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悪役令嬢としての役割、立派に努めて見せましょう〜目指すは断罪からの亡命の新しいルート開発です〜  作者: 水月華
第4章

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109.立太子の儀


 立太子の儀と、結婚式は同時に行われることになった。通例ならば立太子の儀の後、間を空けて結婚式となる。


 しかし今回は立太子までに時間がかかったこともあり、同時に開かれることになった。


 ちなみに通例で2回に分けるのは、それを出来るほどの財力や権力があると知らしめるためである。


 陛下とジルベールは1回で済ませて良くない? と思っていたらしいので、都合が良かったらしい。

 

 けれど1度で開催するということは、準備もかなり時間がかかるということだ。


 国内だけでなく、国外からも賓客を招いて発表するだけでない。内容も今までと変えることになるので、そこもどう進めるか考えなくてはいけない。それでも急ピッチで準備が進められ、半年後に開かれることになった。


 期間が短い。けれどジルベールの年齢を考えると、致し方ない部分もある。


 その準備期間はあっという間に過ぎていく。招かれる国の勉強だけでなく、本格的に王妃教育も始まったのだ。


 王妃との対面での教育は最初こそ緊張していたものの、王妃が優しく気さくな人物であることでそれも緩和していった。


 ただやはり王妃教育自体が厳しいものなので、大変なことに変わりはない。


 本来であれば、王妃教育は結婚してから始まるものであるが、今回は特例だった。


 そんな日々を振り返りつつ、今はドレスアップの最中である。


 味覚が戻ってから、以前よりずっと多く食べられるようになった。お陰で健康的な体に近づいている。


 いきなりの体重増加は負担になるので、あくまでもゆっくりだ。ルネとセシルを筆頭に栄養管理をしてくれている。


 お陰で少しずつ健康的になっているというわけだ。


 ドレスのデザインも以前はほぼ露出がなかったけれど、今回は背中の辺りが空いている。


 色味もジルベールの髪とウェディングドレスということで、白を基調にしている。所々にアメジストをあしらっている。


 このデザインもジルベールと話あってのことだ。


 前回はレティシア自身、ジルベールから離れようとしていたからジルベールの色は最低限にしていた。


 けれど今回はジルベールの伴侶として、独占欲丸出しにもなるデザインになったのだ。


 周囲の目がとても温かいもので、恥ずかしくなったのを覚えている。


 そんなことを考えているうちに、着替えは終わった。


 今回の主役はレティシアとジルベール。先に立太子の儀を行うので、その間はレティシアはナミュール侯爵家の人達、主にドミニクがレティシアの側にいてくれている。


 今は立太子の儀が始まるのを待っている。半年しかなかったのに、国賓も招待した全ての人が出席していてホールは満席だ。


「とても綺麗ですね、レティシア嬢」

「あら、ありがとうございます。ところで、兄妹なので”レティシア嬢“は些か距離が遠いのではないですか?」

「分かってはいるんですが……」

「いやですわ。わたくしのお義兄様は意外と固いのですね」

「……レティシアじょ……レティシアは俺を兄にしてくれるのか?」


 その一言に、ドミニクがなぜ遠慮気味だったのか納得した。


 レティシアは微笑んで言う。


「ええ。もちろんです。どっかのクズ野郎とは大違いですわ。見てください。お兄様と言っても、触れても鳥肌は立っておりませんわ」

「……つまり前は立っていたんだな……。うん、大丈夫なら安心した」

「ええ。大丈夫です」


 ジュスタンのことで、”兄“という存在に嫌悪感がないか、不安だったのだろう。


 けれどそれは杞憂に過ぎない。だってドミニクはレティシアに何もしていない。だからこそ、ドミニク本人が悔恨を感じているとしても、レティシアが嫌悪する必要などない。


(いつか、ドミニク様が自分を許せるようになればいいですわ)


 ジルベールもドミニクと同じような感じだろうが、あちらはこれからを頑張っている。


 ドミニクも頑張っているので、きっと自分自身を許すのに多くの時間はかからないだろう。


 その時、ホールの照明が落ちる。立太子の儀が始まったのだ。


「本日、この時をもってジルベール・ラ・ド・アヴリルプランタンを、王太子に任命する」


 その言葉に、ホールが揺れるほどの拍手が巻き起こる。


 拍手が静まると、ジルベールが一歩進み出て演説する。


「本日はお集まりいただき、感謝します。遅くなりましたが、私、ジルベール・ラ・ド・アヴリルプランタン。ますます精進します――」


 演説が終わると、再び拍手が巻き起こる。


 ジルベールと目が合い、微笑まれる。幸せな気持ちになりつつ、レティシアも微笑みを返した。


「それではこの後は王太子夫妻の結婚式となる。しばし待たれよ」


 陛下がそう言うと、レティシアはドミニクにエスコートされ、退出する。


 この後はレティシアも主役となるのだ。


 使用人達が慌ただしく準備する中、レティシアはジルベールと合流する。


「レティシア、体は大丈夫かい?」

「もちろんですわ。先ほどの演説、素晴らしかったです」

「ありがとう」

「それじゃあ、俺はこの辺で。殿下、”義妹“をよろしくお願いしますね」

「……もちろんだ」


 一瞬、ジルベールが渋い顔をした。


 どう考えても、レティシアを妹扱いしたからだろう。


「もう、殿下。義理とは言え、兄妹ですよ?」

「分かっているんだが……なんだろう、ドミニクが兄なのが納得いかない。彼は弟だろう」

「まあ! ふふっ」


 まさかのドミニクが兄なのが、違和感がすごいからだなんて。


 まだまだレティシアはジルベールを理解しきれていない。けれど、それもこれからだ。


「まあドミニクのことはあとにしよう。……レティシア。これからもよろしく」

「ええ。こちらこそよろしくお願いします」

いつも読んでくださりありがとうございます


作者は豆腐メンタルなので、過度な批判や中傷は御遠慮いただけると幸いです。

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