プロローグ:時空を超えた対話の開幕
(舞台は、時間の概念を超越した荘厳なホール。光沢のある黒大理石の円卓の周囲に、豪奢な椅子が五つ。天井には星々がゆっくりと回り、壁には歴史的な場面がホログラムのように浮かんでいる。やがて、司会者の声が響く。)
あすか(司会):
「皆さま、ようこそお越しくださいました──
ここは時代も文化も超えた空間、『歴史バトルロワイヤル』のスタジオです。司会を務めます、あすかと申します。」
(ライトが中央に立つあすかに当たる。笑顔だが、その目には鋭い知性が光る。)
あすか:
「今回のテーマは──『政治家の裏金問題』。
この言葉、現代の私たちにはとても身近で、しかし厄介な響きがあります。
裏金。それは“悪”なのでしょうか? それとも、“政治の現実”なのでしょうか?
この問いに挑むのは、歴史を代表する4人の知の巨人たちです!」
(円卓に光が走り、まず最初の椅子が輝く。)
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登場者紹介①:マキャヴェリ
あすか:
「まずは、現実政治を鋭く切り取った冷徹なる観察者──
ルネサンスのフィレンツェより、政治思想家ニッコロ・マキャヴェリさん!」
(マキャヴェリ、黒いローブに身を包み、片手に革表紙の小さな本を持って登場。椅子にゆっくり座りながら、口元に皮肉めいた笑みを浮かべる。)
マキャヴェリ:
「ご招待、光栄です。私は“善人”ではありませんが、現実主義者です。
政治とは、美しさではなく、有効性で測るもの。裏金? それも道具に過ぎません。」
あすか(にっこり):
「早速、核心を突く発言ですね。“政治は結果がすべて”という哲学、今日も炸裂しそうです。」
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登場者紹介②:リシュリュー枢機卿
あすか:
「続いて、王政を支え、教会と政治の融合を巧みに操った男──
フランス王国の宰相、リシュリュー枢機卿!」
(赤い法衣をまとい、十字のネックレスを胸に、リシュリューが静かに登場。手には羽ペンを模した銀の杖。姿勢は完璧で、声は低く重い。)
リシュリュー:
「混乱を防ぐには、秩序が要る。秩序を守るには、時に静かなる力が必要です。
その力が“裏金”という名を持っていたとしても──国のためならば、私はそれを使う。」
マキャヴェリ(口角を上げて):
「おや、私の“君主論”を実践してくださったようで、感激ですな。」
リシュリュー(微笑み返す):
「理論だけでは国家は動かぬ。実行する者こそが、歴史を作るのです。」
あすか:
「おお……いきなり火花が。これは目が離せません。」
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登場者紹介③:孔子
あすか:
「次にご紹介するのは、“仁と礼”を説き、道徳的統治を求め続けた東洋の賢者──
春秋時代・魯国の思想家、孔子先生です!」
(孔子は簡素な布衣を身にまとい、白髪の髷を結い、手には竹簡を携えて登場。椅子に腰を下ろすと、温和な笑みを浮かべ、他の対談者に軽く会釈する。)
孔子:
「“君子は義にさとり、小人は利にさとる”。
政治において大切なのは、民を導く“徳”であり、不義なる富ではありません。」
マキャヴェリ(小声で):
「やはり、“徳”のお話か……」
孔子(静かに微笑む):
「徳を軽んじて民の心を得られた君主がいたなら、ぜひ名を教えていただきたい。」
あすか(目を輝かせて):
「柔らかい口調の中に、一本芯の通った気迫を感じますね……!」
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登場者紹介④:カール・マルクス
あすか:
「最後に登場するのは、資本主義の矛盾を鋭く指摘し、革命の思想を遺した男──
共産主義理論の父、カール・マルクスさんです!」
(重厚なコートと分厚い本を抱えて登場。眉をひそめながらも興奮を隠せない表情で席に着く。)
マルクス:
「裏金など、資本が政治を買収する象徴的行為に過ぎん!
その“金”が誰から搾り取られたか──そこが最大の問題なのだ!」
リシュリュー(冷静に):
「では、あなたは“理想の支出”だけで国家が運営できると?」
マルクス(即座に):
「違う。“搾取の構造”が温存されたままでは、いかなる理想も欺瞞でしかない!」
あすか(少し身を乗り出して):
「なんという緊張感! 皆さん、登場した瞬間からもう議論が始まっておりますね!」
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あすかのまとめと導入
あすか:
「本日はこの4名とともに、政治に巣食う“裏金”という現象に切り込んでいきます。
倫理の問題か、制度の問題か、それとも──社会構造そのものの問題か?」
(円卓中央に浮かぶホログラムに、“裏金”にまつわる現代のニュースやスキャンダルの映像が次々と映し出される)
あすか:
「これより、“ラウンド1──裏金は本当に悪なのか?”を開始します。
果たして、“正義”とは、“秩序”とは、そして“政治”とは──?
さあ、皆さま、準備はよろしいですか?」
(四人は無言で頷く。それぞれのまなざしが鋭く交差し、空気が張り詰める)
あすか:
「歴史の重みと知の火花が交差する場所──『歴史バトルロワイヤル』、いよいよ開幕です!」
(照明が一度落ち、次のラウンドの幕が開く──)




