異世界だそうです
書きたくなったから書くだけ・・・更新は気が向いたらです
それでは嫌な方は早めにお帰りをお出口は右上です
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「うん……ここどこですか?」
人間の三割の時間が消費される睡眠から目が覚め、夏なのにやけに寒いなと思いながら、まだ半開きの目で辺りを見回すと、辺り一面が真っ白で、何か冷たい物が首元に当たったりしていた。
「冷たいですね……」
覚醒した頭で今の現状を考るが、一向に思い当たらなかった。記憶が少し抜け落ちているのか、直前の事を覚えていない。それでもこれだけは言える。
断じてこんな寒い、ましてや雪が降っている雪原ではない。
「何故ですか……」
突然の事に頭を悩ましながらも、この十四年間働き続けた頭でこれからどうすれば良いかを、ひたすら考えてみたがまだ幼き頭脳なようで、全く思いつかず三分程度で諦めた。
「それよりも寒いですね」
落ち着きながら独り言を言っていますが、何時間もこの雪原に……まあ目が覚めてからは数十分と言う短い時間ですが、薄い長袖の服に長めの薄いジーンズという薄着でいた為なのか、その所為で意識が朦朧としてきた。もう自分の現状に泣きたい位ですよ……
そんな風に鬱になっていると、どこからか耳を劈くような醜悪な声が聞こえ、その音がする方へと目を向けると、ゲーム的に言うならオーガなる、取り敢えず便宜上魔物とでも呼んでおきましょうか。
それがたった一匹でもう突進しながら、こちらにやってくる。
こちらに敵意を持っているのか、棍棒を振り上げながら地鳴りの音と共に。
「だるいですねぇ……」
逃げようと試みたが、痺れたのと、寒すぎて麻痺をしたのか足が全く動かず、もう面倒だと思い死を受け入れて待つように、そのままの体制の仰向けの状態で居ることにした。
遂に魔物は目の前までやってきた。少しばかり恐怖を感じながら、目を瞑った。
目の前の魔物は棍棒を振り上げた筈だが、何故か何時まで経っても振り上げられた棍棒は来なく、その代わりに……
またもや耳を劈くような醜悪な音声が聞こえたかと思い、目を開いたら、次には真っ赤な血しぶきが返って来た。
そして私の目の前には――
「大丈夫?君?」
可愛い女性が……等身大の剣を持って私の目の前に佇んでいた。
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参りました。今回のウェイス20頭討伐のクエストでしたが、普段集団で行動しない筈が、何故か今回に限って集団でいたためにしくじってしまい、残り一匹の所で取り逃がすなんて事をしてしまいました。
しかも最悪なことに、奴が向かった先には……少年か少女のような小さい子供が居てしまいました。
普段の私なら、そのまま見過ごすなんて選択もありましたが……
私は思わず魔力を半分も使う瞬間移動の魔法を使って移動をして突き進んだ。
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さて、この状況はなんでしょうか?
「君、大丈夫?」
「大丈夫ですよ?」
その女性はまず心配そうに私の安否を確認してきたので、寒い事は言わず、大丈夫だということを伝えました。次に女性は少し気まずそうな顔をして……
「あのね。まず君に二つ言っておきたい事があるの。実はさっき来たオーガ何だけど、あれ、私のせいなんだよね」
「はぁ……」
何となく納得したかの様に言葉を搾り出しましたが、言ってる意味がよく分かりませんでした。
その事が分かったのか女性はさらに丁寧に説明をしてくれた。
「えっと……実は今の奴だけ狩り損ねちゃってさ」
「ああ、そういう事ですか……」
ようやく、まだ少しだけれど一応理解できたので、それなりの返答をしておく。
「まあそれは置いといて」
今凄く不本意なことを言われた気がしたので、私の最大限の冷たい目をする。
「ちょっ……ごめんって、悪かったからそんな目で見ないでよ」
「まあいいですけど」
少し信用し辛くなりましたが、それは黙っておきましょう。
「こほんっ、で?君は何でこんな所に居たのかな?ここはレベル三十台が推奨されてる雪原何だけど?」
「レベル……?」
一瞬よく理解できない単語が出てきたのでつい口を滑らせてしまう。
「はあ……?レベルを知らないって、まさか君、記憶喪失?」
女性の言い方を聞く限り、レベルの存在は当たり前だと分かった。それに反論して、私が知るかよと言いそうのなってしまうが、口を噤む事にする。それよりも気になった事があったので、それには反論をしておく事にする
「私は君って名前じゃありません。黒徹です水無月黒徹です」
「うん?みなずき?随分変わった名前だね?」
良く分からない質問だったので聞き返しそうになるが、瞬時に頭で、多分逆にこの場所では言うんだろうなと理解して改めていうことにした。
「えーっと……コテツ、コテツミナズキです」
「ふーんコテツね。私は……メリスでいいよ」
言い方が戸惑っていたので、偽名だと思うけど深くは追求しないことにした
「じゃあメリーさんって言わせて貰いますね。質問ですが、レベルって何ですか?」
「メリーって、まあ別に構わないけど……まさか本当に記憶が無いの?コテツ」
「はい、何故か気づいたらここに居て・・」
取り合えず怪しまれたら今は困ると思い、話合わせをしておく事にしましょう。
「う~ん、じゃあ名前以外は何も分からないの?」
「はい……」
先ほどから話していたけど、だんだん寒さが無視できなくなってきました……
「特に外傷もなさそうだし……というか、コテツ随分変わった服……」
なにやら私の服におかしな所が在った様で、メリーさんはとても驚いていた。
「どうかしましたか?」
と言ったらいきなりメリーさんが着ていた黒いコートみたいなのを被せられた。
「取り敢えず話は街に帰ってからね?」
そしてメリーさんにいきなり持ち上げられた……お姫様抱っこで。
流石に恥ずかしくなって、顔は真っ赤になっているでしょうから、それを隠すように話しかけた。
「何でです・・・?」
「この雪原の温度を舐めない方がいいよ?普通にそんな薄着で居たら風邪引くに決まっているでしょう?」
そういえばさっきから視界が朦朧と……
「取り敢えず寝ときなさい。《スリープ》」
「あ……う……」
何やら眠気が急激に襲ってきて、目を瞑った。その前に見えたのは、とても心配の目をした、メリーさんだった。