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悪役令嬢としての役割、立派に努めて見せましょう〜目指すは断罪からの亡命の新しいルート開発です〜  作者: 水月華
第4章

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102.コレット様の提案とは?


 手紙を出して数日。コレットがロチルド商会にやって来た。


 仕事も調整してくれて、なるべく早く会えるようにしてくれたのだから、感謝しかない。


「こんにちは、コレット様。わざわざありがとうございます」

「こんにちは、レティシア様。いいえ、手紙の内容を見たらもっと早く訪ねたいくらいでした」


 お茶も用意するけれど、いつものように楽しむ余裕はない。コレットも同じようで、早速レティシアに聞き始める。


「それで、殿下とのことですよね」

「……はい。わたくし、どうすればいいのか分からなくて」

「ゆっくりで良いです。初めから話してもらえますか?」


 コレットに、ジルベールとのやり取りを話す。


 時折、言葉に詰まりながらも何とかレティシアは話し続ける。


 その間、コレットは相槌を挟むだけで、レティシアの話をしっかり聞いてくれた。


「……わたくしは、殿下からの言葉を聞いた時点で、答えは出ているはずなんです。それなのに、その答えを口に出すことが出来なくて。それがとても苦しいんです」

「自分の心を曝け出すのって、とても怖いですよね。どう思われるかとか、反応が怖いのはよく分かりますよ」


 レティシアの言葉を、優しく包み込んでくれるコレット。

 少し勇気が出て来て、また話し出す。


「わたくしは……殿下に好きだと言われて……とても嬉しかったんです。なのに、苦しさもあって……昔のことを思い出したら、何でもっと早く言ってくださらなかったのかって思ってしまいました」

「気持ちは言葉にしないと伝わりません。特にお2人は感情を表に出さないようにされていたのですよね? そうなると余計に分かりません。レティシア様が思うのは尤もです」


「けれど、わたくしも自分の気持ちを伝えていませんでした。なのに殿下にばかり、そのように思うのは身勝手だとも思うのです」

「レティシア様は、ご自分のことも考えているのですね。客観的にも見ようとしているのは、大切なことだと思います」


 ここでコレットが、レティシアに質問する。


「レティシア様は、殿下に好きだと言われて嫌ではなかったのですか?」

「……わたくしは、嬉しかったです。苦しさは感じても、嫌という気持ちは欠片もありませんでした」

「そうなんですね。……では、殿下の手を取ることで、その苦しみが無くなる可能性もあるのでは?」


 コレットは、レティシアの気持ちを傾聴してくれている。そのおかげで気持ちが軽くなり、今まで言えなかったことも言えるようになった。


 けれどコレットの問いに、再びレティシアの心は不安が比重を占める。


 どうしてそうなるのか、レティシアは自分に問いかけ、コレットに話す。


「わたくし、自信が無いんです。わたくしのこの気持ちは、本当にわたくしが望んでいるのでしょうか? 殿下を思うあまり、混同していないでしょうか?」


 ジルベールのことを好ましく思っているこの気持ちは、ジルベールに王になってもらいたいだけで、ジルベール自身を見れているのだろうか。


 決定的な証拠がなくて、レティシアは不安定になっていた。


「不安ですよね。けれど、レティシア様。既にそのように悩まれることが、殿下自身を見ようとしている証拠になりせんか?」

「……そう、でしょうか?」

「そうです。そもそも殿下が王になってほしいだけなら、そんな風に考えたり出来ないと思います。大丈夫です」


 にっこり微笑むコレットに、釣られてレティシアの口角も少し上がる。


「……それも、あるんですが。わたくしは殿下の隣に並び立つに相応しいでしょうか?」

「どうしてそう思うのですか?」

 

「不安……です。自分のことすら、このように決めかねている人間が、何か大事に関わって動けるのかと」

「ではレティシア様、何故殿下が、ロチルド商会の方々がレティシア様に協力的だと思いますか?」

「……」


 レティシアは視線を左右に彷徨わせ、考える。けれど分からない。緩く首を振ることで答えた。


 好まれているとは思うけれど、どうしてそこまで好んでくれるのか。


「気が付かないのも、無理はありません。何故なら、レティシア様は無意識に、相手を思い遣っているからです」

「わたくしが?」

「はい。レティシア様が無意識レベルでしていることが、私達にとってかけがえの無いものなんです。その姿に、何かしてあげたいって思うんです」


 レティシアが意識しているようで、意識せずにしている態度、言葉その全ての積み重ねがコレット達を動かしているのだと。


 そう言われても、あまり実感がない。


「確かにそういうのって、自覚しづらいですよね。……そういえば、私の故郷ではある日に好きな人に手作りのお菓子をプレゼントする風習があるんですよ」

「手作りのプレゼントですか?」


 コレットは良いことを思いついたというように、ポンと手を合わせる。


「はい。レティシア様、良ければ好きな人たちにお菓子を作りませんか? 私、ある程度お菓子は作れるので!」

「え? 何人も渡して良いのですか?」

「はい! 友人同士から恋人同士、お世話になっている人達まで誰でも大丈夫です」

「な、なるほど。けれど、何故それを?」


 その質問を待ってましたとばかりに、コレットは少し身を乗り出す。


「殿下への気持ちを知りたいのですよね? 作れば分かりますよ! ネタバラシすると意味が無いのでこれ以上は言えませんが。ちょうどその日は来週なんです! タイミングバッチリです!」


 コレットの提案に、よく理解していないけれど、気が付いたらレティシアは頷いていた。

いつも読んでくださりありがとうございます


作者は豆腐メンタルなので、過度な批判や中傷は御遠慮いただけると幸いです。

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