77.わたくしの気持ちは……
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この場を借りて感謝します!
11/28分の投稿ですが、諸事情により投稿出来ません
大変申し訳ありませんが、11/29までお待ちください
コレットの話はまだ続く。
レティシアはとんでもない状態に、声が出ない。切実に止めたいのに、体が全く言うことを聞いてくれなくて止められない。
「リュシリュー公爵令嬢は、私のことを気にかけてくれました。人気のないところに連れて行かれたこともありましたが、それをリュシリュー公爵令嬢は見つけて助けてくれたのです!」
おおっという歓声が上がる。
(お願い。感動しないで。違う。これは違うの)
「それからも、何度も助けてもらいました。ええ、はたから見ればただ虐められているようしか見られなかったでしょう。けれど、その後。誰にもバレない場所で謝罪してくださり、親身に対応してくださったのです!」
(待って。妄想も甚だしいわ。わたくし、コレット様に直接謝罪したことないわ。絶対無いわ。……え? 無いわよね?)
あまりにも堂々とした態度のコレットに、段々もしかして本当に謝罪したっけ? という気持ちになるレティシア。
「そんな何故、リュシリュー公爵令嬢は、虐めるふりを? 彼女ほどの家柄でしたら、表立って守った方が抑止力になるでしょう!」
先ほどの男性が再び声を上げる。
(そうです! よく言ってくれました!)
レティシア本人を置き去りにしたこの状態。レティシアは心の中だけで喜ぶ。体は置いてけぼりにされているので仕方がない。
「それは俺から説明させてください」
そう言ったのは、マルセル。コレットの近くに、ドミニクと共に立っていた。コレットのことで全く視界に入っていなかった。
「一時期、俺とコレット嬢の間で根も葉もない噂が流れていました。ああ、今一度言っておきますが、噂は事実無根です。俺とコレット嬢はレティシア様のことを話して意気投合していただけなので」
「はあ⁉︎」
そのマルセルの言葉に、レティシアはようやく声が出た。けれど久しぶりに出た声は、それほど大きくなく周りの声にかき消されてしまった。
「その現場を見た者もいるでしょう。食堂で、レティシア様が俺に注意をした場面を。そしてその後コレット嬢は男女関係なく、身分の高い者に媚び諂っているということも言われました」
そういえばオデットが一度、レティシアをダシにしてコレットに詰め寄っている場面があった。
「そう、そのことがあったからこそ、レティシア様は影からコレット嬢を守るという作戦にでたのです‼︎ 正攻法ばかりでは解決できないこともあると教えてくれたのです」
周りの人たちが、レティシアを見て拍手をする。
(待って、凄い事実が塗り替えられている……‼︎ どうすれば……!)
確かにマルセル達が言っていることは、事実ではある。けれどそれはレティシアの心の中だけの話で、額面ではそのまま受け取られて欲しいものだ。
どうしてここまでレティシアの狙いが読まれている?
そこでハッとして、ジョゼフ達の方を見た。
(そうだわ。なぜ彼らに助けられたことを、陛下達は知っているの? ジョゼフとルネは使用人だからまだ分かるとして、クロードさんとセシルさんはどこから……もしかして、皆が密告した?)
その考えに至った瞬間、最近の皆の違和感を思い出す。
ルネはしきりに何かを隠している様子だった。これはジョゼフが説明してくれていたけれど、よくよく考えたらおかしく無かっただろうか?
だってジルベールがドレスを用意するだけで、あんなに動揺するものだったのだろうか?
ルネだって公爵家の使用人だ。
レティシアの母親がいた頃から仕えているのだ。それがあんなにも動揺するものだろうか。
それにクロードも。あんなにジルベールをどう思っているか、聞いてきたではないか。亡命云々も言っていた。
その時は疑問に思わなかったことが、今になって、なぜ疑問に思わなかったのかと自分自身に問いたくなる。
けれど皆が密告したとしても、それなりの理由があるはずだ。裏切られたとは思わない。だって皆がどれほどレティシアに心を砕いていたか、身を持って知っている。
また思い出す。皆どんな答えを選ぼうと、レティシアの味方だともその後必ず言っていた。
きっとこれを分かっていたから、そう言ってくれていたのだろう。
今だって、混乱しているレティシアを心配そうに見つめている。そこには、少しの罪悪感も見え隠れしているようにも見えるのだ。
ここまで頭が働くようになって、レティシアは今の状況が良くない方向であることに気がつく。
冷静に考えれば、今の状態はどう考えてもレティシアの断罪ではなく、バンジャマンとジュスタンの断罪である。本人達がいないのはさておき、レティシアを救済するための断罪だ。
(けれど、それでは嫌。このままだと、リュシリュー家に籍があるままだわ……それは嫌。殿下、ごめんなさい)
たしかに、ジルベール達が行動を起こしてくれたのは嬉しい。
けれど、それでリュシリュー公爵家に縛られたままであるならば。レティシアはその手を取ることは出来ない。
(ごめんなさい。せっかく、わたくしのことを理解してくれたのに。わたくしの名誉を回復させようとしてくれているのに。恩を仇で返します)
決意したレティシアは、未だ抱えられているジルベールの体を押す。
レティシアの力では、ジルベールから離れられない。けれど、レティシアを尊重したのか、無理に押さえ込まずに素直にジルベールは離れてくれた。
皆がレティシアを見ている。
大きく息を吸って、口を開いた。
「今、陛下達が言っていたことですが、1つ間違いがございますわ。ええ、たしかにブローニュ元伯爵令嬢の件では、わたくしが通報するように指示しましたわ。けれどそれだけではありません。ブローニュ元伯爵令嬢を唆したのも、このわたくしなのですから」
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