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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

いっこうスサノオ

作者: 床擦れ
掲載日:2026/10/03

 目の前に、凛《りん》と輝く剣がある。大蛇《おろち》の胎内《たいない》に納めたられていたとは思えない、血錆《ちさび》一滴《いってき》も無い、万全たる鉄剣であった。

 初め、素戔嗚《すさのお》には、材が何かも判《わか》らなかったが、櫛名田《くしなだ》を父母たる足名椎《あしなづち》、手名椎《てなづち》の元へ、無事を確かめて貰う為に見せに行った所

「ああ、コリャ鉄よ」

などと、教えてくれたのである。

 素戔嗚《すさのお》からすれば、鉄などという金属は知らなかった。己が討伐に使ったのは、十拳剣《とつかのつるぎ》という銅剣である。というよりも、銅剣以外に使った事は無かった。矛《ほこ》を呈《てい》されたとしても、それを女性《にょしょう》の武器だと云《い》って、拒《こば》んできたのである。

 俺は男なのだから、間合いを取るような臆病《おくびょう》はしない。

 そういう言い方をしたのだ。

 理屈を当《あ》て嵌《は》めてみるならば、この剣は極めて、素戔嗚《すさのお》の性分には合っていた。

 剛《つよ》く、靱《しな》やかで、断つに向き、鋭くもある。いずれにせよ、銅剣など捨てて、こちらに持ち替えてしまえば、もっと強くなるはずなのだ。勿論《もちろん》、武人としても、男としてもである。

 しかし

「良いですな、これは鎮護《ちんご》の証です」

などと、櫛名田《くしなだ》の母の手名椎《てなづち》から言われた瞬間、風向きが変わった。

(俺は、人の上に立つのか?)

 素戔嗚《すさのお》はすぐに、両手を前に出して、ちょっと待ってくれ、と考える時間を求めたのである。

 独《ひと》りにしてくれ。そして、深く考えさせろ。その様に、素戔嗚《すさのお》は告げた。それだけ大事《おおごと》なんだと、あくまで素戔嗚《すさのお》自身はだが、思っていた。

 高天原《たかまがはら》でさんざ暴れまわった後、姉の天照《あまてらす》からは絶交され、弟の月読《つくよみ》にも、大宜都《おおげつ》を殺した罪を擦《なす》り付《つ》けられたから、素戔嗚《すさのお》から、とことんに嫌っている。

 アイツが言ったんだろう、と思った。大宜都《おおげつ》は口から女陰《ほと》から、肛門から、何かを出して食わせようとしたのだ。もともと白光の様に潔癖な月読《つくよみ》も、あの女の事は嫌っていた。だからアイツから陰謀して、俺が場を用意して、アイツが斬り殺したのだ。大宜都《おおげつ》を。

 それなのに、罪は俺にあるんだと、ふざけやがった。

 ふざけやがって、何が月の神だ。

 目を下に遣《や》った。鉄剣がある。

 頭が冷めた素戔嗚《すさのお》は、頭の後ろを掻《か》いて、近くの山肌を見た。今日は雨で、何とか洪水の危険を取り除いたとはいえ、不安になる陽気である。

 また、剣をどうするか、考えた。

 鎮撫《ちんぶ》、という言葉が、頗《すこぶ》る気になる。乱れを抑えたのなら、鎮《しず》めるというし、だからといって、撫《ぶ》とは、人を安《やす》んずるという事だろう。

 となれば、土地の主になれ、とでも謂《い》っているのではないか。

「おい、おい、おい、おい──」

 素戔嗚《すさのお》は焦《あせ》った。口を覆《おお》って、泡を吹きそうな口の端を、拭《ぬぐ》ったりした。そんなことを堂々(どうどう)行《おこな》えば、天照《あまてらす》に目を付けられないか。

