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死神のリグレット~魔王軍最強の死神、学生になる~  作者: Tonkye
第一章 死神、学生になる
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第10話 部活動

 ヴィーがカイゼルアカデミーに入学して、一週間が経った。


 一年生の課外授業を一ヶ月後に控え、ソフィア達一年生の生徒は今から期待と不安でソワソワしている者も多い。



 入学三日目で、ソフィアを虐めていた元凶だったロレッタとゲロリアンは退学となり、ソフィアを虐める者はいなくなった。


 そうすると、初めはこれまでソフィアへの虐めを見て見ぬふりしていた負目からソフィアを敬遠していたクラスメートたちだったのだが、ソフィア自身が元々明るくて優しい人柄だった事もあり、次第に元々の人気が蘇り、彼女のクラスメイト達は一斉にソフィアに謝罪をした。


 何を都合の良い事を……と、全員にちょっとキツめの説教をしてやろうかと思ったヴィーだったが、ソフィアが謝罪を受け入れたので我慢する事にした。


 こうして、ソフィアにとっても、本当の意味で平和で穏やかな学園生活が訪れたのだった。



 ヴィーにしても、相変わらず女生徒の注目の的だったが、この頃には早くもある疑惑が持ち上がっていた。


 それは……ヴィーが、一年のソフィアと付き合っているのではないか? と。


 どんな女生徒に誘われても常に興味なさげなのに、ソフィアにはとことん甘いのだ。

 いつもクールな表情が、ソフィアの前でだけ、幸せそうな笑顔に変わるのだから。



 そんなこんなで、この日も昼食を迎えたのだが……ヴィーの機嫌は宜しくなかった。


「もう、ヴィー君、顔が怖いよ」


「ん? そんな事ないだろ? 無表情なだけだ」


「それが怖いんだよ。 整った顔の無表情って、女性には魅力的かもしれないけど、男には怖いだけだから」


 ヴィーはマルクと二人で昼食をとってる。 そう、ソフィアがいないのだ。

 人気を取り戻したソフィアは、新しく出来た友達数人と仲良く昼食をとっているから。


 虐めが無くなり、友達も出来た妹の邪魔をする程ヴィーも愚かではない。


 それでも、寂しさを感じてしまうのはどうしようもなかった。



 だが……そんなヴィーを、他の女生徒達が放っておかなかった。


 今まではソフィアと一緒だったから遠慮していた一年生や二年生の女子達が、チャンスと見てヴィー達のテーブルに殺到したのだ。


「うわ~、モテモテだね、ヴィー君。 僕は羨ましいよ……」


「羨ましくないだろ? 知らない奴ばっかだし」


「そりゃ最初は誰でも知らないさ。 でも、そこからお互いを知って行くのが恋愛じゃないか」


「……マルク、おまえって案外ロマンチストなんだな」


 だが、今はソフィアの事で頭がいっぱいのヴィーにとって、恋愛など興味もなかった。



 ……放課後。


 やはりソフィアは友達と一緒に帰るとの事で、ヴィーは一人で帰宅する準備をしていた。


「ところでヴィー君、部活動はもう決めた?」


 言われて、ヴィーは部活動の事をすっかり忘れていた事に気が付く。


 カイゼルアカデミーでは、生徒は必ず何らかの部に在籍する義務があるのだ。


 運動系から魔術系、文学系から理数系、娯楽系に経済系と、カイゼルアカデミーには計三◯もの部が存在するので、一人で全部見て周るとしたら一日では足りない。



「そういえば忘れてたな……なあマルク、籍だけ置いて、行かなくてもオーケーな部ってないか?」


「……部活動も卒業後の進路に反映されるけど、いいの?」


 ヴィーとしては、卒業後の進路など全く心配していなかった。

 自分なら、いざとなればコネで騎士団に入団するのも可能だろうし、それよりもハンターになれば、何のしがらみもなく充分以上に稼げる自信があったから。



「ああ、なんでもいいからサボってても文句を言われない部活を教えてくれ」


「そうだな〜、ちなみに僕はこれでも諜報部の部長なんだけど、流石にやる気のない生徒はお断りだし……運動部は大抵、帝国トップクラスの強豪揃いだから……」


 マルクが思案していると、転校早々ヴィーに絡んで返り討ちにされたトラフトとダイスの二人組が会話に割り込んで来た。


「おうヴィー。 まだ部活決めてないんなら……俺たちと一緒に“ハンター部”で活動しようぜ」


「そうそう、ハンター部は俺らの他にも何人かおるが、皆バラバラに行動してるからしがらみも無い。 実際にハンターズギルドに所属してハンターとして活動する事が出来るから、金も稼げるで」


