表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

なろうラジオ大賞応募作品

タイムスリップ刑事vs神隠し屋~束縛生活を送るあなたに高額報酬と引き換えに最高のスローライフを事件~

 なろうラジオ大賞用小説第十弾。

 謎の男『神隠し屋』を追い、警視庁超常事件課に所属する俺、時駆け(タイムスリップ)刑事(デカ)は文字通り時を駆け捜査を展開していた。


 ちなみに超常事件課とは、超能力者や魔術師が引き起こす犯罪を担当する課で、神隠し屋とは、俺と同じ時間転移(タイムスリップ)能力を持つ犯罪者だ。


 罪状は誘拐罪。いろんな時代の女子供をさらい、なぜか未来へ連れ帰るという、謎の行動を繰り返しているらしい。


 いったいなぜそんな事をするのか。

 俺は相棒の接触感応(サイコメ)刑事(デカ)――文字通り接触感応能力者(サイコメトラー)な相棒と協力し奴がかつて存在した時間と場所をなんとか特定。時間転移(タイムスリップ)し、ついに奴と対峙した。


「動くな。お前が神隠し屋である事は分かっている」


 誘拐する前の女子供と対面している奴に俺は言った。

 記録によれば、彼女達は奴の最後の被害者だ。(すなわ)ち奴にこの(あと)連れ去られるのは確定だが、俺達も奴に続く形で転移し逮捕すれば時空矛盾(タイムパラドックス)は起こらない。


 だから俺達は、いつ奴が時間転移(タイムスリップ)しても、同時に俺達も奴に続き転移できるようすぐに奴の服を掴んだ。


 すると奴は、不敵な笑みを浮かべて俺達に訊いた。


「本当に私を捕まえていいのかな?」

「なんだと?」


 奴のせいで、特定の時代の子供の数が一時的に激減した。

 かつて社会問題になった、少子化の原因の一つが奴なのだ。

 ここで奴を逮捕しなかったら、さらに悪化する可能性がある。


「未来の子供の数には貢献(こうけん)したじゃないか」

「ふざけるな。原因不明の少子化でどれだけの人達が不安になった事か」


 ちなみにそのせいで、当時は少子化解決のための変な政策が出たりしたそうだ。


「フ、私が干渉せずとも政治は狂ったさ」

 しかし奴は何食わぬ顔で、ハゲた頭を右手でなでつつ言った。


「それに私は、彼女達を助けているんだ。昔は当たり前に(おこな)われていた、夫からのDVからね」


「なに?」

 確かに記録では、男尊女卑の時代にはDVがあった。


 そして奴は、そのDV被害者を助けているだと?


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。警察が助けない彼女達の救済……それが私の仕事だ」


 それを聞き、俺は愕然とした。

 まさか、奴はDV被害者削減の為に誘拐事件を?


 と次の瞬間。

 奴が女子供と転移する。


 俺と接触感応刑事(サイコメデカ)は、動揺し、奴を放してしまっていた。


「……ふざけるな」

 だけど俺は叫ぶ。


「確かにDV加害者は許せんが、それでも心配する人もいるんだぞ!」


 そして俺達は再び奴を追った。

 超能力や魔術絡みの事件の被害者を、一人でも減らす為に。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 行方不明事件を追う刑事達と、DV被害者を救おうとする神隠し屋。 どちらにも正義があるのが、一筋縄ではいかなくて奥深いですね。 [一言] DV被害に悩む女性達は、自分達の救い主である神隠し屋…
[一言] おお!! これは面白い世界観とオチですね! ううむ、何が正しくて何が間違ってるんでしょうねえ。 正義って難しい。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