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朝セコマ

作者: 正義

焼けるような日差しを浴びて駅前の真っ直ぐな道を歩く。ひたすら真っ直ぐと進む。

途中で左右前後を確認して、あの人が居ないという確信を得る必要がある。

そうやって、私は毎日セコマの入店音を聞きながら店内に入る。目当ての物はコーヒーだ。ただ毎朝コーヒーを買うためだけにこの店に寄る。そして帰りもあの人が居ないことを確認してから店を出るのだ。


「あーセコマ落ち着くー」


私の密かな楽しみ。

朝のセーコーマート。

店員に挨拶して、コーヒーを買うだけ。だけどもそれが日課なのだ。


私の心の癒やし。


北海道に生まれて本当に良かったと思う瞬間。


セコマの看板に、心の中で「行ってきます」と告げて学校へ向かう。


ああ、どうしよう。

あの人の後ろ姿。


コーヒーボトルを握り締める。ほんの少しだけ勇気が出た気がした。


「お、おはようございます」

「おはよう」


ただそれだけ。

だけどそれが私の精一杯。


いつになったらちゃんと言えるだろう。




そう言えば、コーヒーって不安障害を酷くするんだって。

でも、止められないんだ。だってセコマに行く口実がなくなる。

入店音を聞くと元気が出る何て馬鹿馬鹿しいって言われるかも知れないけど、事実そうなんだから仕方ない。


なんか、今日一日頑張れそう。


「おはよう」

「あっ、おはよう」

「またセコマ?」

「悪い?」

「いや、うちも」

顔を見合わせて笑う。

もしかしたらみんなそうなのかもしれない。


そう思うと、なんだか嬉しくなった。


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