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悪役令嬢としての役割、立派に努めて見せましょう〜目指すは断罪からの亡命の新しいルート開発です〜  作者: 水月華
第4章

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98/111

98.訪問者です


 コレットとの旅行から数日後。


 ジルベールが再びやって来た。


 ちなみにレティシアは、慣れない旅路で帰ってきてから2日ほどベットとお友達になっていた。


 あまりの体力の無さに驚いてしまった。外出しないと、体力は最低限になるのだと身をもって知ったのである。


 それもあり、本当は旅行の次の日にジルベールがお伺いを立ててきたが、断ったというエピソードもある。


「体調はどうだい?」

「すっかり元通りですわ。体調というより、体力がないだけなので心配いりません」

「問題ないのなら良かった」

「ええ。先日は申し訳ありませんでした。まさかここまで自分の体力がないとは思いませんでしたわ」


 本当に驚いた。帰って早々、土産話をしようと思っていたのに急に体の重さを自覚して、食事すらとれずに寝てしまった。


 次の日もかろうじて食事はとれたが、すぐに眠くなってしまい、ほぼ寝ていた。


 今まで不眠だったのはどこに行ったのかというほどに、熟睡していた。


「まあ、レティシアの場合、生命維持で精いっぱいだったとは思うよ」

「皆様にも言われましたわ。けれどさすがにこれは問題なので、これから運動しようという話になったんです」

「それはいいことだね。けれど決して無理しないように。ゆっくりしていこう」

「ええ。それで相談なのですが……」

「何かな?」


 レティシアは少し緊張しながら、ジルベールに提案する。


「良ければ、これからお散歩をしませんか? 殿下とお会いする時、部屋で談笑するのも良いですが、外でもしてみたいのです」

「……私と?」

「はい。けれど無理にとは言いませんわ。殿下もお疲れでしょうし――」

「いや、そんなことはない。ぜひ、一緒に行かせてほしい」


 ジルベールも忙しいだろうと遠慮したレティシアだが、ジルベールは食い気味にのってくれた。

 

「すまない。まさか私を誘ってくれると思わなくて、驚いてしまったよ」

「嫌というわけではないのですね?」


 念のため確認すると、ジルベールは即座に否定した。


「もちろんだよ。嬉しい。レティシアが私を頼ってくれてとても嬉しいよ」


 その表情はとても明るいもので、嘘ではなさそうだ。


 というか気のせいでなければ、背後に花が咲いていそうだ。少し可愛いと思ってしまう。

 

「良かったですわ。では、早速行きませんか? とはいえ、近場の公園なのですが」

「ああ。最初は近いところがいいよ。すぐに帰れるしね」


 そういうと、ジルベールはレティシアに手を差し伸べる。


 なんだかエスコートされるのも久しぶりだ。懐かしい気持ちになりつつ、その手を取った。



 ◇◇◇



 それからジルベールが来ると、二人で公園を散歩するのが恒例になった。


 もちろん、変装をしている。ジルベールはロチルド商会に来る時は怪しさを感じるローブを羽織っていたが、今は良いところのお坊ちゃんのような格好だ。


 堂々としているほうが目立たいのか、今のところ誰かに気が付かれたことはない。


 そんな風にジルベールと過ごしていくうちに、レティシアは自分の気持ちと向き合えるようになっていた。


 コレットとは文通をしたりたまに会ったりして、ヒントをもらうことが出来た。そのおかげで、レティシアは少しずつ自分の気持ちを理解出来たのだ。コレットには感謝してもしたりない。


 やはりレティシアはジルベールを嫌いになれない。そのことは理解した。


 けれど、一緒にこれからの人生を歩むということは、まだ選べなかった。


 レティシアは自分がジルベールの隣に立っていいのか、自信が持てないのだ。


 そんな日々を過ごしているうちに、コレットと旅行に行ってから3か月ほど経っていた。


 時間が過ぎるのはあっという間のようで、ゆっくり過ぎているようにも感じた。


 そんな折、ある人物が、レティシアの元を訪ねていた。


「今日はありがとうございます。ドミニク様」

「久しぶりですね、レティシア嬢。殿下に遠慮してたら中々来れなくて」

「ふふ、殿下は小まめに顔を出してくださいますもの。ドミニク様のお話も殿下やコレット様から聞いておりますわ」


 来たのはドミニクだった。レティシアがロチルド商会に身を寄せてから初めてである。


「本当に体調も良くなっているようで安心しました。半年以上前とは比べ物にならないですね」

「ええ。皆様のおかげですわ」

「殿下との散歩はどうですか?」

「初めのころより長い距離を歩いても疲れなくなりましたの。少しずつ体力もついてきて嬉しいですわ」


 ドミニクやマルセルとは直接やり取りしていないが、ジルベールやコレットが話している。


 もちろん、レティシアに許可を取っているので律儀だ。


「ところで、今日はどうされたのです? 色々頑張ってらっしゃるそうですが、体は大丈夫ですか?」

「このくらい大丈夫です。……実はもっと早く来たいと思っていたのですが、勇気が出なくて」

「勇気ですか?」

「はい」


 そういえばドミニクの表情は来てからずっと固いものだった。


 けれどレティシアは、ドミニクに何かされた覚えはない。


 ドミニクが必要だった勇気とはなんなのだろう。


 ドミニクは深呼吸してから、口を開く。


 けれど言葉はその口から出ず、何度も開いたり閉じたりしている。


 そんなドミニクを見て、レティシアは話題を変える。


「無理して話す必要はないと思いますわ。けれど、何かお話ししたいということでしたら、お茶をまず飲みませんか?」

 

 そう言って、温かなお茶を差し出す。


 レティシアが最近気に入っている、リラックス効果のあるお茶だ。


 ドミニクに勧めると、少し迷ってからお茶を口に運ぶ。


「美味しいですね」

「そうでしょう? 最近のお気に入りなんです」


 しばらくお茶で喉を潤していると、ドミニクは意を決したように口を開いた。


「その、レティシア嬢に謝罪をしたくて」


 その言葉に、レティシアは目を見開いた。

いつも読んでくださりありがとうございます


作者は豆腐メンタルなので、過度な批判や中傷は御遠慮いただけると幸いです。

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