 目を付けるんだ、姉ちゃんは。そんな事を、考えた。

 つくづく姉ちゃんは、あたら尊厳が強い性格なのである。月読《つくよみ》が真っ白になりたいのなら、姉ちゃんは真《ま》っ金々(きんきん)になりたいのである。

 前だってそうだった。母に会うために、根《ね》の国《くに》へ行きたいといった。そうしたら姉ちゃんは

「穢《けが》らわしい!」

などと言って、俺を流したのだ。まだ十くらいの餓鬼《がき》だった俺を、使者をつけて、見知らぬ土地に捨てたのだ。それでもどうにか、山を揺らしながら戻ってくると、姉ちゃんは男の格好をして、弓を持ってきた。足をドンドコ鳴らして威嚇《いかく》して、そして鬨《とき》の声《こえ》を上げていた。

 呆然《ぼうぜん》とした。まだ十四くらいの俺を目の前にして、なんで戦《いくさ》装束《しょうぞく》を着けて出てきたのか、全く解《わか》らなかった。呆然《ぼうぜん》としていると、なんで帰ってきたのかを問われたから

「さすがに寂《さび》しくねえか」

などと答えてみたら、姉ちゃんは今度は涙を零《こぼ》しながら

「ごめんね、ごめんね」

なんて言って、俺を牀《ねどこ》にまで連れて行って、一晩《ひとばん》じゅう愛撫《あいぶ》された。

 何か狂っている。本能で思ったが、抵抗はできなかった。愛撫《あいぶ》の最中に言われたことを聞いていると、ただ至極《しごく》真っ当な事しか言っていなかったから、それが逆に怖かったのだ。そして夜が明けたときに、妻を五人も、娶《めと》らされた。

 そこから十八まで、五男三女。多く儲《もう》けたものである。妻に美醜《びしゅう》の差はあったけれど、みんな頑丈《がんじょう》だった。だがその内の一人が

「男なのに、大事にされてるねえ」

などと、ふざけやがった。俺は天照《あまてらす》の弟だから、多少以上の嫉妬《しっと》なんて、そんなものは来るとわかっていた。たとえ妻からでも。しかしその妻、いや女は

「子供くらいコッチが幾《いく》らでも生むから、アンタら男は戦場で死ねば良い」

などと、軽んじてきた。

 それだけなら耐えた。だが何度も重ねた挙句《あげく》、しまいに

「男なんぞただの猿《さる》だ、肉にもならないなら、それ以下だ」

とまで言われて、ついに堪忍袋《かんにんぶくろ》の緒《お》が切れた。

 田の畔《あぜ》を壊した。男がどれだけ田を耕《たがや》しているのか、示すために。

 御殿《ごてん》に糞《くそ》を撒《ま》いた。いくら女のする巫《みこ》が神聖であろうと、糞《くそ》の汚穢《おわい》にすら勝てぬと示すために。

 そして機織《はたお》りをする宮《みや》には、殺した馬の頭を、皮を剝《は》いでから投げ込んだ。女《おんな》の園《その》など、生易《なまやさ》しい。戦では、こういうものが転がり続けるのだと、示すためだった。

 しかしここで、宮女《きゅうじょ》が一人、死んでしまったのが運の尽《つ》きなのだ。

 姉ちゃんは心を病《や》んで、岩戸《いわと》に閉《と》じ籠《こも》った。周りが何とか執《と》り成《な》したが、姉ちゃんはその後で

「素戔嗚《すさのお》など弟では無い! 髠《こん》として、手足の指も落としてしまえ!」

などと、劈《つんざ》ける様な声で叫んでいた。

 流石にと周りが宥《なだ》めていた。そんな残酷な事をすると、人が不満を持つ。だから止めておけ。粘り強く、姉ちゃんに言い続けて、何とか怒りを収めさせた。

 だがその後で

「託《ことづけ》をしたのだから」

などと、周りの奴らが、俺に心付けを要求するようになっていた。確かに、謝礼に贈答《ぞうとう》しあうことは多い。それでも俺の位階《いかい》の高さと、天照《あまてらす》を宥《なだ》めたという事件の大きさとで、ガメつくガメつく、もうどうにもならない程に、要求された。

