表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/37

発見します。

「教室に続いて二ヵ所目ブヒね……」


 扉には鍵はかかっておらず、ラードが手を掛けて引くと簡単に開くことが出来た。

 光をかざし中を覗いて見る。しかし、がらんとしていて特に何もいない。


「ね、ね? ほら、ここはいないから他に行きましょ?」

「まってぇ、フレイヤちゃん。ちゃんと調べないと。もしかしたら、中に入ったら霊感のあるメリット君に引き寄せられて出てくるかもしれないし」

「ひぃっ!」


 いたたた……腕にしがみつく力が強い……。

 ハピスはお構いなしに実験室の中に入っていくので、私もフレイヤを引きずるようにして後に続いた。


「さぁ幽霊さん、出てきてぇ」


 実験室の真ん中で迷いネコでも探すように、ハピスが右へ左へ呼びかける。何とも緊張感がないというか場違いというか、とにかく彼女1人だけマイペースである。

 生物実験室は、生徒が使うであろう机や椅子は撤去されていたが、教室の隅にはガラス棚がまだいくつも残っていて、その中には生物のホルマリン漬けが陳列されたままだった。

 暗い教室の中で、脳やら内臓やらがさらけ出された生物たちに囲まれる状況は、さすがに気味が悪い。


「な、なんであのホルマリン漬けは撤去しないんだブヒ。趣味悪いブヒ」


 まったくだ。

 そしてさっきからフライヤに掴まれている腕が、かなり痛い。早く出たい。


「ハピス、どうやら幽霊は出ないみたいだから。次にいこう」

「う~ん、そうだねぇ」

「あ、そ、そこ! 今なんか動いたブヒ!」


 ハピスが振り向いた瞬間、教室の隅の床を何かが走ったのをラードが見ていた。タタタッと小さな足音だけが聞こえる。

 同時に私の腕に激痛が走った――痛、いだだだだだっ!


「なんだ、ただのネズミだったブヒ」

「フレイヤちゃん、大丈夫。ネズミさんだよ……そのままだとメリット君の腕、複雑骨折しちゃうよぉ」


 ハピスが宥めてくれたおかげで、なんとかフレイヤは落ち着いてくれ、私は腕のために大地の実を捜しに行かなくてすんだ。

 末裔とはいえ、ドラゴン族。その剛力たるや……エスコートなんて慣れないことするもんじゃないな、と内心でぼやいた。


 その後、生物実験室を後にして、先ほどハピスが言っていた幽霊の目撃情報がある場所を順番に回っていった。

 探索の中でハピスが教えてくれたが、幽霊が目撃された場所は旧校舎の七不思議にちなんだ場所に重なるんだとか。ちなみに七不思議とは、2階の女子トイレでは開かずの個室から声が聞こえるとか、音楽室のひとりでに鳴るピアノとか、いわゆる怪談である。


 七不思議自体は、幽霊の目撃よりも前からあったとうことだ。

 では、なぜうまいこと七不思議のスポットと目撃現場が重なるかというと、結局、この校舎に近づくのは面白半分に七不思議を調べにきた生徒ぐらいしかおらず、結果、七不思議のスポットで幽霊を目撃したということらしい。


「でねぇ、美術室にはねぇ――」


 目撃現場に向かう最中、ハピスがその現場にまつわる七不思議を楽しそうに話してくれる。どれも与太話だが、黙っていても面白くないから彼女なりに気をきかせてくれたのだろう。

 しかし、話の度にフライヤがしがみつく私の腕に強い痛みが走るので、やめて欲しい……今は七不思議よりフレイヤの力の方が怖い。


「あと残り2つブヒね」

「うん、それで、ここがさっき言ってた西階段だよぉ」


 階段を下っていると、1階と2階の間にある踊り場でハピスが足を止めた。「あれ、あれだよ」と指さす先には大きな姿見ある。

 複雑な模様を彫り込んだ枠に納められていて、格式高い雰囲気ではある。色あせた木の色が年代も感じさせるが、鏡自体は手入れをされているからか、曇りなくきれいに私たちの姿を映していた。


