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悪役令嬢としての役割、立派に努めて見せましょう〜目指すは断罪からの亡命の新しいルート開発です〜  作者: 水月華
第2章

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52.計画は先に潰しましょう


 数日後、レティシアはロチルド商会に来ていた。


 公爵家の監視が無くなったので、また外出は可能になったのだ。けれど今までと違い、バンジャマン達がレティシアに全く興味がない訳ではない。その為ジョゼフからバンジャマン達の予定を聞き、外出していることがバレないように気をつけている。


 やって来たロチルド商会では、まず亡命先の調整をした。亡命用の戸籍は、まだ準備出来ていないらしい。


「やはり新しい戸籍というのは時間が掛かってしまいますね。偽の戸籍とバレないように、それまでの経歴も作る必要があるので」

「それは仕方ありませんわ。それよりも確実性重視の方が良いですもの。気にしておりません」


 その他の準備は順調だ。ちなみに亡命先への挨拶は向こうに行った後ということになっている。


「それから先にお聞きしていたことですけれど」

「ええ。さすが伯爵家の箱入りと言いますか。隠れていませんでしたね。丁度、取引の現場も見たので間違い無いかと」


 クロードは早速、オデットがコレットを襲うよう依頼した暴漢について教えてくれる。


「それにしても厄介なのに目をつけたものです。コイツらは確かにこの界隈では有名です」

「……仕事の有能さではなく、裏切りやすいという点で。ですね」


 レティシアの言葉に、クロードは頷いて続けた。

 

「ええ。金になると分かれば、すぐに飛びつく。とはいえ、私達が近づくのは危険です」

「こういった輩は、こちらにその後も蜜を啜りにやってくることでしょう。今後のことを考えて、関係を持つのにメリットがありません」


 レティシアは高値でオデットの情報を買おうかと思ったが、セシルの言葉にその選択肢を消した。


 少し残念そうにするレティシアに、クロードは微笑んで言う。


「安心してください。取引の現場を見たと言ったでしょう? 決行日も掴んでいますよ」

「まあ。そんなに都合良く、遭遇することが出来ましたのね」

「ええ。本当に、運がよかったです」


 なんだかレティシアの都合の良いように進んでいる気がする。


「それで、決行日はいつになるのですか?」

「今から1週間後、対象の……コレットさんでしたっけ? 彼女が放課後1人になるタイミングだそうですよ」

「分かりましたわ。しかし、本人に忠告するわけにもいきませんし、どうしましょう」

「……放課後なので、恐らく学園の外でしょう。私達の従業員の誰かに通報してもらうようにしましょう」

「確かに、アヴリル魔法学園の警備はしっかりしていますわ。中々忍び込むのは協力者がいても難しいですわ」


 学園の敷地に入るには、警備員に身元をしっかり証明する必要がある。


 ならず者だと身元が証明出来ないだろう。


「こんなことまで協力いただいて申し訳ないですわ」

「いえいえ。こういったことは、大人の方が動きやすいものですから適材適所ですよ」

「それにレティシア様、謝られるより感謝される方が、この場合嬉しいです」


 セシルの言葉に、レティシアはハッとする。


「そうですわね。本当に、ありがとうございます」

「レティシア様のためなら、このくらい朝飯前です」

「ふふっ」


 オデットとは違う、心からの気遣いにレティシアの心はポカポカだ。


「わたくしも万が一の為に、当日はコレット様を尾行しようと思いますの」

「危ないことはしないで欲しいのですがね。……それでも行くのでしょう?」


 クロードの言葉に、レティシアは力強く頷く。


「コレット様に何かあれば、一生後悔しますもの。大丈夫ですわ。一応攻撃魔法の心得はありますもの。その時は証人になってくださいね」

「それはもちろんです」


 攻撃魔法は原則騎士団以外は使用禁止だ。それでも難しいわけでは無いので、覚えることができる。


 それに、自己防衛の為なら特例で使用が許されることがある。ただし、その際にはしっかりした証拠が必要だ。


「ではよろしくお願いしますわ。名残惜しいですが、そろそろ帰らないと」

「分かりました。お気をつけて」

「レティシア様、また」

「ええ。また今度」


 クロードとセシルに見送られて、レティシアは屋敷に戻った。


 あらかじめ戻る時間を決めていたので、抜け道の先にルネが待っていた。


「お嬢様、おかえりなさいませ」

「ただいま戻りましたわ。大丈夫かしら?」

「ええ。旦那様達もお帰りになられていませんし、使用人も気づいていません」

「良かったわ」


 監視が緩くなったとはいえ、以前よりレティシアに関心がある状態では油断できない。


 人の気配を確認しながら、こっそり自室に戻った。


 数ヶ月経つ間に、レティシアの部屋は少し様変わりしている。


 ルネとジョゼフのために、ソファとテーブルが追加されたのだ。それだけでとても快適だ。


 ソファとテーブルは公爵家で考えたら質素なものだが、細部のデザインも拘っているものだった。ソファの座り心地もいい。


 逆にここで豪華なソファとテーブルだったら、この部屋から確実に浮いているので丁度いい塩梅だ。


 ジョゼフから言われたが、これはバンジャマンとジュスタンが選んだらしい。


 その話を聞いたレティシアは心の底から驚いた。このデザインといい、確実にレティシアの事を考えて選んでいる。


 それでもバンジャマン達から何も言われていないし、ジョゼフもお礼はいらないと言われた。


 レティシアがしたくなったら、お礼を言えばいいと。それを聞いて、レティシアは何も言わなかった。


 

 閑話休題。


 そんな裏話があるソファに腰掛け、一息ついたところでルネにオデットのことを話すと顔色を変えた。少し考え込んだ後、言った。


「お嬢様、お気持ちは分かります。……ならば私もその場にいさせてくださいね」

「抜け出せるの?」

「なんとかします。……ジョゼフさんが」

「まあ! ふふふ」


 正直に言うルネに、笑いが込み上げる。


 笑ってしまったが、ルネの意見は嬉しかったので受け入れた。


「流石に学園には入れないから、外で合流ね」

「はい。絶対にお嬢様を守りますね」

「ええ」


 恐らくこの事件が未遂で終わろうが、レティシアの地位は落ちるだろう。


 これはマルセルルートの流れとほとんど同じだ。オデットが捕まれば、レティシアの差し金だと叫ぶだろう。


 そうなればレティシアにも疑いの目は向く。学園での地位を落とすには最適だ。


(さあ、オデット様。わたくしと共に堕ちてくださいね)

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