(無理だ)

 多分そうだった。これなら刑罰を受けてしまった方が、そこで途切れるのだから、楽かもしれなかった。でもそうならないのなら、逃げるしかなかった。留まっても、どうせ行《い》き詰《づま》っていた。

 素戔嗚《すさのお》は、また目を下にやった。

 鉄の剣が、横たわっていた。つくづく、良い剣なのだ。

 再び冷静になった素戔嗚《すさのお》は、手に取って、真面々々(まじまじ)と刃の光を眺《なが》めた。流石に膏《あぶら》は乗っているのだろう。曇《くも》って、鈍《にぶ》い光になっている。

 研ぐ必要が、ありそうだった。

 そもそも、こんな良い剣を作れるのに、と感じる。

 それなのに川を止め、下に氾濫《はんらん》を起こす元凶をも為《な》した。そんな事をしなければ、こんなに悩まなくても良かったのだ。

 だいたい何なのか、あの渡来人《とらいじん》どもは。山を掘り、金《かね》を採《と》り、そして不要になった土やら屑《くず》やらは、全部、川に捨てていた。そして川底が上がって、堤《つづみ》のようになって、夏場に破《やぶ》れれば、下に濁流《だくりゅう》が襲ったのだ。そのせいで足名椎《あしなづち》と手名椎《てなづち》の娘ばかり七人、それ以外にも多量に、人が流されたのだ。

 足名椎《あしなづち》と手名椎《てなづち》という父母の、娘の櫛名田《くしなだ》は大層《たいそう》かわいい娘だったから、じゃあそいつを嫁にくれ、などと言ってみたら、それは一石二鳥じゃないかとすら言われ、何も引っ掛かり無く話は進んでいった。

 頼まれた俺は、山の中の渡来人《とらいじん》の村に、向かった。最初は、話し合うものだと思っていた。俺もその村に行って、何とか言葉の通じる者を見付けて

「ちょっと長《おさ》と話させてくれ」

などと言ってみたら、仰天《ぎょうてん》した。

「長《おさ》は、鉄すら鋳《い》れぬ者と話すつもりは無い」

 などと、返ってきたのだ。

 そこをなんとか、と地に額《ひたい》をつけてまで、這《は》い蹲《つくば》って頼んで、何とか会えて、じゃあこれからだと思ったら、突然

「イネ、イネ」

などと、連呼された。

「は?」

 俺は間抜《まぬ》けな声を出した。そして話を通じさせてくれた者に

「な、何を言ってるんだ?」

と、尋《たず》ねてみたら、やけに口を噤《つぐ》んでいたものだから、肩を揺らしに揺らして、嘔吐《おうと》すらさせそうな程に振って、やっと

「お、長《おさ》はあなたを、野蛮人《やばんじん》だと──」

などという、屈託《くったく》の無い答えを聞き出した。

「いや、やば──なんだ? 気に食わなかったか? 謝りはするからよ」

「いや、その」

「教えねえなら、この場でブチ殺すぞ!」

 俺は恫喝《どうかつ》した。本当に殺そうなんて、高天原《たかまがはら》での失態もあったし、微塵《みじん》も思っていなかった。ただ真実を聞くために、吃驚《びっくり》させたかったのだ。

 本当に、吃驚《びっくり》していた。そして口を滑らせて

「金物《かなもの》を教えてやっている、稲《いね》を育てることしか知らない倭人《わじん》、と──」

とまで、教えてくれた。それでも、今までの事で堪忍《かんにん》、堪忍《かんにん》と思っていたから、何とか吞《の》んで

「でも、下にいる人間がいなくなったら、テメエの作る金物《かなもの》も、使われねえだろ? ただ川に捨ててるモンを、山に捨ててくれ、そう頼んでるだけなんだぞ」

とまで言ってみたが、むしろ大笑いされて

──別に死んでもいいだろ

なんていう、コケにした言い方をされた。

(テメエこの野郎)