「怪しげな感じのする鏡ではあるな……」

「この鏡わねぇ、呪われた鏡でぇ映した生徒を鏡の向こうに引きずり込んじゃうんだってぇ」

「ひいぃっ!」


 ハピスの説明を聞いた途端、フレイヤが鏡に映らない位置へと飛びのくように身を引いた。私も引きづられて危うく転びそうになる。


「いたた……でも映っても何も起こらないな」

「そうだよねぇ、わたしも前に調べたけどぉ何もなかったもん」

「幽霊が鏡の中にいるってわけでもないブヒね」


 ラードが鏡を覗く。私も、体の方は鏡に映らまいとするフレイヤに抑え込まれているので、首だけ出して覗き込んでみた。

 ラードと顔だけ枠の内側に出ている私、あとは鏡の対面にある踊り場の壁が映っているだけだ。鏡の向こうが異世界になっているというよにも見えない。


「何にもないブヒ、次行くブヒ」


 そう言ってラードが鏡の前からどいた時だった。今までラードが映っていた場所に、対面の壁――私たちが背にしている壁――が映り、その鏡像に私は違和感を覚えた。


 均一な大きさのブロックが積まれている壁の一角に、一つだけ小さいブロックがはめ込まれているのである。他にはそんな小さなブロックはない。

 実際の壁はどうなっているのか。私はなにげなく振り返って鏡像ではなく実像も見て、驚嘆した。

 実像にはその小さなブロックはないのである。


「どういうことだ……」

「ど、どうしましたの? メリット」


 腕を掴んでいるフレイヤが私の異変に不安な気な瞳を向ける。ラードとハピスも、何事かと足を止めて戻ってきた。

 私は怯えるフレイヤに「ごめんね」と丁寧に断って、一旦腕を放してもらうと、自分の姿で鏡の中の小さなブロックを隠さないようにして、実際の壁の方に近づいた。鏡像を確認しながら、そのブロックがある辺りを触って見た。

 しかし、特に変わった様子はなく、平らな石の冷たい感触が返って来るだけだ。


「あ、メリットが触っているところ、鏡に映っているのと違うブヒ!」


 私の鏡を見ながら壁を探るという妙な動きから、ラードも気付いて声を上げた。


「そうなんだが、でも、特に壁自体には何もない」

「うわぁ、不思議ぃ! おもしろ~い」

「あの、もしかしたらですが……認識疎外の魔法がかけられているのでは?」

「どういうことだ? フレイヤ」

「えっと、その小さなブロックは実際に存在しているのですが、認識しにくくする結界を張っているので、見えないし触っても何も感じないのですわ。たしか、認識疎外には鏡にうつる像には効かないという欠点がありましたから、間違いないかと」

「フレイヤちゃんすごぉい、そんな難しい魔法も知っているんだねぇ」

「第2学年での学習範囲ですわ。それに、知識だけで解除までは……」

「いやいや、そんな先まで予習しているなんて凄いぞ」


 フレイヤは「べ、別に当然ですわ」と緩んだ口元を隠すようにぷいっと顔を背けた。


「しかし、何かが隠されているのは分かったが、どうやって暴いたものか」


 鏡には壁の本当の姿が映っているのだが、困ったことに壁と鏡までは数メートルの距離がある。小さいブロックがあることまでは分かっても鏡像が小さくて詳細までよく見えないし、認識疎外の魔法のせいで触覚はあてにならない。

