会長が少し戸惑って怪訝な顔をした。よし、想定内の言葉だ。僕はわざと苦笑いを作ってみせた。


「僕、存在感ないからなあ。いやあ、存在感ないなあ僕は……ミト、僕忘れられてるみたい」

「はあ~なんて残念な奴。まあ、わからなくもないわ。あんたクラスでも空気以下だもんね。透明人間にこの世で一番近い存在かもしれないわねってかもう透明人間の親戚よね」

「ははは」


 僕は愛想笑いを振りまいた。独特な罵声だがこれも想定内……は想定内だけど心に傷を負わされた。


 僕のカメレオンやナナフシ、ヒラメにすら劣らないこのステルス機能。こういう使い方をできるのは全生物の中でも僕だけだろう……あれ!? わかってたのにちょっと悲しくなってきたぞ。


「貴方達が何を仰っているのかよくわかりませんけれどもなんか気に召しませんわね。黒子! この方たちのデータを」

「はい、お嬢様」


 この人の名前見たまんまかよ。黒子と呼ばれた人が黒いファイルを服の中から取り出し読みあげ始めた。


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