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ラウンド2:裏金の構造──誰が得し、誰が泣く?

(円卓の中央に新たなホログラムが浮かぶ。“裏金の構造──誰が得し、誰が泣く?”という文字とともに、現代のニュース映像──大型政治献金、見返り人事、建設利権──が連続再生される)


あすか(司会)(少し声を落として):

「さて、ラウンド2です。

ここからは、裏金の“中身”に踏み込んでいきます。

その金は誰の手を通り、誰のために使われ、そして、誰が傷ついているのか。

──“得する者”と“泣く者”を明らかにしたいと思います。」


(照明がゆっくりと回りながら、やがてリシュリューにフォーカスが当たる)



---


リシュリュー:秩序のための犠牲


あすか:

「最初に伺います。リシュリュー枢機卿、裏金がどのように機能していたのか、ご自身の経験も交えて教えてください。」


リシュリュー(静かに口を開く):

「国家の骨格は目に見えぬ関係で構成されている──忠誠、恐怖、交渉、そして金。

私は、国内の貴族連合と王権の間の緊張を、公式の予算では扱えぬ資金で調整した。

──“裏金”と呼びたければ呼べばよい。

だがその結果、内戦は防がれ、民の血は流れずに済んだ。」


孔子(机を指で軽く叩きながら、鋭く):

「“民の血”を言い訳にするとは、強者の常套句だ。

その裏金で得をした者は、民ではなく“権力を持つ者”だったのではありませんか?」


リシュリュー(目を細め、やや語気を強める):

「貴族を制御しなければ、民には日常すら訪れなかった。

私が“得”をさせたのは、戦乱を望まぬ者たちです。」



---


マルクス:構造的搾取の怒り


あすか(すかさず切り込む):

「マルクスさん、今のお話に対して、どう思われますか?」


マルクス(椅子から前のめりに身を乗り出す。声が鋭くなる):

「“戦乱を避ける”? それは支配者階級の言葉だ!

その裏金がどこから来たか──庶民の税、労働者の汗、商人の搾取!

目に見えぬ“構造”こそが罪だ!」


マキャヴェリ(皮肉を含んだ笑みで):

「相変わらず激情的ですな。だが、感情だけでは国家は運営できませんぞ。」


マルクス(声を上げる):

「あなたは“国家”と言うが、それがどれだけの犠牲の上に成り立っているかを直視せよ!

民が“泣いている”のだ、マキャヴェリ! 自分で気づかないか?」


(会場に少しどよめきが起こる。あすか、うなずきながら)


あすか:

「“構造の被害者は、声すら届かない”──マルクスさんの視点は、現代にも通じますね。

それにしても……これは火花が飛びまくってます!」



---


マキャヴェリ:結果主義の冷笑


あすか:

「マキャヴェリさん、ここで“得をする者”と“泣く者”の線引きについて、どうお考えですか?」


マキャヴェリ(ゆったりとした口調で):

「統治者は、必ず“誰か”を犠牲にせねばならぬ。

重要なのは、犠牲を最小にし、利益を最大にすること──それだけです。

裏金は、必要な資源を“融通する手段”。泣く者が出るのは避けられない。」


孔子(声を強める):

「そのような計算で人の“誠”を量るとは! 君子はまず、誰かが“泣いている”事実に目を向けるべきではないか?」


マキャヴェリ(視線をそらさず):

「孔子殿、あなたの道徳は立派だ。だが、それでフィレンツェの一日が無事に終わる保証はありませんでした。」



---


孔子:人心の腐敗と警鐘


あすか:

「孔子先生、では裏金の“構造”に対して、どう向き合うべきだとお考えですか?」


孔子(静かに、しかし内に炎を感じさせる声で):

「“見えぬ金”が通れば、“見えぬ不信”が生まれる。

民はその流れを知らずとも、感ずるものです──“何かがおかしい”と。

そして、次第に政治そのものを信じなくなる。

泣く者は、金を失う者だけではありません。“信”を失う者もまた、傷を負うのです。」


(一瞬、場が静まり返る)


マルクス(低く呟くように):

「……その“信”を失った民が、やがて革命に至るのだ。」


リシュリュー(口元を引き締めて):

「……それでも、国家は立ち続けなければならぬ。

民の混乱を防ぐには、時に“見せぬ安定”こそ必要だ。」


あすか(頷きながら):

「“信”を守るために隠すのか、“信”を裏切って隠すのか──

その分かれ目が、見極めにくいのが、裏金問題の怖いところですね。」



---


あすかのまとめ


あすか(手元のホログラムを操作しながら):

「それでは、このラウンドのまとめです。」


(ホログラムに対談者の主張が浮かぶ)


リシュリュー:「裏金は秩序の維持手段。国家の安定に資する。」


マルクス:「裏金は支配と搾取の構造そのもの。民が犠牲だ。」


マキャヴェリ:「結果がすべて。犠牲をどう配分するかが問題。」


孔子:「裏金は信を損ない、人心を腐らせる。」



あすか:

「“裏金”というひとつの言葉の背後に、これほど異なる構図があるとは……

リシュリューさんの“国家を沈めぬための重し”、マルクスさんの“搾取の象徴”、

マキャヴェリさんの“冷静な配分”、そして孔子先生の“倫理の灯火”。

この構造に、どの視点から切り込むのか──それは現代の私たちに突きつけられた問いでもあります。」


(一拍の静寂)


あすか(明るく):

「ここで幕間を挟んで、次のラウンドでは、より実践的な話に進みましょう。

“裏金はどうすべきか?”──その処方箋を探ってまいります!」


(照明がふっと落ち、ホログラムがゆっくりと切り替わる)

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