 そう思った方が良かったのだ。それでも目の前が真っ赤になった訳じゃないから

「ブッ殺してやる。それでも良いのか?」

と、最後に訊《き》いてやった。それでも長《おさ》は笑って

──優れた器物が無いのに

なんて言ったものだから、それはもう、宣戦布告だろう。

 後悔はするなよ、とだけは言っておいた。そして後悔させる隙すら、与えるつもりは無かった。

 次は、酒を持って行った。足名椎《あしなづち》と手名椎《てなづち》には、何とか懐柔《かいじゅう》するために、酒が要《い》るんだと言って、無理に数日で、用意してもらった。そして渡来人《とらいじん》どもの長《おさ》には、先日の侘《わ》びだと、頭を下げて恭《うやうや》しくした。

 舐《な》めてた。俺の事を、ただの馬鹿だと思っていた。俺の剣の事も、舐《な》めていた。

 なら良いじゃねえか、と思った。

 邏《みまわり》りにも酒を振舞《ふるま》って、俺も飲んで、多少酔いが回るようになってから、いちどに人を斬った。

 女子供も居る。ソイツらも、何も言えねえまでにブッ殺してやる。そういう気概《きがい》で、村を歩き回った。鬼《き》だと言われたが、俺も同じことを思っていた。

 先に長《おさ》を殺す。混乱した、長《おさ》の周りを殺す。そして一段落《いちだんらく》したら、長《おさ》の家族を殺す。この手順でいった。アイツらの持つ剣は硬すぎて、俺の十拳剣《とつかのつるぎ》は欠けたし、途中で折れたが、別に造作も無かった。

 そして最後の最後に、山に巻き付いている大蛇《おろち》を見つけた。

(ヤッてやろうじゃねえかコノ野郎)

 俺はコイツが、全部悪いんだ、と思った。いま思えば八つ当たりだ。それでもぶつける所だけは欲しかった。だから、大蛇《おろち》も殺した。

 山から下りてくると、話を通じさせてくれた者が、俺を待っていた。俺に人鬼《じんき》と、怯《おび》えていた。当たり前の仕草だった。

「わかってんな」

 俺がソイツに言うと、ソイツは頷《うなず》くだけだった。何も解《わか》っていないと困るから、俺から懇切丁寧《こんせつていねい》に、鋳造《ちゅうぞう》しても良いから川にだけは捨てるな、とゆっくり教えておいた。

 そして、村まで帰った。

 目の前に有るのは、大蛇《おろち》の尾《お》っぽを怒りに任せて、ぶった斬った時に出てきた剣だった。それを持って帰って見せたのが次第《しだい》だった。

 そこまで考えて、素戔嗚《すさのお》は剣を、下に置いた。すっかり、冷静になりきっていた。

 この剣を得たのは幸《さいわい》だった。だがこの剣を得たのは、禍《わざわい》でもあった。素戔嗚《すさのお》は単純に、歳上《としうえ》だと聞いて驚いた女を娶《めと》り、多少は側女《そばめ》も置いて、子供も成《な》して、一つ屋根の下に納《おさ》まるくらいで、権威を感じずに暮らしたい、それだけであった。それなのに、気まぐれに殺した大蛇《おろち》の尾から出てきた剣のせいで、何か大仰《おおぎょう》な地位に、即《つ》けられそうなのである。

 厄介事《やっかいごと》は、御免《ごめん》だった。

 いっそトンズラを掻《か》こうと思ったが、剣の始末を聞いてから、櫛名田《くしなだ》はなんとかしよう、と手名椎《てなづち》からは言われていて、これでは結婚相手を、人質《ひとじち》に取られているようなものであった。

