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悪役令嬢としての役割、立派に努めて見せましょう〜目指すは断罪からの亡命の新しいルート開発です〜  作者: 水月華
第4章

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103/111

103.お菓子作りです


 その後、そうと決まったら、セシル達にも言わないと! とコレットは張り切っていた。


 レティシアはコレットの勢いに押され、されるがままだった。嫌なわけでは無いのも影響して。


 ぼんやりしたまま、気が付いたら監督にセシルを同席させることを条件に、来週お菓子作りをすることが決まっていた。


 ちなみにセシルが同席を必要とした理由は、レティシアが今まで料理をしたことがなかったからだ。


 念のため怪我をしないように、見守ってくれるらしい。


 コレットは初心者のレティシアにも作れるような、簡単なお菓子にしようと何故かとても張り切っていた。


 帰るコレットを見送り、気が付いたら次の日になっていた。いつ寝支度したのか、全く記憶がない。それほど心あらずだった。


 ルネ達にも心配されつつ、応援されたので頑張ろうとは思うのだが。


(殿下に手作りのお菓子……。絶対に見劣りするわ。だって王族なのよ? 口に入るものは基本的に一級品だわ。ま、不味かったらどうしましょう……)


 ジルベールだから、仮に不味いものだとしても食べてくれるだろう。けれどそれはそれだ。


 出来るだけ不味いものは口に入れてほしくない。


 コレットが来るまでの数日間、いろんな人にお菓子作りの極意を聞いていたのだが、上手く出来るか不安である。


 コレット曰く、プレゼントするものを作ればジルベールのことをどう思っているか、真の意味で理解できるとのことだがレティシアには何のことだかさっぱり分からなかった。


 気が付いたら、コレットがお菓子作りをしようといった日になっていた。


 コレットは朝早くやって来た。いつもは午後に来るので不思議な気分だ。


「レティシア様、頑張りましょう。大丈夫ですよ」

「わたくし、お菓子作りどころか料理するのが初めてなのですが……」

「初心者でも失敗しないようなレシピを考えました! マフィンはレシピ通りに作れば、簡単で失敗し辛いんです!」


 コレットははしゃいでいるらしい。その証拠に、声がいつもより高めだ。


 きっとコレットにとって故郷の風習が出来ることが嬉しいのだろう。


「確かに、包丁を使いませんし良いですね。それにアレンジも結構できますよ」


 そう言いながら微笑んだのはセシルだ。


 レティシアにエプロンを用意してくれて、着せるのも手伝ってくれた。

 シンプルながら、着心地がいいデザインだ。


 セシルは本当に見守りだけなのか、エプロンは着けていない。

 

 コレットは使い込んでいるが、大事にされているのだと分かるエプロンだ。


 コレットのエプロンは、母親が使っていたものらしい。それは大事にしたいだろうと納得していた。


「さあ、始めましょう! まずは手洗いですよ!」

「はい」

 

 コレットに促され、いつもより丁寧に手を洗う。


 そして卵を割り、ボウルに出す。レティシアとしての経験はないが、殻を入れることなくうまく割ることが出来た。


(良かった……。殻入りのマフィンなんて、殿下には渡したくありませんし)


 内心そう思いながら、ホッと息を吐いた。


「で、この卵を混ぜます」

「はい」


 コレットに習い、レティシアも卵を混ぜる。そのあと、ミルクや砂糖などを入れてさらに混ぜる。


 いつもと違う動きなのでなれないのか、大変ではないのに腕が疲れる。


 バターを入れて、小麦粉を混ぜた。確かに簡単ではあるが、慣れていないので緊張してしまう。


(舌触りが悪かったら、殿下も嫌ですよね。ここは丁寧に……)


 魔道具のオーブンに入れて、焼き始めたことで一旦出来ることが終わった。


「レティシア様、凄いです。初めてとは思えないほど上手ですよ」

「そうでしょうか……? ちゃんと膨らむか心配ですわ」

「手順に問題はなかったので、大丈夫だと思いますよ」


 セシルにも言われ、少し安心するレティシア。


 焼いている間、落ち着かなくてオーブンの中が見えないかと覗き込んでしまう。


 そわそわしているレティシアを、微笑まし気に見守る二人。


 そんな時間はあっという間に過ぎ去り、オーブンを開けるとこんがりきつね色のマフィンが見えた。


 一つ一つ、綺麗に出来ていて、レティシアはホッとした。


「レティシア様、とても美味しそうです。お菓子作りの才能があるかもしれませんね」

「た、楽しかったです」


 慣れないけれど悪い気分では無かった。


 そして粗熱を取った後、一つ一つを丁寧にラッピングしていく。


(これはクロードさん、これはセシルさん、これはルネ……ジョゼフ……殿下には……)


 レティシアは誰にどれを渡すか考えながら、ラッピングしていく。


 気が付いたら、レティシアはとても楽しんでいた。皆どんな反応をしてくれるだろうか。そんなことを考える。


「レティシア様、終わりましたか?」

「ええ。コレット様のおかげですわ。出来るか不安でしたが、こんなに楽しいなんて」

「良かったです」


 そう笑うコレット。


 そして一つ、コレットはラッピングされたマフィンをレティシアに渡した。


「……コレット様?」

「私から、感謝の気持ちです」

「ありがとうございます。……でも」


 味覚がまだ戻っていないのに、貰うのは気が引けた。


 そんなレティシアを見抜いているコレットは、引かずに言う。


「私の気持ちなので、他を気にしなくていいですよ。私がレティシア様に渡したいんです」

「……ありがとうございます。では、わたくしも……あとセシルさんも」

「ありがとうございます」


 2人とも受け取ってくれた。そのことに、喜びを感じるレティシア。


 と、ここでコレットがレティシアに聞いた。


「それでレティシア様、マフィンを作っているとき、何を考えていましたか?」


 そのコレットの質問が、先日ネタバラシと言っていたことに関係あるのだと、その様子から何となくわかった。

いつも読んでくださりありがとうございます


作者は豆腐メンタルなので、過度な批判や中傷は御遠慮いただけると幸いです。

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