 顎に手をあて悩んでいると、ラードがバックから何かを取り出して、それを私に手渡した。


「これでよく見てみるブヒ。はい」

「手鏡か。なるほど! よくこんなもの持ってきていたな」

「ブヒヒ、身だしなみは大切ブヒ」


 さっそくラードから借りた小さな手鏡を使い、小さなブロックを目の前で映してみた。すると、四角いブロックの表面に小さく魔方陣が彫ってあるのが見えた。ただ、私にはどういった種類のものだか分からないので、フレイヤに見てもらう。


「結界ですわね。何かの……鍵の役目をしているような、そんな感じですわ」

「開けられないのぉ」

「無理を言わないでくださいまし、ハピス。結界の解除なんて、もっと上級生の専門課程なんですから」


 一旦は無理そうかと思った私の頭に、突如閃きが起こった。


「結界の解除ならできるかもしれない」

「え? メリット君そんなことできるのぉ?」


 私は腰に下げたセレンティリオスを抜くと、切っ先をブロックに軽く突き立てて、すっとしたに降ろした。手鏡の中では魔方陣を縦一本の傷が二つに割る。


「あ、あれ!」


 直後、ラードが大きな声を上げた。彼が目を見開いて指さす鏡の方に、すぐに視線を向ける。するとそこには鏡に大きな変化が起きていた。鏡が“鏡ではなくなっていた”のである。

 木枠の中にある鏡面は私たちや旧校舎の壁を映さず、まるで、鏡が窓になってしまったかのように別の景色を映していた。


「ひいぃ! い、異世界ですの!?」


 フレイヤがひきつった声を上げて慄き、鏡の直線状から後ずさった。さすがに私もラードも驚いて身構えたが、ハピスだけはマイペースに「すごぉい」などと言って軽い足取りで鏡に近づいていく。

「や、やめなさい! ハピス!」というフレイヤの必死の制止も聞かず、鏡面だったところを指でつついた。


「おぉ!?」


 鏡面が水面のように揺れた。ハピスの指が触れたところから波紋が広がる。その感触が面白かったのか、今度はおもむろに腕をグイッと突っ込んだ。

「ああ!?」と私たちは驚きと心配に叫んだが、当の本人は「おお! 通れるのかぁ!」などと言って、きゃっきゃとはしゃいでいる。


「えい」


 そして仕舞には、どぼんっと鏡の中に飛び込んでしまった。


「は、ハピス!?」


 いきなりのことに一斉にうろたえた声を上げた。が、鏡の向こうの景色に立つハピスは呑気にこちらへ手を振っている。


 不用意に入って大丈夫なのか……。

 慌ててて鏡に私たちが近づくと、こちら側に彼女がぬっと顔だけ出した。


「ひっ! ちょっとハピスやめてちょうだい」

「大丈夫だよぉ。フレイヤちゃんもおいでよぉ、別に危ないものじゃないからぁ」 

「ちょ、やめて! 腕掴まない――いやああぁぁぁ!」


 フレイヤが引きづり込まれた。


「やっぱり生徒を引きづり込む呪いの鏡だったブヒね……」

「そうだな……」


 私とラードも彼女たちに続いて、鏡の中に脚を踏み入れた。


鏡の中に引きずり込まれる映画(だったと思う)を見て、子供の時凄く怖かった(-_-;)

怪談ではお馴染みですよね。


でも、鏡はいいですけど、同じく怪談ではお馴染みの銅像とか肖像画って人が見てない時でも動いてるのだろうか。

暇だよね。絶対に。

なまじ魂なんか宿ったから、暇という地獄に繋がれてますよ。

多分、夜生徒とかが来たら「ひゃっほーー!!」ってテンションあがって2割り増しで動き回るんだろうな。



話は変わりますが、お陰さまで本作のブックマークが凄く増えました。お読み頂きありがとうございます。


さて、え~厚かましいお願いではありますが、感想をください(ドン!)


感想は怖くないよぉ~♪


きつい返信とかしないよぉ~♪


なんなら「読んだらラーメンが食べたくなった」とか「猫耳モフモフしたい」とかそんなんでいいんだよ~(*´∀`)♪


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