 部活動で金を稼げる……。 その言葉に、ヴィーは興味を示した。



 アンノウンとして魔王軍に潜入し、魔王を倒す重要な役割を果たした功績で、ミゲールからは多額の報償金を貰ったのだが、その金には一切手を付けてない。


 いずれ、ソフィアが一人立ちした時の為に貯金すると決めたのだ。


 現状、九ヶ月間の騎士団臨時講師として頂いた給金で生計が成り立っているものの、今後の事を考えれば決して裕福とはいえない。

 であれば、バイト感覚で稼げる機会は願ったり叶ったりでもあった。



「ハンター部か……で、実際におまえらはこれまでどのくらい稼いだんだ?」


 ヴィーの問いに、トラフトが答える。


「まぁ、結局は学生の部活動やからな。 引き受ける事が出来る依頼は難易度ランクが下から三番目の星三までやし、そんでも俺は二年間月一でトータル二〇〇万ギル以上は稼いだで」


 ハンターズギルドは帝国のみならず世界的な組織であり、依頼の難易度を星の数で表している。 最も簡単な星一から、最高難易度の星一◯まで。

 更に実績と実力を表す証としてハンターにはランクが設定されており、最高ランクはSで、最低ランクはFの七段階。


 ハンター部の部員として登録した場合、あくまで部活動という事もありランクは上がっても最高でDまで、受注可能な依頼は星三までだし、頻度も月一回までしか引き受ける事が出来ないのだ。


「二年で二〇〇万か……学生のお小遣いなら多い方だが、生活費となるとちょっと物足りないな……」


 二年で二〇〇万ギル。 貴族を除く帝国に住む成人の平均年収が三◯◯万ギルと考えると、月一◯万ギルではお小遣い程度にはなるが、一家の生活費としては多少物足りない。


 ちなみに、ヴィーがミゲールから与えられた報奨金は一◯〇億ギル。 あまりに多い額過ぎて使い道もなく、ソフィアの将来のために貯金しているが、既に働かなくても一生遊んで暮らしていけるだけの財産を既に保有している。

 その上、今後ミゲール自身が生きている限り、ヴィーに月一◯◯万ギルの生活費を補償すると言われたのだが、流石にそれは断っていた。



 思案するヴィーに、今度はダイスが声を掛ける。


「だが、実績次第では卒業後にランクCの昇格試験を免除してもらえる特典が着いてくるんだぜ? ヴィーの実力は相当なもんだし、どうだ、俺達と一緒にハンター目指そうぜ!」


 一般的にハンターのランクは、E・Fは駆け出し、C・Dは一人前、A・Bは一流、Sは超一流と認められている。


 ランクCのハンターの平均年収は七〇〇万〜一〇〇〇万ギルと言われている。 高卒の初任給と考えると、様々な職業と比べても高い方だろう。


 更にランクが上がり、一流ハンターの証となるA・Bランクになれば年収はグンと上がって億を越え、世界でも五人……最終決戦で二人死亡したので現在三人しかいないランクSともなれば年収は一◯億を越える者もいる。

 これは、帝国騎士団長のシュウトをも裕に凌ぐ金額である。


 この事からヴィー本人は卒業後、騎士団よりもハンターを目指そうかと考えてるのだが……多分シュウトやディエゴがそれを許さないだろう。



「ま、他にやりたい事もないし、ハンター部に入ろうかな」


「おお! ヴィーが来てくれたら一◯◯人力やで!」


「……アンタとなら俺達のパーティーは学生最強も目指せるな」


 ヴィーの決断に、トラフトとダイスは抱き合って喜ぶ。 二人とも、ヴィーの恐ろしさを知っているから。



 すると、一人取り残されたマルクが寂しそうに呟く。


「……なんかいいなぁ……楽しそうで」


 既に諜報部の部長であるマルクは、ヴィーの入部が決まって楽しそうにするトラフトとダイスが羨ましかったのだ。


「そうや、せやったらおまえも臨時っちゅー形で俺達のパーティーに参加すりゃええんちゃうん? おまえの情報収集能力はパーティーにとっても戦力になるやろうし」


 トラフトの言葉に、マルクは目を輝かせる。


「……だな。 別に複数の部活に参加しちゃいけないって校則はないんだし、おまえも入っちゃえよ、マルク」


 ダイスもまた、マルクをパーティーに勧誘する。


「ぼ、僕なんかが入っていいの? 自慢じゃないけど、僕って戦闘能力は並だよ?」


「だ〜か〜ら〜、おまえに戦闘は求めへんて。 それに、星二までの依頼ならあんまり戦闘が無いんやし」


「その代わり、情報収集は頼むぜ?」


「あ、ありがとう! 僕、頑張るよ! どんな依頼も、僕の力で最適な攻略法を探ってみせるよ!」


 肩を寄せ合って喜ぶ三人を見て、ヴィーは不思議と自分も嬉しくなっている事に気が付く。


(仲間か……。 なんか、面白くなってきたな……)

※主な完結作品紹介


『漆黒のダークヒーロー』

『タイムスリップしたストライカー』


こちらも未読の方は是非読んでみてください。

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