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悪役令嬢としての役割、立派に努めて見せましょう〜目指すは断罪からの亡命の新しいルート開発です〜  作者: 水月華
第3章

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75/96

75.卒業パーティー開催です

感想ありがとうございます!

全てに目を通させて貰っています


 アヴリル魔法学園の卒業パーティーは、国内でも注目度が高い。


 貴族が通う学園で、平民も優秀なものばかり。ここを卒業出来れば、将来は安泰だからだ。


 国王も重視しているからこそ、王城の敷地内で卒業パーティーを開くのだ。


 けれど、学生生活で最初で最後のパーティーだ。実は毎年何かしら騒ぎが起きている。

 そして皆、それを楽しんでいる。


 それは、はしゃぎ過ぎた故の暴走だ。怪我人などが出なければ、大体は黙認される。


 ある意味何かしらの騒ぎが起きるのが、恒例行事となっているのだ。


(そう考えると、寛容と言えばいいのか何なのか……。まあ、卒業パーティーが終わると皆大人しくなるし、ガス抜きみたいなものかしらね)


 パーティー会場に到着したレティシアは、ジルベールにエスコートされながらそんなことを考える。


 ぼんやりしているレティシアを、ジルベールは少し見つめてから話しかけた。


「どうしたんだい? 体調が優れない?」

「あ、いえ。申し訳ありません」


 ジルベールに話しかけられ、レティシアはハッと我に帰る。


 まだ何かを話しかけようとしたジルベールだったけれど、音楽隊が演奏を始めた。


 それは卒業パーティー開始の演奏。

 まずは、国王陛下からのお言葉があるのだ。


 演奏が一度終わると、2階の扉から陛下と王妃が入ってくる。


 2人が微笑むと、会場は割れんばかりの歓声に包まれた。歓声を上げているのは、卒業生。保護者となる親も来ているけれど、彼らは後ろの方で見守っている。その中に、バンジャマンはいない。そのことに、レティシアは安心した。


 その歓声が止むのを待って、陛下が口を開く。


「皆の者。この善き日にアヴリル魔法学園を卒業出来たこと、心から祝福する。そしてこれから、アヴリルプランタン王国が其方らの手でより発展することを期待している。卒業おめでとう!」


 魔法で声が響くようにしているのだろう。


「皆、今日は楽しんで欲しい!」


 陛下の言葉が終わると、歓声と拍手に再び包まれる。


 そして卒業パーティーが始まった。


 各々、食事コーナーの方に行ったり、ダンスを踊ったりしている。

 

 ちなみに卒業前に希望者にはダンスレッスンを申し込むことが出来るので、平民でも問題なく踊ることが出来る。


 レティシアは、ジルベールと1曲踊ってから解散となるだろう。


 婚約者同士だ。こういった場で一度も踊らないのは色んな憶測を生む。


(あら? けれどその憶測はわたくしにとって良いことですわ。これは何とかして……)


「レティシア、音楽が始まる。行こうか」


 その言葉と共にレティシアの腰を抱くジルベール。

 

(避けることは出来ませんわね。諦めましょう)


「はい、殿下」


 早々に諦めて、ダンスホールの中心の方へ向かう。


 演奏が始まり、ジルベールのリードで踊り始める。淑女教育で叩き込まれたダンスは、もう無意識でも踊ることが出来る。


 ステップを踏みながら、レティシアは周囲を窺う。


 皆楽しそうにしているが、やはり王族であるジルベールがいるから視線を感じる。


 その視線は、好意的なものもあれば、そうでないものもある。


 きっと前者はジルベールに、後者はレティシアに向けられているのだろう。


 そんなことを考えていると、急にステップが変わる。レティシアの体は遠心力でバランスを崩しかけるけれど、ジルベールの力強い腕に支えられる。


 そのせいで近くなった顔の距離に、レティシアの心臓が跳ねる。


「で、殿下?」

「私と踊っているのに、余所見なんて酷いじゃないか?」

「も、申し訳ありません」


 何故だろう。言葉は不機嫌なものなのに、表情は楽しそうだ。その笑顔を至近距離でみたら、誰でも落ちるだろう。居心地が悪くて、視線を逸らす。


 ジルベールはそのままダンスに集中させるように、クルクル踊る。

 ふんわりしたスカートが、それに合わせてひらひら舞う。


 レティシアはそれについていくのに必死だ。何せ急にされたので、リズムを掴み直さないといけない。


 しかしそのリードは決して乱暴なものではなく、レティシアを気遣うようなものだった。


「レティシア」

「何でしょう」


 ようやく立て直せたところで、ジルベールが名前を呼ぶ。


「……」

「殿下?」


 何も言わないジルベールに、顔を上げる。その表情は、何か苦しむようだった。


「……レティシア、君は……」

「……?」

「いや、ダンスが終わるね」


 その言葉と共に、最後のステップを踏んでファーストダンスが終わった。


 一応、婚約者としての義務は果たした。きっとジルベールは、これからドミニクやマルセル、それからコレット達のところに行くのだろう。


 けれどジルベールは動かない。そう、ダンスホールの真ん中にいる。


 次の曲も始まっているので、踊らないのであれば邪魔になってしまう。けれど動く気配のないジルベールに、レティシアは首を傾げる。


「殿下、ここにいては他の方の邪魔になりますわ。仲の良い方々のところへ行っていいですよ?」


 そう言うけれど、ジルベールは動かない。


 いよいよ不審に思ったその時だ。


 バンっと会場の扉が開いた。


 そこにいたのは――


「ルネ、ジョゼフ……? それになんで……クロードさんとセシルさんが?」


 レティシアの口から思わず溢れた。そう、この場に呼ばれないはずの人達がいたのだ。


 何が起こったのか、分からない。


 演奏も止まり、他の人達も驚いた表情をしている。


「皆の者。急にすまないが、これから国としてある変更がある。その発表の場とさせてもらいたい」


 陛下の言葉に、皆、顔が輝きだす。なぜなら、今までの卒業パーティーの無礼講を考えれば、面白いことが起きるかもしれないと予感したのだ。


 それは対岸の火事を見るような、野次馬根性だろう。


 そして陛下が再び口を開く――

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― 新着の感想 ―
んー。 気持ち的には亡命して、 国のことをすっぱり忘れて生きてほしいなぁ… 家族も王子も結局自分の執着を レティシアに押し付けてるだけに見える… パワハラの会社(王家・実家)から逃げる権利が レティシ…
んー……まあ、亡命厳しいでしょうね。 王子たちに全部バレてるっていう、現実的な問題が一番ですけど。 それを置いておいても、あまりレティシアに分がないんですよね。 レティシアは記憶を取り戻す前の王子の対…
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