 髭《ひげ》を落としてしまえば、わからないか。

 さっきの討伐で、己を詫《わ》びらしく、女っぽくする為に、剃《そ》り落《お》としてしまった。

 だいいち、顔に入った刺青《いれずみ》のせいで、たぶん判別が付くのだ。如何《いかん》せん、元が高位だったせいで、眉《まゆ》の上に丸い墨《すみ》を、入れてしまっている。もともと入っていなければ良かったが、入っているものを、無理に削《そ》ぐ訳にもいかない。そんな精力も胆力《たんりょく》も、今の素戔嗚《すさのお》は持ち合わせていない。

 仕方が無く、眠った。また明日に、考えは回すのだ。今まで終《つい》ぞやった事の無いような、剣との添《そ》い寝《ね》を、せねばならなくなった。

 鳥の声が聞こえるまで、そうやって眠った。

 雨音が消えて、代わりに鳥の声が聞こえてくるようになって、まったく眠れなかった瞼《まぶた》を刮《こす》った。

「チキショウ──」

 それだけ言って、素戔嗚《すさのお》は体を起こし、足名椎《あしなづち》と手名椎《てなづち》の元へと向かった。

 笑《え》みを向けられている。多分これは、長《おさ》になるものだと、思っているのだ。そんなものに、本当に素戔嗚《すさのお》は、興味が無い。

「素戔嗚《すさのお》殿、お加減は」

 この口調が、もう阿《おもね》っている。何故《なぜ》なら、素戔嗚《すさのお》は長《おさ》だという認識が、染《し》み渡《わた》っているからだ。この庵《いおり》の周りに人が集まっていると、素戔嗚《すさのお》は音で、判《わか》っていた。

「あのだな?」

「受けて、くださいますか」

「受けねえ」

「じゃあ、娘は──」

「いやいや、あのな」

 素戔嗚《すさのお》は悲しい顔をしながら、足名椎《あしなづち》と手名椎《てなづち》の手を、両方取った。

「櫛名田《くしなだ》はくれ」

「でも剣が」

「剣は、俺が大事にしとく。それで子々(しし)孫々(そんそん)、受《う》け継《つ》ぐ」

「はあ」

「子孫が居《い》ねえと、剣は守れねえ。だから、櫛名田《くしなだ》は娶《めと》りたい」

「とはいえ長《おさ》が」

「ちゃんと、その事も口伝《くでん》する。そして、やりてえって奴が出てきた時の為に、この剣は取っとく。な?」

 何が何だか解《わか》らない。そういう顔を、周りはしていた。

「つまり? 素戔嗚《すさのお》殿?」

「そういうモンの為に、全部やらせる。俺じゃ足りねえから、何とか積んでく」

「何を?」

「なんでもだ」

 だからこの鉄剣と、俺の姿形《すがたかたち》を累世《るいせい》語《かた》り継《つ》いで、もしも同じ物を持った人間が現れたら、ソイツに付いて行け。そう素戔嗚《すさのお》は、説諭《せつゆ》し続けた。

「もし出てきたら、神の使いだと?」

「大袈裟《おおげさ》すぎるが、それでも良いから、伝えとけ」

 ならば、せっかく強《つよ》い好男子《こうだんし》であるし、次にどうなるかも分からないし、櫛名田《くしなだ》を持っていって宜《よろ》しいと、足名椎《あしなづち》と手名椎《てなづち》は快諾《かいだく》した。

 なんとか嫁を貰えた素戔嗚《すさのお》は、一頻《ひとしき》り、櫛名田《くしなだ》との寿《ことほ》ぎを終えてから、明朝、出雲《いずも》と呼ばれる地へ、出立《しゅったつ》したのである。

 このとき素戔嗚《すさのお》が携《たずさ》えた鉄剣が、後に天叢雲《あまのむらくも》、さらに後代、草薙《くさなぎの》剣《つるぎ》と呼ばれるものであった。

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