2月中旬、午後5時半の空
冬は嫌いである。
寒いのも。マフラーをするのも。日が短いのも。
コートにくるまり、下を向いて歩いた。寒くて、寒くて急ぎ足で。
ふと目をあげたとき、視界に入った空模様に。肩の力が抜ける。足が止まる。
日が、傾き始めていた。
夕焼けと青空の中間のような色合いが、流れる雲を優しい、優しい肌色にぼかす。
なぜか、幼い頃の感覚がよみがえる。不思議だった。
ああ帰らなくちゃ、って気がする。どこか遠くへ行きたい、って気もする。
明日も晴れかな。
いま、この空間で、この時間だけは。
冬が好きである。